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株式会社八十二銀行

SOAの採用により融資業務の抜本的改革を実現

掲載月 : 2010年9月

株式会社八十二銀行(以下、八十二銀行)は、融資審査の高度化ならびに効率化、稟議作成の省力化を実現し、顧客サービスを向上するため、融資業務の抜本的な改革に取り組み、新融資支援システムを構築しました。

新融資支援システムは、SOA(サービス指向アーキテクチャー)の採用により、既存の基幹系システム資産を有効活用しつつ、分散系システムやパッケージ製品とのオンライン連携を実現しました。また、八十二銀行が幹事行を務める「じゅうだん会」の初の分散系共同版システムの礎として、拡張性と柔軟性を備えることができました。

お客様の期待に応える営業活動を目指して

小松 聡氏の顔写真
融資統括部
リーダー
小松 聡氏
八十二銀行は、長野県の中枢金融機関として地域とともに発展することを使命とする一方、山形銀行、筑波銀行、武蔵野銀行、阿波銀行、宮崎銀行、琉球銀行の地銀6行とともにITの効率的活用を推進する「じゅうだん会」の幹事行として、システム共同化の効果増大に向けた取り組みを重ねています。2007年度より推進してきた融資業務改革の狙いを、同行融資統括部のリーダーを務める小松聡氏は次のように話します。

「お客様ニーズの多様化が進む中、銀行が提供するサービスも複雑化しており、必要とされる知識・スキルが高度化しています。一方、融資の現場では、業務量の増加や担い手の変化が進み、人材育成を含め、いかに融資力やお客様対応力を高めていくかという課題がありました。こうした課題を踏まえ、審査の高度化、稟議起案の効率化、オペレーショナル・リスクの排除、ローコスト・オペレーションの確立を目指し、融資業務の抜本的な改革に踏み切りました。この結果として、お客様との対話時間の確保、営業店での同一水準の融資判断の実現、審査から実行までのスピード向上など、お客様の期待に応える営業活動の実現を目指しています」

八十二銀行は、行内規程やマニュアルの再構築、商品や徴求書類の見直しなどに着手すると同時に、電子稟議を柱とする新融資支援システムを構築し、改革を推進するという方針を打ち出しました。

「まず実現したいと考えたのが、稟議起案や与信判断に必要な情報を効率的なデータ連携で自動作成・収集し、起案や審査に関する業務を大幅に効率化することです。また稟議起案のプロセスをシステム化し、起案作業のナビゲーションや、審査上の留意事項・必要な書類等を説明するガイダンス機能により、業務遂行を支援します。これにより、経験の浅い担当者も高度な案件組成や審査ができる、すなわち自然と審査能力が身につく仕組みを考えました」(小松氏)

SOAを採用して、既存のホスト資産を活用

小布施 嘉雄氏の顔写真
システム部 システム
開発 グループ長
小布施 嘉雄氏
「計画段階ではパッケージの導入も検討しましたが、当行が求める業務ニーズに見合ったユーザー・インターフェース(画面)を備えたものはありませんでした。また、単なる電子稟議システムではなく、じゅうだん会で共同利用する基幹システムや周辺システムともリアルタイム連携が可能なシステムを構想しており、通常のパッケージでは対応が困難でした。さらに、じゅうだん会のメリットを維持・発展させるため、システムの利用範囲拡大も検討していました。そこで新融資支援システムは、じゅうだん会初の分散系共同版システムとすることも視野に入れ、自行開発が望ましいという結論に至りました」

丸田 秀紀氏の顔写真
システム部
システム開発
丸田 秀紀氏
さらに、同行システム部システム開発の丸田秀紀氏が言葉を続けます。

「既存の基幹システムは、ホスト・コンピューター(IBM System z®)で運用しており、各行の業務で扱うほとんどのデータがそこに集約されています。このホストの信頼性は非常に高く、勘定系オンラインや情報系のマスター・データ管理などの処理も安定した稼働を続けています。ならば、このホスト資産を利用し、新融資支援システムとのリアルタイム連携を実現するのが最善と考えました。そこにIBMから、SOAを活用した一連のソリューションを提案されました」

