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A SMARTER PLANET スマートな交通・輸送

見えない物流の効率化で再生の活路を見いだせ

社会インフラの「スマート化」と企業としてできる「スマート化」


モビリティ・イノベーションの竹内さん
東京、大阪など過密都市を抱える日本では、交通渋滞を解消するために道路整備に加えて90年代に入ってITを活用したカーナビゲーションシステムやITS(高度道路交通システム)の導入など、さまざまな対策に取り組んできました。 最近では、車もGPS(全地球測位システム)搭載で機能化が進み、プローブ情報(自動車からの情報)を相互利用することで、よりスマートな物流システムを実現する環境が整ってきています。

「物流の無駄をなくすために、共同物流などの対策が有効であると、どの企業も理解しているでしょう。それをどう実現するかがポイントです」


グリーンSCMの
宮本さん
交通渋滞を解消するためのインフラ整備から、より具体的な物流コストの削減策まで、日本IBMの未来価値創造事業理事の竹内淳一さんと、IBMビジネスコンサルティングサービスのサプライチェーンマネジメント(SCM)、グリーンSCMのマネージング・コンサルタントの宮本龍也さんに話を聞きました。

― 交通・物流の効率化を妨げている渋滞問題は、これまでも様々な対策が講じられていますが、今後の展望はいかがでしょうか?

竹内: 日本では、渋滞情報を提供するVICS(道路交通情報通信システム)など世界的にみても画期的な仕組みを構築してきましたが、道路インフラの不足もあり、まだ渋滞解消に満足できるレベルではありません。一方、自動車メーカーでは、カーナビゲーションシステムの能力向上を重要な戦略に位置づけ、協力してくれるユーザーのプローブ情報を使って渋滞を避けて最適なルートを選択できる機能を提供し始めています。
都市における輸送能力は、いかに企業や投資を呼び込むかとの観点からも重要です。工場に部品を運ぶ場合でも、渋滞で1時間以上の誤差が生じるようでは生産計画も立てられません。海外の企業がアジアに拠点を置こうとするときも、都市部の輸送能力はビジネスのスピードに直結し、拠点選択の重要要素です。
東京都では、都内の平均走行速度を現在の時速18キロから25キロをめざす目標を掲げています。それを実現するには、環状道路などの迂回ルートを完成し、ボトルネックの踏み切りを立体化するなどハードウェアを整備すること、そしてインフラを如何に賢く使うか、が重要とされています。

― サプライチェーンの観点からは、交通渋滞はどのような影響を及ぼしているでしょうか。

宮本: 交通渋滞が酷くなると、物流業者は、通常1台のトラックで済むところを2台に増やすことになり、輸送コストが増えるだけでなく、CO2 も増加します。倉庫の方でも、いつトラックが到着するか判らず、物流業者ごとに時間指定するなどの対策が必要になります。指定時間に遅れないように倉庫近くでトラックが待機するのでは輸送効率が悪く、アイドリング運転でCO2も増えるなどの原因にもなります。 輸送ルートを最適化することで、通常、10%~20%の物流コスト削減が期待できますが、渋滞緩和が実現できれば、それ以上の効果が見込まれると思われます。2008年秋以降の急速な景気悪化で、短期的なコスト削減を進めるため、物流コストに着目する企業が増えていますが、今を乗り切るための短期的な観点だけでなく、これからのための「今」を考え、CO2を削減するグリーンSCMの観点も視野に入れることも重要ですね。


インタビューワーの
千葉さん
― 企業にとって、交通渋滞を解消する道路インフラ整備を待っているわけにもいきませんね。

竹内: 東京はこれだけ人口が過密であるにも関わらず、公共交通機関を発達させ、よく対応しているといわれます。現在、ITSの将来に関する調査「ITS2020」を世界各都市で進めているところですが、成熟した都市はどこもインフラをこれ以上は増やせない状況です。東京もある程度インフラが整備されたあとは交通需要をシフトし最適化して高利用率にするなどの工夫が必要になるでしょう。 渋滞対策とCO2削減を図るためにロードチャージを導入する都市も出てきていますが、経済価値の高い地域に車を乗り入れる時には、それなりの対価を支払うことで需給バランスを取ることも考える必要がありますね。



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