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国際社会保障フォーラム2011 開催報告

番号制度の利活用と個人情報保護

掲載日:2011年10月5日

会場の様子
去る9月15日(木曜日)、厚生労働省様のご後援のもと、「国際社会保障フォーラム2011」を東京ステーションコンファレンスにて開催しました。
当フォーラムは、2004年9月に東京で初めて開催され、今回で15回目、日本国内では8回目の開催となります。毎年、欧米ならびに国内の行政機関、社会保障関係機関等から多数のご出席をいただき、各国における政策と取り組みのご紹介や意見交換を行っています。

本年のテーマは「番号制度の利活用と個人情報保護」です。
ここにその概要をご報告します。

トーマス・ロイドル博士の写真
駐日オーストリア公使
トーマス・ロイドル博士
まず、日本IBM 理事 グローバル・ビジネス・サービス事業 公共サービス事業部長 佐藤 和喜が開会の挨拶を述べました。2004年から開催されている当フォーラムについてご紹介し、今回のフォーラムの趣旨、テーマ、プログラムについてご紹介しました。また、フォーラム開催にあたりご協力をいただいた、駐日オーストリア公使 トーマス・ロイドル博士より一言ご挨拶をいただきました。オーストリアにおける電子政府サービスは、専門知識を必要とせずワン・ストップで利用できるサービスで、ご自身も財務省のeサービスを通してペーパーレスで確定申告を行っていることなどをご紹介いただきました。

プログラム内容1 基調講演

堀部 政男 氏の写真
一橋大学 名誉教授
堀部 政男 氏
続いて、一橋大学 名誉教授 堀部 政男 氏から、「『マイナンバー』制度と個人情報保護のあるべき姿」と題した、基調講演をいただきました。
2011年6月30日に、政府・与党社会保障改革検討本部は「社会保障・税番号大綱」を取りまとめました。これに関連し、プライバシー保護・個人情報保護の世界および日本国内におけるこれまでの沿革・歴史をご説明いただきました。さらに、番号制度導入に当たっては第三者機関の設置が焦眉の課題であると述べ、大綱に盛り込まれたその要件などをご説明いただきました。そして今後は「Privacy by Design」という新しい考え方がプライバシー論議のキーワードになるとし、ご自身が翻訳中の同名の書籍についてご紹介いただきました。

プログラム内容2 オーストリアの事例紹介

ライナー・シュミッドラドラ 氏の写真
オーストリア社会保険機関中央連合
プロジェクト管理部長
ライナー・シュミッドラドラ 氏
次に、「オーストリアにおけるeHealthの取り組みとe-Cardの活用」と題し、オーストリア社会保険機関中央連合 プロジェクト管理部長 ライナー・シュミッドラドラ 氏より、オーストリアにおけるe-Cardの導入経緯とその活用についてお話しいただきました。
オーストリア社会保険機関中央連合は、労働保険、企業保険、年金保険など23の保険機関でe-Cardを運用するために設立された、民間会社です。実物のe-Cardをお見せいただき表面はe-Card、裏面はEU内で使える健康保険証となっていることをご説明いただきました。オーストリアでは国民に一意の個人識別番号である社会保険番号を付番し、健康保険、介護保険などに利用されています。e-Cardには識別データが含まれ、電子サービスへのアクセス・キーとなっています。健康情報ネットワーク、eHealth相互接続ネットワークを通して、1つのエコシステムとして機能するようになっていて、例えば各医療機関、薬局間でデータの共有が可能となっています。e-Cardを使って、すべての人を対象としたワンストップ・サービスを目指しているとご紹介いただきました。

