その気になればIT環境をアップグレードすることができます。業務プロセスを刷新することもできます。しかし、ビジネスを変革するには、社員自身を変えなければなりません。考え方、協力のあり方、リソース活用の仕方などを変えることです。
企業文化を変えるのはそれほど単純ではありません。長期にわたり悪戦苦闘を強いられる上に、特別なリーダーシップも必要となります。IBMシニア・バイス・プレジデント Linda Sanford(リンダ・サンフォード)とゼネラル・マネジャー Ross Mauri(ロス・マウリ)が企業文化の変革について語ります。



企業における変革は、最終的には社員がもたらすものです。というのは、彼ら社員は日々刻々と企業活動のあらゆる現場で数百万件にもおよぶ決断をしているからです。テクノロジーを取り入れれば新しいソリューションが手に入り、経営陣はそれを使うよう指示することはできます。ところがそのソリューションもテクノロジーを使いこなし、積極的に導入し、信頼するレベルまで達しなければ実際には何も解決はしません。 「時間をかけて変革を積み重ねていくことは、オンデマンド・ビジネスの実現には不可欠な要素なのです」これは、リンダ・サンフォードの言葉です。「企業自体の変革能力が企業の命運を左右するのです」
「IBMではお客様と協同して、企業の持つ企業文化とその価値に焦点を当ててIT業務を開発しています。というのも、ITシステムを変更する方が社員の意識を改革するよりも容易で、そのITシステムの最も重要なところとかかわるのはそれを利用する社員だからです。こうすれば、自社の社員規範を旧来のものから新しいものへと移行させ、変革を進め、革新的に変身させることができます。さらに、企業文化は ITと相乗効果を生み、変革を推進します。企業文化は革新の原動力にもなりうるし、率直に言うと、革新の阻害要因にもなりうるということです」
ロス・マウリ |
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「企業文化は革新の度合いとスピードに影響を与えます。だからこそ新しい方法への社員の対応や習熟が欠ける場合は、業務を変革しようとする機運が低調になります。これは私の持論ですが、企業文化は、さまざまな局面で、企業が変革を遂げようとする自己変革能力を大きく左右します」
リンダ・サンフォード |
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文化の変革は、命令を受けて達成できるものではありません。変革に取り組むには真のリーダーシップが必要です。つまり社員を奮起させ、好機を逃さず、チームの育成やイノベーションなど定量的に評価できない実績にも報償を与えることです。 とはいえ、即効は期待薄で、それほど簡単なことでもありません。しかし、最終的には社員は今まで以上に生産性が向上し、権限委譲を受けます。所属部門や専門領域の垣根を超えて会社全体の成功へ向けて取り組む姿が見られます。
「協調的な社風を生み出すためには、組織を柔軟にしておく必要があります。社員が組織の命令によって行動を起こすのではなく、市場の変化、要求、チャンスなどを感知し、それらにすぐに対応できる体制を整えておく事が重要なのです」
リンダ・サンフォード |
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「オンデマンドの世界では、役員同士は今まで以上に連携が必要になり、また影響力を発揮する必要があると思います。その理由は、旧来の方法は必要ではあっても、その方法がイノベーションを阻害することもあるからです。企業が革新的な文化を持つようになれば、やみくもにただ厳しくする必要はなく、ただ社員を奮起させ、ご自身がリーダーシップを発揮するだけでよいのです」
ロス・マウリ |
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オンデマンド・ビジネスは、さまざまな「つながり」の上で成り立ちます。ITシステムの力により、種々のプロセスも円滑に通信が可能となり、シームレスに統合ができます。それに特に重要なことは、人同士が共同して作業ができることです。 本格的な共同作業とは、ただ人が集まって話し合えばよいというわけではありません。個々のアイデア、経験、リソースをプールしておいてさまざまなソリューションを考え出すことで、ただの寄せ集めとは異なることです。ここから生まれたブレークスルー・ソリューションは、企業が自社の本当の価値を生み出せるところです。自社の価値の創造。これが企業にとって最初に IT環境およびビジネス・プロセスからオーバーホールを始める理由になっています。
「共同作業ということを考慮する際、まず、その定義を理解することが大切だと考えます。私に頻繁に折り返し電話をくれれば済む問題ではありません。会議に参加すれば済む問題でもありません。第一に、共同作業の重要なことは何よりもまず相手の言うことにひたすら耳を傾けることです。第二に、個々の経験や知識を共有する形にし、全員にオープンにすることです。このオープン共有方式により、各自のアイデアを知ることが可能になり、その中から優れたところを利用できるようになるのです」
リンダ・サンフォード |
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共同作業、権限委譲(エンパワーメント)、ブレークスルー・ソリューションなどは、言うまでもなく一夜にして成し遂げられる変革ではないでしょう。しかし、ほんのわずかな変革を段階的に進めていくことで、経営陣はリンダ・サンフォードが「よい循環」と呼んでいる、自己永続的なプロセスを実行に移すきっかけを作ることができます。こうした「よい循環」は成長のエネルギーとなり、より規模の大きな変革や成長を継続的に支えることさえ可能にします。
