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プロセス・セマンティック解析による保険事務の品質・効率改善のためのスマートなアプローチ

掲載月 : 2010年3月

過去に起きた保険金不払い問題への対応、契約者へのサービス品質の向上、事務効率化とコストの削減、企業としての説明責任(アカウンタビリティー)の履行―これらをいかに実現していくかが今後、保険会社の経営課題として、ますます重要な位置を占めていくのではないでしょうか。

IBMでは、この経営課題に取り組むうえで、プロセス・セマンティック解析に着目し、保険事務プロセスの 品質・効率改善への適用を推進しています。

保険事務の自動化とワークフロー・システムの導入の流れ

これらを解決するためのアプローチの1つとして保険事務の自動化推進があります。この流れの中で、事務のオンライン化、帳票のイメージ処理の取り組み、部分的な事務ワークフローの導入など、適用可能な業務エリアごとにIT化・自動化が進められてきました。

この保険事務自動化の根幹を成すものがBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)の適用、つまり保険事務のワークフロー・システム化です。1つの保険の事務処理には、その案件開始から完了に至るまでの間に、実にさまざまな事務工程が存在します。そして保険事務全体はその連続的なフローから成り立っています。既に多くの保険会社が導入を進めていますが、保険事務のワークフロー・システム化は、事務処理の効率化という企業経営の観点からも、また契約者へのサービス品質維持・向上というお客様視点からも、自然でかつ必然的な流れであると言えます。

保険事務の可視化

しかし、ここには1つ考えなければならないことがあります。ワークフロー・システムを導入することで、本当に保険事務の品質と効率の向上につながるのでしょうか。これは、導入効果の本質を問うもので、答えることは実はなかなか容易ではありません。しかし、その評価のためにはワークフロー化によってどれだけサービス品質が向上したか、どれだけ事務の効率化が進んだかを把握できることが必要です。つまり、現在の事務の状態が可視化され、その状況が的確に、タイムリーに、そして定量的にとらえられなければなりません。これは業務の説明責任を担保するという観点からも大変重要なファクターであると言えます。

しかし、今の事務の状態を可視化できるか否かは、ワークフロー・システムを実装・導入した時点で、ある程度決まっていると言えるかもしれません。なぜならば、そうした要件を満たすためには、ワークフローの流れを構成する事務工程ごとに、どのくらいの事務量があるのか、どのくらいの時間が掛かるのか、結果どのくらいのコストが掛かるのかといった状況を記録し、集計・分析できる機能がシステムとして実装されていなければならないからです。逆に言えば、保険事務ワークフロー・システムを導入したからといって、必ずしも直ちに事務プロセスが可視化されるという訳ではないということです。

保険事務ワークフローは導入しているが、事務工程の現状の良さ・悪さを定量的に把握することに苦労されているお客様は、意外と多いのではないでしょうか。逆説的ですが、ワークフロー・システムを導入したことにより、手作業で行っていた場合に比べ、事務作業の流れが見えにくくなってしまったケースもあるのではないかと想像します。では、こうした「仕掛け」を持たないワークフロー・システムの場合、どのように保険の事務プロセスの現状把握と可視化を行えばよいのでしょうか。

プロセス・セマンティック解析技術の適用

この問題を解くために、IBMは東京基礎研究所と米国ワトソン研究所で研究・開発されてきたプロセス・セマンティック解析と呼ばれる先進技術に着目しました。これは、大量の業務システムのログを解析し、ビジネス・ユーザーが求めている業務課題のレベルの情報を取り出すことができる解析手法です。

プロセス・セマンティック解析では、ワークフロー・システムとその周辺システムから書き出される各種ログ・ファイルと関連情報を入力し、個々の案件単位に各タスクの意味や担当者の役割、問題の有無などをビジネスの観点から解析します。次に個々の解析結果を部門全体で集約し、そこに統計解析手法を適用していきます。このアプローチにより、ワークフロー・システムに事務工程ごとの特徴量をとらえる機能が実装されていなくても、業務システム・ログから各事務工程の事務量を定量的に抽出し、その中に隠された各案件のビジネス・レベルの課題や問題を可視化することが可能となるのです。

保険事務の品質・効率の継続的な改善

さらなる保険事務の品質・効率の改善と全体最適化を目指して

保険事務の自動化について、今後はさらなる推進のためにSTP(ストレート・スルー・プロセシング)の考え方に基づいた、統合化された自動化システムのニーズが生まれつつあります。このモデルでは、保険事務の開始から完了までの流れを統合されたフローとして考えます。そして、人手を介する必要のない事務作業を可能な限りIT化・自動化して全体の効率化を進めながら、人は人にしかできない付加価値の高い事務作業に集中することで、サービス品質向上を図り、業務全体におけるコスト・品質(経営指標)の最適化を目指すものです。これは、まさにBPM/ワークフロー・システムにより実現される保険事務の自動化・効率化を進めながら、保険事務の定量的可視化と保険事務プロセスの全体最適を実現し、そして継続的な保険事務の品質・効率の評価・改善につなげていくことにほかなりません。これを目指すためには、繰り返し持続的に自己改善していく保険事務プロセス管理が必要であり、そのためには保険業務プロセスを統合的に俯瞰し、その透過性・可視性が担保できる機能が重要な役割を果たすことになります。そしてそのスキーム(枠組み)を実現することこそが、冒頭に述べた今後保険会社の取り組むべき問題を解決する鍵であるとIBMは考えます。

本誌でご紹介したプロセス・セマンティクス解析は、IOF※を構成する重要な要素として位置づけられ、今後保険事務改革のトータル・ソリューションの一部としてもご提供を進めてまいります。IBMは先進的な技術と革新的なソリューションで、これからも保険会社のお客様の課題解決とビジネスの成功のためにご支援を続けてまいります。

プロセス・セマンティック解析の価値

※IOF:Insurance Operations of the Future(IBMの提唱する次世代の保険事務の自動化モデルおよびソリューション)

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