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3つの"I"がスマートな医療システムを実現する
日々のニュースで目にするように、現代の医療は、多くの問題を抱えています。しかし、その問題の多くは、医療がシステム化されていれば、避けることができたかもしれません。医療過誤や、患者への不完全なケア。長期間かかる新薬の開発や承認。医師をとりまく過酷な労働環境。これらの問題は、製薬会社や医療機関や各地域の診療所、薬局、医療に従事しているすべての者、患者、製薬会社などの関連企業、そして地域全体をつなげ「スマート」にすることで、改善できる可能性があります。
では、スマートな医療システムを実現するためには、どうすればいいのでしょう。
ひとつ目は「機能化」することです。
無線ICタグを利用することで、外科手術用の人工器官の製造から患者の体内に移植するまでを追跡できます。また、最先端の遠隔測定装置つきの予測医療システムを利用することで、瞬時に医師と患者の間で情報が共有でき、高齢者の在宅ケアも可能になります。「機能化」することで、個人レベルでの正確な医療データをリアルタイムに把握でき、患者の容態が悪化する前に医療サイドから処置を促すことも可能になるのです。
ふたつ目には「相互接続」することです。
地域ごとにセキュアな医療ネットワークシステムを構築することで、患者がどの診療所や病院を訪れても、患者の同意にもとづき、医師は最新の診療データを参照できるようになり、より迅速で正確な治療が可能になります。患者視点で言えば、同じ検査を何度も繰り返さずに済みます。また、分散されている貴重な臨床研究データの収集、管理、更新を自動化でき、コスト削減にもつながります。「相互接続」することで、医師や患者がシームレスかつ効率的にデータを共有できるようになるのです。
最後に「インテリジェント」化することです。
各種の臨床および経営にかかわる情報を、統合された環境で一元管理することにより、患者中心の医療を実現することが可能です。また、これらの情報を2次活用することで、医師は豊富なデータをもとに最善な判断ができ、さらに質の高い治療を提供できるようになります。「インテリジェント」化することで、診断、治療、研究、経営の改善に先進の解析手法を応用できるようになるのです。
日本では、IBM と千葉県がんセンター、千葉大学が共同で、小児がんの新しい治療薬の開発を目的とした「ファイト!小児がんプロジェクト」を開始しました。当プロジェクトでは、世界中のパソコンの空き時間を有効利用する「ワールド・コミュニティー・グリッド」(WCG)というスマートな仕組みを活用しています。WCG には誰でも参加することができ、現在200 カ国以上から約43 万人が参加し、120 万台以上のコンピューターの空き時間、例えばスクリーン・セーバー起動時などの処理能力を提供することで、スーパーコンピューターに匹敵する膨大な処理能力を生み出しています。これを活用し、約300 万個もの低分子化合物の組み合わせをシミュレーションすることによって、新しい候補薬剤を見つけ出していきます。通常のパソコンでは数千年程度を要する解析を、最短で約2年に短縮することが可能になります。
IBM の考える賢い医療システムとは、現在のさまざまな医療の障壁を超えていくシステムです。データが常に共有され、医療機関の各担当者が患者の最新データを常に把握でき、ネットワークで結ばれ、患者に関わるすべての人がチームとして医療を提供することなのです。これにより、コスト削減、医療の質の向上、人、コミュニティーの健全化を図ることができます。「スマート化」により、患者中心の医療という本来の姿が実現されるのです。
