掲載月:2006年10月
ソリューション概要
株式会社宮崎銀行(以下、宮崎銀行)は、宮崎県のリーディング・バンクとして高度化・多様化するお客様ニーズに積極的に応え、地域経済の活性化と地域産業の振興に貢献し、昨今は特に収益力の強化に向けた戦略を展開しています。
その施策を支える営業店システム環境の更改にあたり、オープン・ネットワークと、ブレード・サーバーという最新のテクノロジーを採用。耐障害性・堅牢性と、経済合理性の飛躍的な向上を実現するシステム基盤が実現しました。2005年から今秋にかけて順次、全店移行が進んでいます。
IT基盤への要求
オープン・システムの経済合理性と、SNAの堅牢性、高度な耐障害性を兼ね備えたIT基盤への要求
宮崎銀行は営業店システム基盤として日本IBMのNFWS金融営業店ソリューションを導入し、印鑑システム、OA系システム、為替システムをはじめ、情報系システムなどの他システム連動や拡張が可能な、柔軟性の高いオープンなシステム環境を実現。
営業店アプリケーションには、信頼性、経済性、導入/展開の迅速性などの観点から「じゅうだん会」パッケージを採用しています。

図1・図2 システム図
従来の営業店システムは、宮崎県全域の110拠点(うち営業店97ヵ店)に2台ずつ勘定系ホスト接続用のゲートウェイ・サーバーを設置し、200台を超えるその拠点サーバー群を、SNAネットワークでセンター側の勘定系ホストとつないでいました[図1]。
当時の回線の制約や技術レベルなどから見た最適な判断の結果としてのシステム構成でしたが、サーバー台数の多さによる保守料金の負担増や、拠点に設置したサーバーの監視・保守の負荷、障害が発生した場合に保守要員が現地
に着くまでの時間などの課題が、今回のシステム基盤の更改で解決すべきポイントとなっていました。
基本方針として「コストの最適化」と、「堅牢性、障害発生時の復旧の即時性」が特に重要とされ、具体的には下記の要件を満たすことが求められました。
- サーバーのセンターへの集約
サーバー台数の削減、保守員による現地対応の削減、障害回復の短時間化の実現へ - 低コストでオープンなTCP/IPネットワークの活用
営業店サーバーをセンターに集約すれば、SNAプロトコルをセンター内で完結させ、拠点の営業店システム端末とセンター間のネットワークには幅広い選択が可能に - 従来並みの堅牢性や、障害発生時の復旧の迅速性の確保
Iセンター集中や、オープン・ネットワークという新しい環境下でも、従来並みの堅牢性、耐障害性、復旧の迅速性が必要
IBM BladeCenterを採用
費用、運用負担、設置スペースに大きな効果を生む
IBM BladeCenterを採用
ベンダー選定にあたっては、銀行内のさまざまな部門を横断する検討チームにより、初期費用だけでなく運用コストも含めた幅広い判断基準で検討が行われました。
IBMの提案は、「障害・運用負担を減らす」「スペースを減らす」「電力消費を減らす」などのメリットを持ち、ブレード・サーバーとして3年連続国内シェアNo.1※ を誇るIBM Blade-Center® を活用して拠点に分散配置されている数百台のサーバーをセンター集中させるというものでした。
勘定系ホスト・システムとの連携面やネットワーク機器まで含めた総合的な提案内容から、最終的にIBM案が採用され、2004年12月に新営業店システム・プロジェクトがスタートしました。
真の二重化構成による高い可用性
営業店に設置されていた220台のサーバーは、センター内に新規に設置された26台のIBM BladeCenterに集約されました[図2]。
IBM BladeCenterは、ネットワークやストレージのみならず、ネットワーク・スイッチや、ストレージ・スイッチまでも1つの筐体に統合できること、さらに、各ブレードが接続されるファンや電源、スイッチ・モジュールに二重化構造を採用し、仮に障害が発生しても稼働したまま交換できるなど、サーバーとしての高い可用性が特長となっています。
現在、1枚のブレードに9~10店舗分のゲートウェイ機能が入っています。
