掲載月:2008年3月
2007年12月、第2条施行として取立規制強化、新貸金業協会設立などが相次ぎ、改正貸金業法が本格的に動き出しました。業法対応は、影響する業務範囲が広くシステム対応が必要な個所が多いため、最終的な確認テストに相応の期間を要すると予想されます。このため、業務・システムの検討・準備にかけられる時間は、第3条施行までで1年、第4条施行まで1年半と長くありません。できる限り早く内容を固め、アクション・プランを策定する必要があります。
どのようなビジネス課題があり、いつ、どのシステムで、どんな対応が必要なのか──。業務・システムの検討を「ビジネス課題の抽出」、「対応アプローチの検討」、「アクション・プランの策定」の3段階に整理し、業務側とシステム側で十分にすり合わせをしておくことが重要だとIBMは考えています。ここでは、特に考慮が必要な2点、(1)ビジネス
課題の抽出、(2)対応アプローチの検討について取り上げます。また、システムへの影響が大きい「顧客名寄せ」について、IBMの考えるアプローチをご紹介します。
ビジネス課題の抽出と整理

図1 ビジネス課題の抽出と
想定される主な検討事項
改正業法に伴うビジネス課題には、3つのポイントがあります。1つ目は、法規制に対して直接の対応を要するものです。2つ目は、与信管理業務にかかわる内外の変化により発生する問題で、改正業法をきっかけとする貸し渋りで発生した新たなタイプの貸し倒れなどが該当します。3つ目は、将来の業務やシステムにかかわるものです。業法完全施行後に市場の信用リスクが改善した際、与信管理の役割や体系がどうなるかを想定し、検討事項に織り込んでおくことが必要です。
また、これらの課題とは別に、会社としてキャッシング事業に期待する収益を予測し、今後どのように取り組むかを戦略・方針として定め、改正業法対応の総予算や、個々の内容(総量規制の適用除外の扱いなど)決定の基準とすることも重要です(図1)。
対応アプローチの検討時に留意すべきこと
ビジネス課題の抽出に続き、その課題に対し、いつ(時期)、どこに(個所)、何を(内容)、誰が(担当)、またどんな優先度で対応するかという対応アプローチの検討に入ります。その際には特に、以下の2点に留意が必要です。
与信管理でのモデル・ルールとプロセスに分けた整理
ビジネス課題への対応を洗い出す際、与信管理についてモデル・ルールとプロセスに分け、システムと合わせて3つの区分で洗い出すことが有効と考えます(図2)。これは、モデル・ルールとプロセスが相互に関係し合っていて、ある対応が別の対応の制約となることが多いにもかかわらず、所管部署が異なるという理由ですり合わせをしないケースが少なくないためです。後で手戻りを発生させないためにも必要なアクションとなります。
既存システムへの影響の検討
次に、ビジネス課題ごとに整理した対応方法を、対応システムごとに並び替えて、内容や時期に重複・無理がないかを確認します。この際、テスト期間を考慮し、時期を区切って内容をまとめ、必要に応じて仕様凍結の期間を設けるなどの対策が必要となります。また、対応結果が既存システムへ与える影響を考慮し、既存システムでの対応が困難な場合は、新たなシステム構成の検討が必要となります。これによって、業法対応に要するコストが大きく変わる可能性があります。
既存システムへの影響が大きい顧客名寄せ対応

図2 改正貸金業法対応
の検討ステップ
既存システムへの影響が大きい課題の代表は、おそらく顧客名寄せでしょう。カード会社では、キャッシング以外にも保証、個品割賦、リースなどの業務を扱っていますが、それぞれを業務別の基幹系システムにて、債権単位で管理・運営しています。
そのため顧客名寄せ対応にかかわるシステムも多く、負担は軽くないと思われます。一方で、顧客名寄せ後の情報は、マーケティングのためにチャネル間で共有するなど、将来、多面的に利用される可能性があるため、当面の負担と将来の拡張性の両面をにらんで、どのような方法を選択すべきかを検討する必要があります。
顧客名寄せの方法としては、以下の3つが考えられます。
- 新たに統合顧客データベースを構 築する
- 既存の特定システムにデータを片 寄せする
- 情報統合ハブにより既存システム を統合する
既存システムの状況や、将来の拡張性やコストなどの条件によってそれぞれに長所・短所があるため、各社の戦略・方針に合わせた検討が必要です。
ここでは、3番目の情報統合ハブによる顧客データの統合・共有ソリューションの例をご紹介します。

図3 WCCの概要
WCC(WebSphere® Customer Center)
これは、IBMの推進しているCDI(Customer Data Integration)に属するソリューションで、社内のいろいろなシステムに散在している顧客データを、情報統合ハブを介してリアルタイムで集積・統合・提供する仕組みです(図3)。WCCは品質管理とトレーサビリティーが充実しており、既存システムをほぼそのまま活用するため、開発・運用の期間・費用を圧縮できる点に特徴があり、合併やグループ化に伴う顧客データの統合・共有化、セキュリティー基準の高い情報の集中管理対応などで活用されています。
改正業法への対応は、できる限り早く内容を固めて取り組むことが必要です。IBM は即効性および将来に向けた拡張性のあるソリューションをご提供し、「改正貸金業法への対応の実現」を目指すお客様をトータルにご支援いたします。
本事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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