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迫り来る水の危機
地球は「水の惑星」と言われていますが、水資源の中で実際に利用可能な淡水は、わずか0.01%にすぎません。そして今、水をめぐる問題は世界的に切迫しています。
2010年夏、パキスタンや中国を襲った大洪水は甚大な被害をもたらしました。またロシアでは記録的猛暑と少雨による干ばつ被害拡大のため、小麦などの穀物輸出一時禁止措置がとられました。2009年公開の「Smarter Planet:スマートな水資源管理」でもお伝えしましたが、地球温暖化に伴う気候変動の影響による世界的な食糧危機などを考えれば、食料自給率40%の日本にとって決して他人事ではないことがおわかりいただけるでしょう。
日本ではほとんど意識することがありませんが、世界では上下水道の未整備も深刻な問題です。国連の推計によれば、世界人口の20%に相当する11億の人々は安全な飲用水を確保できていません。下水処理施設がなく、汚染された水を飲まざるをえない国では、毎年200万人以上がコレラなどに起因する病気で亡くなっています。(2008年国連推計)
また、中国やインドなど急激な経済成長の進む新興国では工業用水の需要が急増し、国をまたぐ川の流域では水をめぐって国家間の新たな対立の火種が生まれつつあります。
このように、地球温暖化の影響と、人間が利用する水の総量が飛躍的に増大した結果、需給バランスが崩壊し、水に関するさまざまな問題が世界中で起こり始めています。
加速する水ビジネス
そうした中、世界で注目を集めているのが、水の効率的な管理と活用を実現する「スマートな水資源管理」です。中でも上下水道や工場排水処理、海水の淡水化などの管理・運営を中心に、プラント建設や部品生産などの関連業務までを一括して請け負う「水メジャー」は2010年現在、60兆円と言われる規模にまで成長しています。
一方、日本でも東京都や横浜市、大阪府、北九州市など、自治体の水ビジネスに関する動きが加速してきました。「東京都の漏水率は世界で最も低く、施設管理や料金徴収システムなど、輸出できる技術は多くあるでしょう」と語るのは、「第2回 IBMアドバンスト・ウォーター・マネジメントセミナー」でも講師を務め、水の安全保障戦略機構・技術普及委員長、経済産業省「水ビジネス国際展開研究会」の委員やさまざまな方面で水問題の重要性を啓蒙している、グローバルウォータ・ジャパン日本代表の吉村和就氏です。
国土交通省は2010年7月、官民連携で海外の水インフラ・プロジェクトを展開するために、「海外水インフラPPP* 協議会」を設置しました。最大の特徴は、水にかかわる全官庁が民間企業とともに加わっている点です。第1回同協議会の冒頭で前原誠司国土交通大臣は、「水インフラ市場は2025年には約80兆円規模に成長する見通しであり、官民挙げて海外展開に取り組む必要がある」と強調しました。
*PPP:Public-Private Partnership
日本が世界市場に進出するために何が必要なのかについて、次の章で紹介します。
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