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メモリーテック株式会社

映像マスターを管理するアーカイブシステムにLTOを統合

メモリーテック株式会社(以下、メモリーテック)は、1985年に三菱商事株式会社と東京電化株式会社による合弁で設立されました。当時、東京電化はアナログレコード生産の最大手で、レコードからCDへというメディアの移行に対応すべく設立されたCDプレスメーカーという位置づけでした。その後、ポニーキャニオン、エイベックスといったレコード会社の出資を受け、現在CD、DVDなどの光ディスクの月間生産能力では6,900万枚を超える業界最大手です。

しかし、インターネットやブロードバンド回線の普及から、音楽や映像コンテンツの配信方法は、光ディスクのようなメディアだけでなく、さまざまに広がっています。これと呼応するように音楽CDの分野はすでに市場規模は縮小傾向にあり、1998年には457百万枚あった国内のCD生産枚数は、2007年には260百万枚にまで落ち込んでいます(日本レコード協会調べ)。そこでメモリーテックが目指すのが、映像、音楽コンテンツと記録メディアを中心に付加価値の高いサービスを提供する、総合的なサービスプロバイダー企業です。これまで培った光メディアに関する技術やデジタル音楽・映像コンテンツに関するノウハウ、コンテンツホルダーとの強力なコネクションをいかした、新しいビジネスの創出とその育成がメモリーテックの現在の大きな課題といっていいでしょう。

映像・音楽データのアーカイブと管理

音楽や映像は、CD、DVDで鑑賞されるだけでなく、パソコンや携帯電話、デジタル携帯プレイヤー向けに加工、配信されます。ターゲットとなる機器や環境に合わせて、圧縮方式もさまざまなものが利用されるようになっています。このようなシングルソース・マルチユースを効率的に実現するために開発されたソリューションが、アーカイブシステム「スターカイブ(Starchive)」とデジタルアセット(資産)管理システム「カレイダ(KaleiDA)」です。音楽や映像コンテンツを扱い、コンテンツホルダーを顧客に抱えるメモリーテックが、自社の強みを活かし、サービスプロバイダーへと発展していくために重要なシステムです。従来のメモリーテックの事業とは切り離した形でビジネスを展開しているため、CDやDVD製造の分野では競合するパートナーとも提携を行い、戦略的に事業を展開しています。

アーカイブシステムには、ハードディスク、光ディスクUDO(Ultra-density Optical Media)が階層的に接続されており、ハードディスクにデータを書き込むと、同時にUDOにバックアップされる構造です。ストレージとアーカイブが合体したこの機能から、スターカイブ(Storage+Archive)と命名され、すでに4年の実績があります。UDOは、オートチェンジャーを利用するため、人手を介することなく複数のメディアを入れ替えることのできるシステムです。

カレイダは複数のモジュールから成っていますが、それらのモジュールが、コンテンツの統合管理、コンテンツの制作進行管理、コンテンツの配信、コンテンツの販売管理を可能にします。マスターデータの一元管理だけでなく、たとえばコンテンツの配信(カレイダオート)モジュールを導入すれば配信フォーマットへと自動変換が可能になりますし、JASRAC(日本音楽著作権協会)へ提出する書類を自動的に作成するような機能も持つ、統合型のソリューションです。歌詞やジャケット写真、原盤情報、プロモーションビデオなど、コンテンツにまつわるさまざまなデータをヒモ付けして管理することができ、業務や利用者によって、同じアセットをさまざまな切り口で見せることができる、という意味から万華鏡(カレイド・スコープ)から名前が取られました。

写真1:「カレイダ」の導入されたモバイル端末の写真。「カレイダ」により、映像コンテンツはモバイル端末向けにも自動配信が可能。

これらのシステムはメモリーテックが自社開発したもので、容量の大きなデータも効率よく管理できるのが最大の特徴です。しかし、音楽や映像コンテンツは1度作られたものは、なくなることがなく、年々増え続けます。また、この種のコンテンツは、長期間にわたって売れ続けるという、いわゆる「ロングテール現象」と呼ばれる特質を持っているため、ラインナップからはずすことができません。つまり、管理しなければならないデータは、時間とともに限りなく増え続けることになります。

