掲載日:2007年10月4日
去る9月4日、社会保障関係のお客様に多数参加いただき、第6回国際社会保障フォーラムを開催いたしました。
ここにそのフォーラムの内容をご報告いたします。
IBMの社会保障分野への取り組み
IBMは国際企業としてグローバル展開する中、社会保障・福祉に関する活動を幅広く行なっており、米国、カナダ、欧州、アジア太平洋など各国政府・行政機関や関連機関との共同プロジェクトに参画しています。そこから得たノウハウを日本でも活かすべく、4年前にIBMグローバルチームと共同で本フォーラムを発足させました。このフォーラムの特徴は、海外における先進的取り組み等に関する説明に関して、行政や関係機関の管理者レベルの方をお招きし直接お伺いし意見交換ができるところにあります。2年目以降は厚生労働省様の後援もいただき、併せて日本の状況についての講演もいただいています。
今回のフォーラムのテーマは「安全安心のセーフティネットを支える国民・利用者中心の社会保障提供とは」。
「国民・利用者中心」は古くて新しいテーマと言えます。日本でも人口の少ない市町村では、利用者中心のサービス提供に向けた取り組みが行われていますが、国全体として国民・利用者中心のサービスが実現しているとはとてもいえません。そのような視点から、日本IBMは「これからの社会保障サービスの提供形態のあり方」と題したグランドデザインを今年春にとりまとめました。今回のフォーラムはこの提言書をより深く掘り下げる目的でプログラムを構成しました。
プログラム内容
まず、日本IBM最高顧問で前経済同友会代表幹事の北城恪太郎が、開会のご挨拶をいたしました。

前サービスカナダ長官
マリーアントネット・フルミアン氏
次に、経済財政諮問会議民間議員で国際基督教大学教授の八代尚宏氏から「日本の社会保障制度の問題点と改革の方向」と題した、基調講演をいただきました。経済や労働環境が変化してきている中で、民間保障との組み合わせや画一的な医療保障見直しなど、社会保障を見直す視点を提示いただきました。
欧州社会保障研究所(EISS)所長 ダニー・ピーターズ氏からは、「社会保障制度の進むべき方向:欧州諸国の視点から今後の社会保障サービスのあり方を探る」と題し、欧州15カ国のCEOのインタビューによる、社会保障制度に対する期待の調査結果をご紹介いただきました。
パネルディスカッションの後、昼食休憩をはさんで、前サービスカナダ長官 マリーアントネット・フルミアン氏による事例研究発表。「サービスカナダ:総合的社会サービスの提供への挑戦」と題してお話いただきました。

講演を傾聴している講演者の皆さん
(中央は日本IBM最高顧問北城恪太郎)
3200万人を越えるカナダ国民のほとんどが利用しているサービスカナダの設立の背景や導入効果についてご説明いただきました。「かつて人が死亡した時には、14の省庁に対して死亡届けを別途提出する必要があったが、サービスカナダ設立後は、1回の届出で全ての手続きが完了する」などの具体的な説明をいただき、参加者の方々も興味深く聞いていました。
ルーベンヌ大学教授 ポール・ショウキンズ氏からは、欧州社会保障システムが抱える課題と解決策」と題してベルギーの事例をご説明いただきました。分権化が進んだベルギーでは、2000もの社会保障機関が、被保険者および雇用主に関する包括的かつ同一の情報を必要としています。個人情報の提供を円滑化する目的で設立されたベルギーのクロスロードバンクについて、個人情報保護や手続き簡素化の取り組みなどをご紹介いただきました。

厚生労働省政策統括官(社会保障担当)
薄井康紀氏
次に、IBMカナダ パートナー マーティン・ダガンから、社会保障関連のビジネスモデルは今後どう変わるかについて話がありました。タイトルは、「可能性から実現へ:国民中心サービスの実現に向けて」。国民・利用者中心のサービス提供には、サービス志向アーキテクチャー(SOA)が必要であるとして、サービスカナダの事例などを交えてIBMのSOA分野における取り組みをご紹介しました。
講演の結びは、厚生労働省政策統括官(社会保障担当) 薄井康紀氏です。「日本における社会保障サービスの展望」と題し、持続可能な社会保障制度構築の必要性をご説明いただき、今年3月に厚生労働省が取りまとめた「医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン」と、7月に提案した新たな年金記録管理体制についてもご説明いただきました。
【総括】 「主要社会保障の動向と取り組み」
最後に、IBMグローバル・ソーシャル・セグメント バイス・プレジデント クリス・ギボンより「主要社会保障の動向と取り組み」について総括がありました。
その中で以下の4項目の提言がありました。
- 継続的な成功の積み上げ
サービスカナダの事例のように、サービスとしての実績をあげる必要がある - 国民を巻き込んだ変革
サービスの継続的な改善とサービスの質に対する国民の納得が必要である。そのためには、政府としても、国民が何を求めるか、直接問いかけ理解する必要がある。国民の信頼を得るためのコミュニケーションを強化する必要がある。 - コミュニティ全体の理解の改善
そのための戦略(ロードマップ)づくりが必要。時代の変化に耐えうる柔軟かつ簡素なロードマップとしなければならない。また、段階を踏んで展開できるような、長期的視点に立ったロードマップが必要である。 - 一貫した業務アーキテクチャー
ITの成功は社会保障の改善の動力源となる。しかし、ITのポテンシャルを十分に活用するにはビジネスとしてのアーキテクチャーが必要である。
そして、日本IBM執行役員 公共事業担当 小出達也より、「次回のフォーラムでは、日本発の『ジャパンイノベーション』として、日本の取り組み事例を他国に紹介する場としたい」との閉会の挨拶があり、第6回社会保障フォーラムは終了しました。
末筆ながら今回のフォーラムのために、お忙しい中ご参加いただいたお客様各位に厚くお礼申し上げます。
日本IBMでは、各国IBMとの連携を深めつつ、今後も社会保障分野のさまざまな問題解決に取り組んでまいります。
なお、今回のフォーラムのサマリーとレジメの冊子をお送りしております。
ご希望の方は、こちらまでご連絡をお願いいたします。