各シャーシにはブレードが13枚収納されており、そのうちの1枚は予備機です。各ブレードは、SANで構成された共有ディスクの1つの区画に保管されているOS(OperatingSystem)を使用して起動します。あるブレードがダウンした場合、障害となったブレードの共有ディスクの区画を予備のブレードに切り替えることにより、すぐに同じ環境で起動させることが可能になりました。このように予備のブレードが12枚のブレードのバックアップになっていることで、障害への対応をさらに強化しています。
万一のホスト障害時に
自動的に待機系ホストと接続を切り替える機能を開発
今回のプロジェクトでは、「センター内のBladeCenterと、各地の営業店を結ぶTCP/IP」と、「センター内でBladeCenterとホストを結ぶSNA」という2つの異なるプロトコルを変換するゲートウェイ機能をBladeCenterで構築しています。
耐障害策の1つとして、「万一のホスト障害で待機系ホストでの運用に切り替わった際、即座に待機系システムへ接続を切り替える機能」を、このゲートウェイと、勘定系および待機系ホストとの間に開発しました。ルーターは、ホスト側2台、LAN側2台による4台の構成で、障害に備えた冗長構成になっています。
さらにこの4台の組を2セット導入し、二重障害に対応できるようになっています。
きめ細やかな管理を実現
高度な遠隔監視・管理機能により、遠隔地のシステムの、きめ細やかな管理を実現
新営業店システムにはIBM Director(以下、Director)という「サーバーの遠隔監視用ソフトウェア」が導入されています。
センターにあるDirectorサーバーのコンソールから、遠隔地に設置したサーバーの管理が可能なだけでなく、Directorを
使用してセンターから営業店端末への遠隔アクセスもできます。さらに、センターから各地の営業店端末にプログラム・データを配布することができ、各営業店システムの構成もセンターのサーバーから一元管理できます。
これまでは、障害発生時に、その障害がどんな内容で、どのような緊急措置が必要なのかを営業店との電話連絡で判断せざるを得ないという問題がありましたが、BladeCenterとDiretorが提供する高度な遠隔管理機能により、的確な対応が素早くセンター側で判断され、対応の迅速化、的確化が実現しました。
崎銀行システム部部長の実松朗氏は、今回の新営業店システムの導入効果について、次のように語っています。
「まず、管理するサーバーの台数を削減できました。次に、障害時に予備機に切り替えることにより迅速な対応が可能になりました。実際にはまだ障害が発生していないので、テストによる判断ということですが。
そして、センター内で管理できるのでセキュリティーが強化されました。さらに、高品質のディスクを利用できるのでディスク障害を低減できる、営業店と比較して空調などの利用環境が良好なので障害発生を抑制できる、処理量増加に対して容易に構成を追加することができる、などのメリットが挙げられます。
技術面では、スイッチ類(Ether/SAN)の使用ポート数を削減できる、IP化によりルーターなどのネットワーク機器コストが削減できる、ユニット・テスト/統合テスト時にリソースを潤沢に使用できるなどの利点があります。
センター間のプロトコルをSNAからTCP/IPに変更したことにより、ネットワーク選択の幅が広がり、安価なIPルーターや回線を利用できるようになりました。これは、変化への対応をより可能にし、収益力の強化やお客様対応力の強化といった経営体質そのものの強化に貢献するものと考えます。
システムの自由度が高くなったのと同時に、すべてのコンポーネントが二重化され、クリティカルな障害を低減できるため、従来に増して安定した運用が可能になりました。
地銀がより地域に密着し、特色のある金融機関として発展していく上で、情報システムに何ができるかを考えたとき、今回のTCP/IP化と、BladeCenterの導入はささやかな一歩ですが、確かな方向性を示していると考えます。」
※2003年─2005年国内ブレード・サーバー市場。
出典:IDC Japan, Japan Server Quarterly Model Analysis, Q4 2005)
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