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掲載日:2009年4月6日
この記事は、「行政&情報システム」(社団法人行政情報システム研究所 刊)2008年8月号に掲載された、弊社寄稿記事を許可を得て転載したものです。
サーバー統合により大幅なコスト削減と環境問題への対応を目指す
IBMでは環境問題への取り組みとして、2007年に"Project Big Green"というイニシアチブを発表し、その中で最も大規模なプロジェクトとして、社内ITインフラのサーバー統合プロジェクトが始動しました。IBMはITベンダーであると同時に世界中に38万人の社員を抱える巨大なユーザー企業です。イノベーションを支える柔軟かつ機動力のあるITインフラが求められると同時に、TCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)の削減によるコスト低減を実現すべく、IT最適化の切り札としてサーバー統合が検討されました。
半年間のパイロットの結果を基に試算した結果、社内にある分散サーバーのうち約3,900台を30台のメインフレームに統合することで、今後5年間に数百億円規模のコスト削減が実現でき、同時に電力消費が大幅に減少することにより、地球環境問題への対策としても期待効果が大きいことが分かりました。
ここでは、2007年から5年かけてグローバル規模で実施されるIBM社内システムのサーバー統合について、その経緯とプロジェクトの概要、TCO削減および省エネルギー効果についてご紹介します。
IBMの変革と"Project Big Green"
IBMは2007年5月に"Project Big Green"というイニシアチブ[1]を発表し、その中の社内改革プロジェクトの一つとして、社内ITシステム統合化プロジェクトがスタートしました。
その最大の目的は、社内のITインフラを刷新して、自社ビジネスをサポートする強力なIT環境に変革させることにあります。しかしながらITに掛かるTCOの削減は最重要課題であり、地球環境への配慮は、IT業界をリードする企業としての社会的責任でもあります。これらに対する具体的対応が社内外から問われていました。
IBMは世界170カ国以上で事業を展開しており、世界中のお客様に製品やサービスをご提供すると同時に38万人以上の社員を抱える企業として、グローバル規模での社内ITの変革が求められています。お客様に価値あるイノベーションを実現していただくためには、自らがイノベーションによる変革を実践し、モデル企業となる必要があるのです。
社内ITについては、戦略的なデリバリー・モデルに基づいて過去10年間にデータセンターやアプリケーションなどの統廃合を行ってきており、グローバルでの資源配置や全社レベルでのアーキテクチャー最適化を実施してきました(下図・下表)。
しかしながら、ビジネス状況の変化に対応していくには、迅速なサーバー追加やアプリケーション開発が必要であり、サーバー台数の増加や開発および運用コストの増加傾向を抑制することは難しい状況にありました。

グローバル規模で進むIBM社内システムの変革を示す表
ところが、近年になってCPU(中央演算処理装置)能力の向上とそれに伴うCPU資源の有効活用の観点から仮想化技術が注目され始め、サーバー統合が一般的にも注目されるようになりました。
仮想化技術は、約40年も前にIBMメインフレームで実装が始まり、長い歴史の中で熟成されてきた技術です。この技術によってハードウェア資源の稼働率を高め、サーバー台数を減らすことで電力や空調そして設置スペースを削減できる、というのがサーバー統合の基本となる考え方です。2006年末の時点で、社内には約8,600台のUNIXやWindowsが稼働する分散サーバーがあり、その多くが導入して5年以上を経過したものでした。それらは稼働率が低いながらも撤去はできない「塩漬け」のサーバーであり、維持および運用に大きなコストが掛かっていました。また、古いマシンは能力が低い割に消費電力が大きく、スペース効率が悪いことも問題でした。
このサーバー統合のアイデアは社内のコミュニティーで議論されました。それが経営層に認識され、実働部隊が組織されることで、プロジェクトが2007年2月に本格スタートしました。
参考文献
[1] : 「データセンターにおけるエネルギー危機に対する取り組みを発表」
http://www.ibm.com/jp/press/20070511001.html

