掲載月 : 2010年3月
1970年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)の受託計算部門から分離独立した三菱総研DCS株式会社(以下、DCS)は、銀行・信販・クレジットカード業務において、豊富な実績とノウハウを有するシステム・インテグレーターです。グループ会社との連携を武器に、コンサルテーションからシステムの設計、開発、運用に至るトータル・ソリューションを提供するほか、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を含むアウトソーシング事業でも強みを発揮。中でも、創業当初からの主力商品である給与人事サービス「PROSRV(プロサーブ)」は、国内2,000社の実績を誇り、企業の競争力ある経営体質への転換を支援してきました。
こうしたDCSのサービスを支えているのが、国内有数のデータセンターとして24時間365日ノンストップで稼働する“次世代の情報基地” 「千葉情報センター」です。同社は、企業の多様なニーズに迅速かつ柔軟に対応していくため、サービス基盤のクラウド化に着目。IBM CloudBurstの採用により、いち早く高品質なクラウド・コンピューティング環境を手に入れ、新たなビジネス・モデルの構築を進めています。
顧客企業のニーズに迅速な対応を実現すべくより柔軟なサービス基盤への変革を決断
長引く景気低迷を受け、DCSが軸足を置いてきた金融業界でも、コスト削減要求の高まりは避けられません。依然として多くの企業でIT投資の抑制が続く一方、これまで以上に変化への即応性、柔軟性が求められるなど、DCSにとっても、高度化、複雑化するITニーズにどう応えていくかが重要な課題となっています。
半年に1回のサイクルで技術戦略の見直しを行うDCSの取り組みについて、SI技術部長の長見雄史氏は次のように説明します。

SI技術部長
長見 雄史氏
「当社が早い段階から仮想化技術を用いたシステム再編を進めてきたのも、数年先を見据えてのことです。特に金融業界はコストに対して敏感で、情報をキャッチするスピードも速い。仮想化への関心も非常に高いのですが、実のところ、なかなか踏み出せずにいるお客様も少なくありません。注目を集めるクラウド・コンピューティングに関しても同様です。DCSのミッションは、より多くのお客様に実証済みの最新テクノロジーの価値を提供していくことにあります」
こうして最新の市場動向やお客様のIT事情を踏まえ、DCSはシステム更改をきっかけにクラウド・コンピューティングの採用を決断することになります。

SI技術部
技術推進グループ
永井 満氏
「2005年より、仮想化技術を使った統合開発基盤を運用してきたのですが、保守費用や担当者の負荷など、運用管理コストの増大が顕著になっていました。もともと運用を自動化するようなツール類がほとんどなかったことも原因の1つです。担当者が常に作業に追われているような状況では、お客様の依頼にもスピード感のある対応ができません。コスト削減に加え、効率的な運用環境を実現するためにも、クラウド・コンピューティングへの移行が有効な解決策になると考えました」と、SI技術部 技術推進グループの永井 満氏は振り返ります。
仮想化、標準化、自動化を可能にする IBM CloudBurstの設計思想に共感

図 三菱総研DCS株式会社のク
ラウド・コンピューティング環境クラウド・コンピューティング環境の構築に向け、具体的な検討に入ったDCSは、主に3つのポイントを重視したと言います。「1つ目に、作業を自動化して担当者の負荷を軽減するため、運用管理ツールを充実させることを優先しました。次に、クラウド・コンピューティングの魅力は、エラスティック(伸縮自在)なインフラストラクチャーを実現できる点ですから、拡張性も無視できない要素です。最後に、信頼性が鍵になることを考え、製品そのものだけでなく、ベンダーのサポート体制も考慮しました」(永井氏)
これらの要件をすべてクリアし、早期構築を目指すDCSのニーズに合致したのがIBM CloudBurstでした。IBM BladeCenter®をベースに構築されたIBM CloudBurstは、クラウド・コンピューティング環境の構築に必要なハードウェア、ソフトウェア、導入サービスまでを完備したオールインワンのパッケージ・ソリューションであり、導入後速やかに運用を開始できるのが特徴です。
「IBMが推し進めている仮想化、標準化、自動化の3つのキーワードが、当社の描くサービス基盤の方針とぴったり重なり、IBM CloudBurstの導入が重要な一歩になると確信しました。これまでの経験から、すでに信頼性=IBMという図式が出来上がっていたことも、さらに決断を速めてくれたように思います」と長見氏。
さらに永井氏は、「メンテナンス性やシステム・ライフサイクルの長期化といった観点では、ベンダー固有ではなく、より多くの業界標準技術を実装している点も決め手になりました。また、金融業界ではIBMのUNIX®オペレーティング・システム『AIX®』を使用されているお客様も多く、将来的にAIXも含めて統合管理していくことを視野に入れると、IBMを選択することが最善であると判断しました」と強調します。
標準提供の豊富な運用管理ツールにより システム担当者の負荷が大幅に軽減
購入から短期間でクラウド・コンピューティング環境を手に入れたDCSは、さっそく検証を兼ねて社内での利用を開始。「導入時も、当社は立ち会った程度でほとんど負荷はありませんでしたし、スキル・トランスファーを通じて手厚くフォローしていただき非常にスムーズでした」と振り返る永井氏は、IBM CloudBurstのメリットについても次のように評価します。
「ユーザーからの利用申請を承認するだけで、ツールが自動的に必要な環境を作成してくれますから、システム担当者の負荷が大きく軽減されるのは間違いありません。従来は、お客様の依頼を受けてから利用可能な環境を準備するのに、担当者がかかりきりで約1週間もかかっていました。それがIBM CloudBurstなら、ほんの数クリックだけで利用可能になります。ユーザビリティーも高く、確認作業を含めても1日もあれば準備できてしまいます。監視ツールも標準で実装されており、今後の運用面でも期待できそうです」
一方で、DCSのビジネスにとっても、IBM CloudBurstの活用が起爆剤になろうとしています。長見氏は、「IBM CloudBurstには、サービス・インフラの考え方が内包されており、“持たざるIT”への変革を迅速に進めることができます。このスピード感は、我々にとってはもちろん、お客様にとってのメリットでもあります。コスト削減につながるだけでなく、ビジネス・チャンスを逃さないという意味でも、その価値を十分に享受できるということです」と力強く語ります。
お客様の成長を支えるITサービス提供に向け、クラウド・サービスの早期立ち上げを目指す
現時点では主に開発環境として活用しているIBM CloudBurstですが、すでに社内業務システムの本番環境をIBM CloudBurstへ移行しようとしています。移行が完了すれば、既存のサーバー約30台がクラウド環境に統合され、課題であったリソースの有効活用にも力を発揮すると考えられます。
今後DCSは、社内システムで十分な実績を積んだ上で、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)としてIT環境を迅速に提供したり、既存サービスをSaaS(Software as a Service)化するといった、外部へのサービス提供を開始する予定です。
「今後は、金融以外の業界にもこれまで以上に注力していこうと考えており、クラウド技術を当社のサービス基盤に組み込むことは、データセンターの実績を持つ当社としても大きくアピールできる材料になると考えています」(長見氏)
自らの戦略のバックボーンにIBM CloudBurstを加え、お客様ニーズにスピード感を持って応えるダイナミックなインフラを実現したDCSは、多くの企業に、次なる成長に向けた変化とチャンスをもたらそうとしています。
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