今、ウォーター・マネジメントを「社会基盤」として、「産業基盤」として、真剣に考える時を迎えています。
水は地球の、いわば血液です。安全で十分な量の水が循環する環境のもとで、全ての生物は育まれ、農業・工業が発展してきました。
現在、安全な水を飲めない人は世界の全人口の約6分の1を占め、将来的に、何らかの水問題を抱える人は、世界の3分の2に達するとの予測がされています。安全な水を、人が生きるための基盤として地球全体で整備する必要性が日増しに強まっています。

1995年、当時世界銀行の副総裁であったイスマル・セラゲルディン氏は「20世紀の戦争が石油をめぐって戦われたとすれば、21世紀は水をめぐる争いの世紀になるだろう」と予測しました。21世紀に入り、水の大半を隣国マレーシアからパイプラインで輸入しているシンガポールではマレーシアからの100倍の値上げ要求に危機感を抱き、水の安定確保を安全保障上の問題として国をあげて取り組んでいます。
まさに国家にとって水は「新たな石油」と言える存在となっています。
しかし、人口増加や新興国などでの経済発展で、水需要が急増し、水不足が深刻化する地域が拡大。また、地球温暖化などの気候変動で、渇水・洪水リスクが高まることも懸念されています。
このようなことを背景に、世界の水ビジネスの市場規模は2025年には100兆円規模に達し、水の事業運営、管理業務分野が大きく伸びると予想されています。
一方、年降雨量が世界平均の2倍の1,690ミリと水に恵まれながら台風による洪水・高潮被害も多い日本—。1964年の東京五輪渇水以降、首都圏での深刻な渇水は発生しておらず、水不足はあまり心配されていませんでした。
しかし、一人当たりの降水量や水資源量で見ると、世界平均の半分以下で、決して水が豊富なわけではありません。(以下表参照)
年間降水量と水資源量
- 日本の年間降水量は世界平均の約2倍
- 1人あたりの水資源量は、世界平均の約3分の1

(資料出典: 国土交通省土地・水資源局資料より)
日本でも地球温暖化の影響によって、渇水・洪水リスクが増大する可能性が出てきています。
緑のダムである水源林が人手不足などで荒廃が進み、温暖化が原因とみられる年降水量の変動幅の拡大や、天然のダムの役割を果たしてきた積雪量の減少で、渇水や洪水が発生しやすくなっています。しかし、国・地方の財政悪化で、ダムの建設や老朽化が進む水供給施設の更新も難しくなってきています。一方、水ビジネス市場では、優れた節水技術や水処理技術を持ちながら、欧米企業に比べて大きく出遅れているのが実情です。
社会的にもビジネス的にもいっそう重要性が大きくなっている「水」ですが、今まで地域の問題として扱われてきたため、水のエコシステムの全体像が見えないのが現状です。その現状を打破するために、水資源に関する全ての情報を共有・管理するウォーター・マネジメントを「社会基盤」として、そして「産業基盤」として真剣に考える時期を迎えています。
IBMは2009年3月、深刻化する水問題への対応と、今後拡大が期待される水資源ビジネスを支援する技術サービス「アドバンスト・ウォーター・マネージメント」を発表しました。なぜ今スマートな水管理が必要なのか、世界の潮流をふまえ、日本の動向とIBMの取り組みをご紹介します。
- 世界の潮流
世界で始まっているスマートな水資源管理の例をご紹介
- 日本の動向
日本でも総合水資源管理の動きが活発化
- IBMの取り組み
「ウォーター・マネージメントの実現をめざして」IBMアドバンスト・ウォーター・マネージメントの責任者、キャメロン・ブルックス、日本IBMの担当者、菊山、長田のインタビュー(以下表参照)
