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海外事例:オーストラリア移民市民権省

個人のアイデンティティー識別の改善により、入国審査の迅速化や国境安全管理の強化を実現

海外事例 :オーストラリア移民市民権省 個人のアイデンティティー識別の改善により、入国審査の迅速化や国境安全管理の強化を実現

掲載日:2009年3月5日

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オーストラリアの出入国管理行政を司る移民市民権省は、効果的な国境安全管理により、オーストラリア本国への合法的な入国や滞在、および海外人道支援プログラムや現地再定住の管理を行う責任があります。2006年、同省は移民手続きシステムにおけるアイデンティティーに関する問題解決のため、大規模な変革プログラムに乗り出しました。

お客様概要とニーズ

オーストラリア移民市民権省(DIAC)は、オーストラリア全土と世界60カ国に7,000人の職員を擁しています。同省の1日に扱う業務量は、ビザ申請が1万2,000件以上、出入国審査が6万件以上、電話応対が7,000件以上、直接面接が500件以上に及んでいます。そのほかにも、700人を超える抑留者への対応も直接行っています。
同省では、ずさんな管理体制を示すいくつかの事例が社会の注目を集め、その結果、外部からの問い合わせが多数寄せられていました。そこで、一連の見直しを行ったところ、情報システムと業務慣行に数多くの問題点が見つかりました。
例えば、回避的改修が繰り返され、現場独自で開発されたシステムが原因で職員が利用者を容易に特定できない、利用者に関するすべての情報を1つのシステムから取得できない、アイデンティティー識別の方針や手順を容易に確認できない、といった問題でした。

ソリューション

入国審査のイメージ画像 戦略的パートナーとして選ばれたIBMは同省と協力して、オーストラリアの出入国管理行政を支える職員の行動とプロセスの変革を適切なテクノロジーによって実現する包括的な変革プログラムを実施しました。
IBMはまず、専門のコミュニケーション・変革タスクフォース(CCT:Communication and Change Taskforce)を立ち上げ、民間有識者を招き入れてIBMの組織変革エキスパートとのチームを構築しました。同タスクフォースの陣頭指揮にはプロジェクト・スポンサー直属の同省の高官が当たりました。これは、変革推進にかける同省上層部の意気込みを職員に示すことが狙いでした。そして、業務慣行に関するインタビュー、ワークショップ、アンケート調査、リーダーシップ・アセスメント、職員へのヒアリングの結果、対処すべき一連の複雑な問題や課題が特定されました。
特に重要な課題は以下のとおりでした。

  1. 変革の管理が内部のコミュニケーションやトレーニングにとどまらないということの理解
    DIACでは、変革チームの経験が比較的浅いことを考慮に入れた変革アプローチをとる必要がありました。そのためにまず、チーム作りに加え、アプローチの効果を示すメンタリング(後進指導)に投資し、過去の変革プロジェクトの場合のようにコミュニケーションとトレーニングのみに集中するのではなく、全般的な変革アプローチに重点を置くことによって一層高い効果が得られるという考え方を定着させました。また、職務規定や人材配置などを見直す中心的な役割を担う、人事部門にも関与を求める必要がありました。さらに外部のステークホルダー(利害関係者)の支持を得るために、IBMはプロジェクト・スポンサーと協力して、IBMが持つ業界やメディアとの窓口を通じてプログラムの一般への周知を図りました。これには、DIACに対してそれまで寄せられていた国民の強い批判の悪影響を克服するために、同省高官が公開討論会において伝えるべき共同メッセージの作成も含まれます。
  2. 各現地事務所が中央の施策に対して抱く素朴な疑問の克服
    変革プログラムを難しくしている要因の1つは、DIACの組織が世界中に広がっていることでした。そこでIBMは、最前線で働く職員に対する強力な地域的管理により、現地における変革支持者層の形成と、現地の意見に影響力を持つステークホルダー(特に中間管理職)の特定に全力を注ぎました。そして、それらのステークホルダーと協力して、プログラムの全体的なテーマとして国家としての一貫性を保ちながら、国家レベルでの適切なメッセージの具体化を進めました。このようにして各現地事務所の変革推進者を結ぶ組織的なネットワークを構築し、変革が現地にもたらす具体的な影響の把握と対処に取り組みました。
  3. 変革の効果に対する理解の実際的な証明
    プログラムの開始から4カ月が経過した頃、変革の効果に対するIT部門の関心が不十分であることが明らかになりました。サービス指向アーキテクチャー(SOA)をはじめとする新たに導入するテクノロジーの複雑さに加え、新しいITチームの規模が大きかったことから、IT部門が変革を受け入れやすい環境を整えることに重点を置く必要がありました。そこでIBMは、「重要なステークホルダーとしてのIT部門」に重点を置いたコミュニケーション戦略を策定しました。そして、物事がよい方向に向かう前にはかえって悪化しているように感じることがあることを示して、彼らの不安や不信感を払拭しました。
  4. 効果を実現するための総合的な業務導入計画の立案
    目的とする最終状態は、システムの実装ではなく業務の導入でした。IBMは、コンプライアンス担当職員と協力して、新しいテクノロジーが実現する総合的なケース・マネジメント、コンプライアンス、および抑留業務モデルを策定しました。この計画の重要な側面は、90日ごとの段階的な変革実施の際に生じる通常業務の中断を最小限にとどめる必要があることでした。そこでIBMは、各段階での効果的な知識の伝達とサポートを確実に行うために、専任のトレーニング・マネージャーとチームを提供しました。この知識の伝達の結果、IBMコンサルタントによるサポートへの依存度は低下し、ピーク時の200人体制から現在は120人程度で対応できるまでになっています。

導入効果

この価値重視の統括的変革アプローチは、世界中のDIACの組織全体にわたって一貫したプロセスを実現するという大きな効果を上げています。具体的には、次のような革新的業務プロセスと組織風土変革をもたらしています。

入国審査のイメージ画像

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