掲載月 : 2010年9月
保険、この業界においても情報武装した消費者が増加。短いサイクルで複雑に変化する顧客の嗜好。自然や社会の環境変化に伴うリスクの複雑化・巨大化。絶対必須の法規制対応。求め続けられる収益性。そして、いまや当然になりつつあるグローバル化。このような難しい環境にある保険業界。その中でも、世界の勝ち組保険会社は、どのようなスマートな施策によって成功を遂げてきたのでしょうか?
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重視すべき共通特性とテクノロジーの進化

図1 最高水準の保険会社の
ポジションは?(396KB)

図2 勝ち組保険会社の3つ
の共通特性と取り組む施策
(290KB)
IBMは、世界30カ国に及ぶ生保・損保など、上位200社の保険会社への調査(IBM Best in Class Study 2010)をもとに、業界担当のコンサルタントや研究員を中心に分析・洞察を行いました(図1)。
その結果、好業績を挙げる勝ち組保険会社には3つの重視すべき共通特性があることを見いだしました。
- 顧客志向
- 最適化されたプロセス
- 新たなビジネス・モデルの活用(図2)
一見、当たり前のようなこれらの特性を、いかに実現させることができるかが鍵となります。そのための具体的な施策とはどのようなものなのか?その答えは、テクノロジーの進化を理解せずして導き出すことはできません。
人間が創り出したさまざまな仕組みが「機能化」し、「相互に接続」され、「インテリジェント」になることが、効率的で対応力の高い勝ち組保険会社の実現につながるのです。
- 機能化
人や車のみならず、あらゆるものにセンサーが搭載され、保険の対象がリアルタイムに可視化され、正確なリスク評価が可能に。 - 相互接続
個人や、企業・団体・政府などの組織は膨大な情報を統合、即座に共有することが可能に。 - インテリジェント化
高度な分析能力によって、顧客のニーズやリスクのより精緻な将来予測分析などが可能に。
日本でも認知されてきた走行距離ベースの従量課金型自動車保険ですが、欧米では、若年運転者がリスクの高い夜間に運転しようとすると、保険契約者である親の携帯電話に警告が送られ運転を中止させるなど、安全に対する進化を遂げようとしています。
さらに、「人」にも同様のビジネス・モデルが生まれています。“Pay As You Live”と呼ばれる、保険者と病院等の医療機関、健康管理サービス・プロバイダーなどとの高機能連携の生命保険なども出現しています。被保険者は、健康を維持管理できると同時に保険料も削減できるのです。
今こそ、重点施策にフォーカスしたスマートな投資を
これらの勝ち組保険会社の共通特性およびテクノロジー視点からの重要ポイント(1+2+3)などを踏まえて考察を行った結果、以下の3つの施策が導き出されました。
施策1. 十分な情報を得た上での顧客との意思疎通
勝ち組保険会社では、顧客に対するより優れた洞察力を有し、高い収益性を維持しつつも、個々(人)のニーズに合致した最適な商品・サービスの提供のために、“十分な情報を得た上での意思疎通”にフォーカスするものと考えられます。
このためには、顧客に関する出来事・事象などの情報をリアルタイムに把握、また、サイロ的に格納されていたり、あちこちに散在する情報をスマートに繋ぎ合わせることで、それらの情報を洞察へと変換させることが求められます。その結果、真の“顧客視点”の実践が可能となるのです。
最近、特に注目されている予測分析。保険業においても、高度なソフトウェア分析ツールを活用して膨大なクレーム(損害調査・支払査定)データから有効情報だけを抽出。パターンや相関性、異常値の確認が可能となり、最新の数理モデルとも合わせた予測モデルの構築で、あらゆる動きの変化を予知することさえ可能となりました。この予測分析は、契約維持業務などにおける顧客接点においても威力を発揮しつつあります。
また、保険商品のコモディティー化とも相まって、“ソーシャル・メディア”を通じて、単に保険商品・サービスに関する情報のみならず、顧客経験価値のシェアを容易に行う消費者が増加していることに、多くの保険事業者が注目していることを忘れてはなりません。自社の評価・評判等も瞬時に広がる環境が出来上がっており、企業ブランドの管理も要求されるようになってきています。
施策2. 効率化を追求して自動化された業務遂行
勝ち組保険会社には、全社的なコスト削減への取り組みの一方で、顧客対応能力の改善のため、現行ビジネス・モデルの見直しが求められます。
そのためには、企業内外のあらゆる非効率を取り除き、事業の機敏性を生み出すことが成功への鍵となり、まずは徹底したプロセスの簡素化・単純化にフォーカスするものと考えられます。
施策3. 柔軟な回復力を持った弾力的事業展開
増加する海外展開や第三者サービスの一体化で保険業のビジネス・モデルの多様化がますます考えられますが、そこから生まれる新たなリスクに対処すべく、勝ち組保険会社では、柔軟な回復力を持った弾力性向上への努力がなされようとしています。
基幹業務プロセス・業務アプリケーション・アーキテクチャーなど柔軟性のあるシステム構造、市場環境・法規制対応・顧客嗜好等の変化に対する商品・ビジネスルール・販売チャネル・サービスレベル・組織などの適応、そして市場の不確実性に対処するための統合リスク管理システムインフラの構築などが求められます。
保険業は、今こそ、スマートな投資を行う時期に来ています。その投資は、上述の重要施策にフォーカスして行われるべきだと考えられます。
社会・組織における「機能化」「相互接続」「インテリジェント化」がますます進む中、明日の勝ち組保険会社は、社会・組織の変化に対応するべく、それらを有効活用することで自社の現行業務を適応させることができるのです。
IBMは、ビジネスからITの領域に至るまで、卓越した総合力でお客様の成長戦略をご支援いたします。
出典:IBM Global Sales & Distribution Thought Leadership White Paper "Insightful. Streamlined. Resilient. Three critical imperatives driving success for insurers in today's smarter world"
IBM Best in Class Study 2010
IBM The Decade of Smart 2010
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