音楽データの場合は、映像コンテンツに比べれば容量は小さいものの、同時にプロモーションビデオのデータも管理するというケースも多く、そうなるとやはり膨大なデータ量となってしまいます。そのため、UDOよりもさらに容量の大きなメディアがどうしても必要でした。リムーバブル・ハードディスクを利用することを検討したこともありますが、コストパフォーマンスや耐用年数の点で、アーカイブには向かないと判断しました。

業界標準でデータ容量と転送速度にすぐれたLTO

そんなときに出会ったのが、2007年発表されたIBMのLTO4製品です。現在、UDOの容量が60GB、転送速度が12MB/秒であるのに対し、LTO4は非圧縮データで容量が800GB、転送速度が80~160MB/秒と容量だけでなく転送速度にもすぐれています。UDOは最新光ディスク技術を採用した5インチMOの後継にあたる業務用製品で、2009年には120GBメディアのリリースがアナウンスされていますが、LTOの容量は、6.4TBまでのロードマップが公開されています。

そこで、メモリーテックでは、IBMのLTO4製品であるテープ・ライブラリー装置をスターカイブ、カレイダに統合することにしたのです。アーカイブシステムからは、LTOもUDOと同様に見えるようにシステムをアップデートし、これにより大容量の映像マスター管理にも対応できるようになりました。

採用する製品が、業界標準規格であることも重要でした。コンテンツホルダーにとって最も重要なアセットを保管するわけですから、データのリーダビリティを保障するためにオープンで標準となっているシステムを使い、標準フォーマットで書き込んでおくことは大切です。LTOはIBMだけでなく複数のトップメーカーによって策定された、業界標準規格です。書き込みには、DVDなどでも採用されているやはり標準的な方式であるUDFフォーマットが採用されています。

写真2:スターカイブ・カレイダのシステム。下、左からハードディスク、IBM LTO、UDO

IBMと幅広い協業を目指す

メモリーテックのLTO製品の採用は、映像コンテンツのマスター管理を目的としたアーカイブシステムには必要な選択でした。しかし、メモリーテックは、IBMとの協業は、今後の展開を考えても重要であると考えています。IBMは、デジタル映像システムのインフラ構築やトータル・サービスを世界市場で提供してきた実績があります。また、IBMには、大容量データを取り扱うメディア企業向けに考案した、SOA(サービス指向アーキテクチャ)ベースの「Media HUB」というソリューション・フレームワークもあります。

大塚 正人 氏の顔写真
メモリーテック株式会社
執行役員 開発センター長
大塚 正人 氏

メモリーテックのアーカイブ・デジタルアセット管理ソリューションを、IBMの持つインフラ構築の実績やソリューション・フレームワーク「Media HUB」の上で展開することで、将来的にお互いのメリットを高めあうことができるのではないかというのが、現在の、メモリーテックとIBMの共通した認識です。メモリーテックのスターカイブとカレイダは、音楽、映像コンテンツの管理を行いますが、Media HUBは、コンテンツの作成、編集、管理、送出までのシステムの統合性や、コンテンツ制作プロセスとビジネス・プロセス間の連結性を向上することができます。

欧米市場で実績を持つIBMが協力することで、日本だけでなく中国にも拠点を持つメモリーテックは、その両国において
「今後のデジタル・コンテンツ市場をリードしていくことが可能となり、映像、音楽、教育の分野でバリューを提供することができると考えています。」(大塚氏)

今回のIBM LTO4製品の採用は、メモリーテックにとっても、IBMにとっても、そのための重要な転機となると期待されています。

図 :スターカイブ・カレイダのシステム構築例

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