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広告業界は、今後5年の間に過去50年間を上回る変化を経験することになるでしょう。主導権を握りつつある消費者や独立色のより強い広告主、ますます進化するテクノロジーによって、広告の販売、制作、消費の方法、すなわち広告のあり方が変わりつつあります。
私たちの調査によって、これから繰り広げられるであろう広告業界の4つのシナリオ 、そしてこれらのシナリオを形作る要因を占ってみました。放送事業者や配信事業者、広告代理店といった従来型広告ビジネスの中核にいた企業は、消費者、ビジネス・モデル、ビジネス設計のイノベーションを実現することができなければ生き残ることができないかもしれません。
広告業界に変化をもたらす4つの要因
IBMは、世界の2,400人以上の消費者に対する調査と、広告業界におけるエグゼクティブ80人を対象とした調査を、ボン大学のCenter for Evaluation and Methodsと共同で実施し、広告業界における主導権を転換させるであろう4つの要因を見出しました。
Attention(認知)
多数のチャネルが存在する世界では、リニア・テレビに対する消費者の関心が薄れていっており、消費者は広告をスキップ・共有・評価するツールを使用し、広告の閲覧やフィルター方法、広告との係わり合い方をますますコントロールできるようになりつつあります。
Creativity(独創性)
テクノロジーのおかげで、ユーザー作成型、peer-delivered型(ピア配信型)のコンテンツが台頭し、消費者との間で広告売上げをシェアするようなモデルもでてきています。現在では、広告代理店によって制作されたものと大差ないほど消費者にとって魅力的な広告コンテンツを、アマチュアやセミプロフェッショナルのクリエーター達が低コストで制作しています。
Measurements(測定)
広告主はより個別で詳細な広告効果の測定を求めるようになってきており、既存のマス市場モデルに圧力をかけつつあります。IBMが調査を実施した企業のエグゼクティブの2/3は今後3年以内に、広告収入の20%がインプレッション・ベース広告からインパクト・ベース広告へシフトするとみています。>
Advertising inventories(広告インベントリー管理)
新規参入者によって、オープンで効率的に広告枠が流通されるようになり、従来は特定の事業者しか利用できなかったスペースに、広告枠を開拓しつつあります。その結果、調査を実施した広告企業エグゼクティブの半数以上が、放送事業者などの既存事業者が得ている収入の30%が今後5年の間にオープン・プラットフォームに流れるだろうと予測しています。
広告業界の4つのシナリオ
2012年までに広告業界で起こりうる4つのシナリオを想定するために、私たちは最も不確実な二つの変化要因である「広告消費の主導権」と「広告インベントリー管理のオープン性」を比較してみました。全世界にわたるメディア形態上に存在する事業者がそれぞれ異なった速度で発展していくため、今後次のような 4つのシナリオが共存すると考えられます。
Continued Evolution(継続的進化)
このシナリオでは、一対多モデルがまだ優勢です。しかし、デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)の普及、ユーザー主導型コンテンツやpeer-delivered型コンテンツへの人気の高まり、そして新たな測定機能に適応しながら、広告業界は進化していくでしょう。
Open Exchange(オープンな流通)
広告形態の大部分が従来と同様の形態を保つと考えられますが、効率的でオープンに広告が流通することにより、仲介事業者を介さない方法で、ますます多くの広告が売買されることになるでしょう。
Consumer Choice(消費者による選択)
押し付けの広告にあきた消費者は、広告を閲覧したり、フィルタリングする上で、さらに主導権を発揮するようになるでしょう。
Ad Marketplace(進化した広告市場)
消費者は視聴するメディアを自ら選択するなかで、自分たちが望む広告タイプを選択するようになり、広告の制作や配信にもさらに関わってくるようになるでしょう。
広告のバリュー・チェーンが再構成されることによって、特に放送事業者、広告代理店、メディア配信事業者は、「消費者イノベーション」「ビジネス・モデル・イノベーション」「ビジネス設計とインフラストラクチャーのイノベーション」の3つの分野でいくつかの「後悔しない」アクションをとる必要があると考えます。これら のアクションは、将来どのようなシナリオが展開されるかにかかわらず必要になります。
業界の展望
広告業界の未来が過去と大きく変化することは間違いありません。認知・独創性・測定・プラットフォームのコントロールを巡る奮闘は、広告のバリュー・チェーンを作り変え、業界内のパワーバランスを変化させるでしょう。
前述の変革のサイクルにおいてみてきたように、未来を過去から推定することはできません。既存企業に加え、新たな企業が広告業界に参入し、各社がより競争優位に立とうと奮闘する中、今後の異なるシナリオに向けて戦略を立て、尚且つ、すべてのシナリオに対して他社に負けない能力を築くことが欠かせません。
広告バリュー・チェーンのどこに位置していようとも、業界関係者は、進行中の業界変化に確実に対応していくために、イノベーションの3つの基盤である 「消費者」、「ビジネス・モデル」、「ビジネス設計およびインフラストラクチャー」 に対応していく必要があるのです。