マーカス・ポポラリ 氏の写真
オーストリア内務省 セクション4
中央住民登録課長
マーカス・ポポラリ 氏
オーストリア内務省 セクション4 中央住民登録課長 マーカス・ポポラリ 氏からは、「オーストリアにおけるeID制度とデータ保護」についてお話しいただきました。オーストリアでは2000年に中央住民登録簿が導入され、内務省がその管理、運営に当たっています。大小2,359もある自治体に導入するにはさまざまな課題がありましたが、翌年の国勢調査に向けて短期間での開発が行われ、全自治体に導入されました。2000年に施行されたデータ保護法に基づいて中央住民登録簿が整備され、社会保険番号とは独立した一意の個人識別番号が使われています。2002年にはすべての自治体がオンラインで中央住民登録簿に住民情報を記録しており、1回のマウス・クリックで、個人のすべての居住地に関する情報が入手できるようになりました。中央住民登録簿は、電子登録、国勢調査、電子市民カードなど、行政におけるさまざまな業務の基盤となります。業務によって分類された26の分野別に識別キーが使われ、セキュアなアクセスが可能です。すでに活用されているeID(市民カード)として銀行ATMカード、e-Cardがあり、これらは市民カード機能の有効化が設定できるようになっているほか、携帯電話にカード機能を入れることも可能とご紹介いただきました。

プログラム内容3 日本政府の取り組みと質疑応答

篠原 俊博 氏の写真
内閣官房 社会保障改革担当室
参事官 篠原 俊博 氏
次に、内閣官房 社会保障改革担当室 参事官 篠原 俊博 氏より、「番号制度の実現に向けた政府の取り組み」と題してご講演いただきました。6月に決定した「社会保障・税番号大綱」について、昨年からの検討体制、利用範囲や制度設計などをご説明いただき、より公平・公正な社会、国民にとって利便性の高い社会といった「実現すべき社会」に向けて社会保障・税・防災の各分野で番号制度を導入していく方針をご説明いただきました。複数機関での情報連携を視野に入れ、アクセス記録の保持や、安心のための保護措置・安全措置、第三者機関の設置などを予定しています。2011年秋以降の法整備、2014年からの番号交付を目指し、現在各地でシンポジウムや都道府県・市区町村職員等説明会を実施しています。あわせて、諸外国における番号制度との比較もご紹介いただきました。

質疑応答の様子
左から日本IBM 岡部 隆一、
一橋大学 名誉教授 堀部 政男 氏
オーストリア社会保険機関中央連合
 ライナー・シュミッドラドラ 氏
オーストリア内務省 マーカス・ポポラリ 氏
内閣官房 篠原 俊博 氏
この後の質疑応答は、日本IBM 公共サービス事業部 官公庁サービス パートナーの岡部 隆一がモデレーターとなり、会場からの質問に答える形式で進められました。
例えば、オーストリアで小規模な地方自治体にも短期間で中央住民登録簿を導入した方法、日本で番号制度が導入された場合の国民のメリット、代理人・後見人の扱い、日本における今後の番号制度の動向などについて、質疑応答がなされました。

まとめ

二コール・ガーナーの写真
IBM グローバル・ソーシャル・セグメント
バイス・プレジデント ニコール・ガーナー
フォーラムの結びに、IBM グローバル・ソーシャル・セグメント バイス・プレジデント ニコール・ガーナーが登壇し、羅針盤Vol.16でも紹介した「第14回国際社会保障フォーラム in 欧州」について言及。「IBMには3,000人を超える社会保障の専門家がおり、グローバルな経験の蓄積がある。ぜひ気軽に相談してほしい」と述べました。
最後に、日本IBM 執行役員 公共事業担当の志済 聡子が、閉会の挨拶に立ち、今年も多方面から多数の方にご参加いただいたことへのお礼、講演者の方へのお礼を述べました。そして、「今年2月に開催したガバメント・フォーラムでも議題となった番号制度がいよいよ具体的に法案を待つ段階となった。海外の事例を参考に、今後の進展を期待したい」と述べ、国際社会保障フォーラム2011は閉会となりました。

末筆ながら今回のフォーラムのために、お忙しい中ご参加いただいたお客様各位に厚くお礼申し上げます。
日本IBMでは、各国IBMとの連携を深めつつ、今後も社会保障分野のさまざまな問題解決に取り組んでまいります。

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