掲載月 : 2008年9月
Datamonitor※の2007年調査によると、日本における富裕層(流動資産100万ドル以上)の人口は、直近3年間に年率7%強の拡大を続け33万人を超え、その所有する流動資産合計(現預金、株式、債券、投信など)も100兆円超(1$=105円換算)になったと推計されています。
日本は富裕層大国といって過言ではありませんが、その保守的な運用選好や、金融機関の取り組みが必ずしも富裕層の高度なニーズ(分散投資ニーズ、リスク商品への投資余力)を反映した方法でなかったことから、その潜在力を十分に活かしたマーケットに成長していませんでした。
しかし新富裕層の出現や高齢化の進展による世代交代、外資系Private Banking(PB)やウェルス・マネージメントの再参入、富裕層に的を絞った日系金融機関の取り組み強化から、日本の富裕層マーケットは今、大きく活性化しつつあります。
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鍵となる「クライアント・アドボカシー」という視点
富裕層ビジネス先進国である米国で、IBMは約1,300人の富裕層(投資資産50万ドル以上)を対象に調査を行いました。その結果、富裕層ビジネスではクライアント・アドボカシー(Client Advocacy : 顧客からの支持)を視点にビジネスを見直すことが、富裕層のロイヤリティーを高め、より大きなウォレット・シェアを獲得し、富裕層ビジネスに成功する鍵になることが判明しました。
クライアント・アドボカシーは以下3つのステートメントに対する顧客の同意度を測るものです。
- 私は自分の富裕層ビジネス・サービス・プロバイダー(以下プロバイダー)を友人や家族に推薦する。
- 私は自分のプロバイダーから新たに必要とする金融商品・サービスを購入する。
- たとえ他のプロバイダーが同等の金融商品・サービスを提案してきても、乗り換えない。

図1.2007年
IBM米国富裕層調査
同意度を基準に顧客は次の3つのセグメントに分類されますが、その割合は[図1]のようになりました。
- 支持者 : 上記3つに強く同意する顧客
- 中立者 : 上記3つに同意する顧客
- 不支持者 : 上記3つに同意しない顧客
また、顧客セグメントの構成比が変わることで、プロバイダーの収益に大きな影響を与える可能性が高いことが下記の結果からわかりました。
- ウォレット・シェアへの影響
80%以上の資産をメインのプロバイダーに任せる顧客は、支持者層では約60%を占め、中立者層では約40%、不支持者層では約20%にとどまる。 - ロイヤリティーへの影響
取引しているプロバイダーを「信頼できる」と評価する顧客は支持者の約90%を占め、中立者はその半分、不支持者はその4分の1に過ぎない。 - フィー・ディスカントへの影響
支持者のわずか6%しか、プロバイダーのフィーが非常に高いと感じていない。
クライアント・アドボカシーを拡大するには?
それでは、中立者を支持者に変えるには、何が必要でしょうか。下記の中立者の評価がそのヒントになります。
- ファイナンシャル・アドバイザー、プロダクト・スペシャリストへの評価
顧客から見てベストの提案ができる優秀な担当者がいると評価する顧客は、支持者の82%を占め、中立者はその半分の36%である。 - 顧客ニーズの理解度への評価
能動的に担当者が顧客とコミュニケーションを行い、自分のニーズが正しく理解されていると評価する顧客は、支持者の83%を占め、中立者はその半分の39%である。 - チーム対応への評価
自分のニーズを満たすため、プロバイダーがチームとして効率的に働いていると評価する顧客は、支持者の76%を占め、中立者は半分の32%である。
支持者と中立者の大きな評価格差を是正し、中立者を支持者に変えるために、IBMは以下の施策が必要だと考えます。
- 【顧客との対話力の強化】
- 親密な顧客アドバイスの奨励と促進
- 問題発生時における適切なコミュニケーション能力の向上
- 離職者数の減少による、スキル・能力の維持・向上
- 【顧客視点に関する分析能力の開発】
- 顧客経験の内容の把握・評価分析ができる体制の構築
- 顧客の支持指標や収益性を、組織運営やパフォーマンス評価に反映
- 【デリバリー・モデルの再構築】
- 高度なアドバイスを含む商品、サービスの提供体制の強化
- 全チャネルで一貫した高品質な顧客経験の提供体制を構築
- セグメンテーション戦略やデリバリー・モデルの再評価
グローバルで培った経験をソリューションとして提供
IBMはクライアント・アドボカシーの視点に立った以下のソリューションを、グローバルに提供しています。
能力開発のソリューション
富裕層に直接対峙する担当者だけでなく、バックオフィス・スタッフを含めた、あるべき(To-be)スキル、能力要件を定義します。現行とのギャップを特定し、To-beに向けた研修方針、研修計画の策定および研修の実施をサポートします。
顧客視点に立った業務プロセスの分析と改革提案
顧客獲得、顧客ニーズの発掘、投資アドバイスの提案、取引・サービスの実行、顧客フォローなど、主要な業務プロセスを、提供者の立場からでなく富裕層の視点で評価します。その評価を踏まえ、一貫した高品質の価値提供に向け、何が金融機関にとって必要かを、プロセスの見直し、スキル・能力改善、ITの活用といった多様な観点から提案します。

図2.富裕層ビジネスに特化
した統合パッケージの導入
(156KB)
パッケージ・ソリューションの選択、および導入支援
先進的なITの活用は、効率性の観点だけでなく、顧客経験の向上のためにも不可欠となっています。顧客管理、提案書作成、アセット・アロケーション、売買執行、清算処理、顧客レポーティング、コンプライアンス管理といった富裕層ビジネスに不可欠な機能を統合的に提供するパッケージの選択・導入もご支援します[図2]。
IBMは、グローバルに培った経験をもとに、コンサルティングからシステム導入まで一貫したサービスをご提供します。
※Datamonitor社 : イギリスのマーケットリサーチ会社
本事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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