「権限委譲を行うために組織内の社員を重視することは、オンデマンド・ビジネスでは特に重要です。そして、権限委譲は、共同作業や変革を行うため、すぐれたアイデアを引き出すために必要です」
ロス・マウリ |
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「それでは、企業が成長エンジンに点火するにはどうすればよいのでしょうか。そうですね、IBMの社員から聞くところでは、とにかく彼らは時間に追われています。できるなら時間を戻したいほどのようです。そこで、成長への秘策は、自由にできる時間を増やすことです。そして、その時間を使って、共同作業をする社員を探して、事業部の枠を越えて支援したり、絶好の機会にあわせてアイデア、独創性、経験を持ち寄り一緒に仕事を始めるのです」
「オープン型共有では、ブレークスルー・イノベーションがどのように行われるのかを観察できることはとてもすばらしいことです。ブレークスルー・イノベーションとは、新たなアイデア、新たな機会、新たな問題解決方法のことです。こういったものは、生産性という新たな問題に再利用することができます」
リンダ・サンフォード |
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企業文化の変革を進めるには、特定分野にリーダーシップを発揮する人が求められます。企業が目指す将来像について語りあい、お互いの認識を深め、さらにそれを具体化する能力のある人です。そういった人は、デスクワークを積極的に離れて、部門間の壁を越えて飛び回り、同じ志を持つ社員には報償を与える必要があります。オンデマンド・ビジネスに必要とされる役員とは、職務を遂行する上に、社員の手本となる人です。
「組織の役員や部長には決定的な役割があると思います。2つの観点からです。 第1は、役員や部長は自ら手本を示す必要があるということです。ということは、社員に対して特定の企業活動を求める場合、自身の行動と同じ行動をとるように要求した方がよいということです。 第2の役割は、自分達が社員に求め理想としている行動に対し、評価を示しそれに報償で応えるということです。ただ「新しい会社ではこのような行動規範が必要になります」と言うだけでは十分とはいえません。人にハイライトを当てるのです。ある意味では、彼らをヒーローにすることです。その人たちの行動によって当社は成果を確実に出すことができたと社員に知らせることです」
リンダ・サンフォード |
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「リーダーは変革を推進する際に、コミュニケーションを円滑にしていく必要があります。企業文化を変革する際はことさらです。目標が何かを確実に伝える必要があります。その理由は、企業は目標を達成したいのであり、社員がその目標を達成できるように支援する必要があるからです。だから、コミュニケーションは最優先事項になるのです。社員は、なぜ企業が変革する必要があるのか、自分たちは何をなすべきかを本当に理解しているかが問われるのです。」
ロス・マウリ |
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たとえ企業文化の変革について明確な意図と秀でたリーダーシップを持ち合わせていたとしても、それだけでは変革は起こるとは限りません。テクノロジーが不可欠であり、それは人と人を結びつける重要な役割を果たしています。こうしたテクノロジーは、一企業内でもサプライ・チェーンでの複数の企業間取引でも見られます。それにチームルーム、リソース・ロケーター、ツール類などを用意すれば、ビジネスは共同作業化が進み、もっと革新的なものが期待でき、変革は追い風を受けるのです。
「IBMは、32万人以上の社員を抱え、しかも160カ国以上もの国に分散している企業です。現在、42%がモバイル環境で勤務しています。ということは、所属元に出社するホーム・オフィスがないということです。社員とのトーク・セッションで、「境界を越えることを本気で期待しているのです。事業部間の壁を乗り越え共同作業に取り組んでほしいのです」と語りかけると、「ええ、そうしたいですね。もちろんです。お客様にとっても望ましいことですからね。でも、専門知識をもつ人を見つけられないんです。」というのが最初の反応です。そこで、テクノロジーの出番となるのです」
リンダ・サンフォード |
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「IBMには、スキル・ロケーターが用意されています。これは、韓国語を話せる人が所属するチーム内にいないような場合で、急にクリエィティブなプロジェクトに携わることになっても、社内のイントラネットに接続して韓国語を話せる人で、ちょうど取り掛かっているプロジェクトについて専門知識を持つ人を探し出すことができます。チームには、仮想的に専門家が一員に加わったことになります」
ロス・マウリ |
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「このようにして、人と人を結びつけることができます。これからも、業務知識と専門技術について公開し共有していくことでしょう。とはいえ、ツール自体が共有や公開をしてくれるわけではありません。これは、ツールを使う人の問題なのです」
リンダ・サンフォード |
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