まず、既存の基幹システムをSOA RER for FSSによってラッピングし、ESBに接続することでSOAサービスとして活用します。同じESBには新融資支援システムも接続され、両者のリアルタイム連携を実現します。また、WebSphere Process Serverが、このインフラ上のさまざまなSOAサービスを統合し、融資業務のビジネス・プロセスを自動化する役目を担います。なお、新融資支援システムの主要機能である電子稟議については、BPEL(Business Process Execution Language)を用いてワークフローを構築し、ビジネス・ロジックと分離した運用により、組織変更などにも容易に対応できます。

融資事務の効率化と今後の拡張性を確保

IBMは、じゅうだん会の共同版システムの運用・管理や、アプリケーションの保守作業もアウトソーシングで担っています。こうした長年の実績を評価し、八十二銀行はIBMの提案を採用しました。「IBMには検討段階から参画いただきました。じゅうだん会からも意見や要望を取り入れつつ、分散系共同版システムとして最適なソリューションを実現するには、各行の“現場の声”を知る第三者の仕切り役が必要であり、パートナーとしてIBMが最適と考えました」と小布施氏は話します。

しかし、八十二銀行にとってもSOAをベースとしたシステム構築は初めてであり、「何をSOAサービスとして切り出し、どこまで処理させるのかなど、試行錯誤が続きました」と丸田氏は振り返ります。「不安を乗り越える上でも、IBMのサポートは心強く感じました。例えば、要件定義局面にSOAインフラを想定した環境で機能やパフォーマンスの事前検証が実施され、その裏付けにより、私たちも『方向性は間違っていない』と開発に臨めました」

こうして、八十二銀行の新融資支援システムは2010年4月に稼働しました。基幹系システムや財務分析などの周辺システムとのリアルタイム連携により、融資関連情報を即時に各担当者のPC画面に反映するほか、入力データを基幹システムに即時に引き渡すことも可能です。また、融資事務のプロセスを見直し、システム化したことで、稟議回付の効率化および多種大量の判断資料を電子データとして一括管理するペーパーレス化を実現しています。これらは、稟議起案から回付、決裁、実行処理に至るプロセスの迅速化に大きく貢献しています。加えて小松氏は、特に苦労して設計・開発にあたったことで得られた成果として、画面の使い勝手にも言及します。

「新融資支援システムはAjaxを使用して非常に情報量の豊富な画面を作り込んでおり、従来の稟議で確認できた情報のみならず、関連データまで、見たい情報を素早く簡単に参照できます」

システム運用・管理の観点からも新融資支援システムは、基幹系システム資産の有効活用による、システム構築期間の短縮、保守容易性の確保、オペレーターや保守要員の省力化など、さまざまなメリットをもたらしています。

「SOAをベースとしたシステム間連携により、新融資支援システムのさらなる高度化はもちろん、さまざまな周辺システムとも容易に統合を進めることが可能です。今後の拡張を見据えた基盤が整備されたこと自体が、今回のプロジェクトにおける最大の成果と考えています。また、じゅうだん会に対してはホスト・システム以外でも共同化が可能なことを実証し、自行開発でありながらパッケージにも劣らない高いコスト・パフォーマンスを得ることができたと自負しています」と小布施氏は総括します。

業務改革の礎に

新融資支援システムはさらなる発展や機能拡張が考えられています。例えば、個人ローン審査システムや営業支援システムとの連携も、有力視しています。新融資支援システムは、銀行業務全体をカバーする新たなビジネス基盤への発展を見据え、八十二銀行ならびにじゅうだん会の各行が推進する業務改革の礎になろうとしています。

掲載されている情報は2010年9月現在のものです。内容は事前の予告なしに変更する場合があります。
ソリューション情報は、すべての場合において同等の効果が得られることを意味するものではありません。効果はお客様の環境その他の要因によって異なります。
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