本文へジャンプ

フラット化する世界で変貌してゆく金融サービス

欧米事例から見る方向性

掲載月:2007年9月

グローバリゼーションが進展してフラット化する世界の中で、金融サービスにおいても従来は見られなかった大きな変化が起き始めています。金融機関がその変化に対応し、激化する競争の中で勝ち残り成長するためには、差別化とイノベーションが最も重要な促進要因になってきています。欧米金融機関のイノベーション事例を取り上げ、その適用ビジネス領域やテクノロジーの活用策と重要成功要因について考察します。

フラット化する世界における金融サービスの変化

「グローバリゼーション」が金融サービスにもたらした大きな変化としては、以下の3つがあります。
1.リテール・バンキングにもグローバル競争が出現してきている
2.新しい金融サービスにおける新しいプレーヤーとの競争が出現している
3.金融分野においても他社とのコラボレーション、提携が本格化している

  1. グローバル競争の出現
    2007年1月に発表された世界の金融機関の時価総額ランキングにおいて、中国工商銀行と中国建設銀行が10位以内に入る※1など、中国の銀行がその存在感を高めています。また、2007年4月より中国で外資系の銀行が現地法人の営業を開始するなど、中国の市場への外資の金融機関の取り組みも活発になっています。ヨーロッパでは経済圏や通貨の統合の背景もあり、国境を越えた再編の動きが大きくなっています。
  2. 新しいプレーヤーとの競争
    新しいプレーヤーとの競争の例として挙げられるのは、アメリカで融資システムにおける非効率性を削減し、個人対個人の融資を可能としたProsper※2です。Prosperの特徴は、貸し手が典型的な譲渡性預金などと比べてより高金利を享受できる一方、借り手は低い金利で借りることを可能とします。借り手はサイトに特定のローン金額を登録し、Prosperはこれに対し信用格付を行います。貸し手はProsperにお金を預け(Wells Fargoの口座に置かれる)、貸したいローンに入札します。Prosperは管理と回収を担当、借り手からローン金額の1%、貸し手から残高の0.5%の手数料を得ます。
  3. コラボレーションや提携の本格化
    南アフリカの大手銀行の1つであるスタンダード・バンクでは、2005年携帯電話会社と共同でモバイル・バンキング専用のジョイント・ベンチャー(MTN Banking)を作りました。他にもイギリスではバンク・オブ・アイルランドと郵便局が合弁で会社をつくり、郵便局で金融サービスを提供しています。
    これらのように、いくつかの銀行ではローコストで拠点を増やすため、他社の既存の販売ネットワークを活用し始めています。

3つのイノベーションの領域と5つの重要成功要因


popup図 より価値のあるイノベー
  ションへの提言
イノベーションの領域
イノベーションの領域は、「商品、サービス&マーケット」「オペレーション」「ビジネス&企業モデル」に類型できます。

【商品、サービス&マーケット】
この分野では、新しい商品・サービスを開発し、新しいマーケットと顧客をターゲットにします。イノベーションの例としては、WellsFargoの「my spending report」が挙げられます。これは、デイリー・ベースですべての取引の自動オンライン照会がウェブで参照できるサービスです。また、Bank of Americaの「Keep the Change」も例として挙げられます。これは、デビット・カードでの買物額を切り上げ、その差額を貯蓄口座に振り替えるというサービスです。既存の商品を上手に組み合わせること、お客様の価値のあるものを組み合わせることがイノベーションのヒントになります。

【オペレーション】
この分野でのイノベーションは中核機能分野の有効性と効率性を改善します。例としてはRoyal Bank of Scotlandが挙げられます。テスコと合弁会社を作っているのですが、彼らのバックオフィスを統合しています。

【ビジネス&企業モデル】
金融機関の業績に最も影響を及ぼしているのが、ビジネス&企業モデルです。これは企業の焦点を見直し、再編成し、拡張します。ビジネス・モデルのイノベーションを行っている会社は好業績を上げているというデータもあります※3

イノベーションは具体的に4つのビジネス・エリアにおいて業界を変革し始めていると言えます。
1つ目は、日本でも非接触型のICカードを用いた決済で話題になっている、「リテール決済」の分野です。2つ目はオプションの付加や、ユーザーごとの変更が可能なパーソナライズした「住宅ローン」です。3つ目は、差別化のためのお客様の経験価値を高めていく「顧客経験価値」、そして最後は「銀行を利用していない顧客層」です。日本ではほとんどの人が銀行口座を持っていますが、新興市場や先進国では20億人もの非銀行利用者がいます。
顧客理解、ビジネス・プロセス・サポート、リスク分析、セキュリティー、アクセス、コンピューティングといった豊富な新しいテクノロジーが今、リテール・バンキング・ビジネス全体にわたるイノベーションを可能にしています。さまざまな技術の変化をうまく組み合わせながら、テクノロジー主導のイノベーションができる時代になってきました。
イノベーションの開発・持続のためには、機会と能力を実行要件と一体化するインフラストラクチャーが必要となります。これまで商品やサービスのイノベーションが中心となっていましたが、今後はビジネス・モデルも含んだ幅広いイノベーションが検討課題となります。顧客主導型で外部ともコラボレーションをしていくことが必要です。


イノベーションの成功要因
イノベーションの重要成功要因としては、トップ銀行における変革の経験より、5つのポイントにまとめることができます。

このようにグローバリゼーションが発展し、激化する競争の中で勝ち残り、成長していく鍵は、差別化とイノベーションなのです。

本事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。

IBM, IBMロゴは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
Adobe, Adobeロゴは、Adobe Systems Incorporatedの米国およびその他の国における登録商標または商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。

メールでお問い合わせ

このページに関するご意見・ご質問はこちら