
所長 坂上好功
ディープ・コンピューティング開発研究所は、IBMのシステム製品を担当しているシステムズ・アンド・テクノロジー・グループ(STG)の傘下で、今後成長する5つの戦略分野のひとつに位置づけられています。2003年に発足して以来、IBMの高性能並列コンピューターをお客様に実際に使って頂くために、必要な技術力を備えた組織づくりに取り組んでまいりました。私たちの基本的な業務は、IBMのさまざまな製品をコンポーネントとして組み合わせ、その上でアプリケーションを走らせお客様にお使い頂けるようにすることです。そういう経験を通して、新製品の開発に貢献できる技術力を養成しようとしています。
ディープ・コンピューティング開発研究所は、Blue Gene® だけでなく
p5やxSeries® の大規模クラスターのソリューションに対応し、できあがったデータを可視化したり、大量のデータを扱うストレージを含むディープ・コンピューティング・システム全体にも対応しています。広く適用できるソリューションを提案する活動を通じて、お客様の要望を製品開発にフィードバックできる体制を築こうとしています。システムの性能を最大化するチューニング技術は、この分野ではとりわけ重要です。私たちはIBMのコンパイラーの仕組みを理解した上で、その領域で改良が必要かどうかを判断できる人材がチューニングを担当しています。
米国エネルギー省ローレンス・リバモア研究所に納入されたBlue Gene/Lは、64ラックで131,072プロセッサーの並列処理コンピューターです。今までのクラスターは100ほどのコンピューターをネットワークでつなぐのが精一杯でした。シングル・プロセッサーで性能を上げることが限界に近づいていますので、たくさんのプロセッサーの能力を束ねて膨大な仕事量を一気に処理する傾向が強まることになります。
しかし、こうした超並列計算機が提供する非常に大きな計算能力を最大限に使うためには、従来のプログラムを変換したり、書き直すことが必要になります。お客様に満足頂ける処理能力を提供するために、私たちはアプリケーション・プログラムが高速に走るように自分の専門能力を発揮できる集団である必要がありました。
大和研究所はThinkPadの開発拠点でしたので、ここの研究者は小さな筐体にたくさんの部品をレイアウトし、発熱を取り除く冷却方法が得意です。そういうノウハウは、Blue Geneのように多数のプロセッサーをラックに格納した製品にも活かすことができます。今のBlue Geneは高さ2m程度の大きなラックとともに提供されています。一方、より優れた冷却方法を適用して使いやすいパッケージにする研究にも着手しています。お客様固有のご要望がある場合は、Blue Geneのハードウェアとソフトウェアをカスタマイズした製品を提供しています。
IBMシステムズ・アンド・テクノロジー・グループの傘下には、エンジニアリング・アンド・テクノロジー・サービス(E & TS)があり、お客様からテクノロジーの開発を請け負う仕事をしています。ディープ・コンピューティング開発研究所は、E & TSと協業して開発することもありますし、E & TSのようにお客様と直接協業して開発することもあります。さらに、ディープ・コンピューティング開発研究所は、ストレージやソフトウェアや可視化技術などに対する必要があり、IBMリサーチの研究動向にも目を向けています。
当研究所は、ライフサイエンス、製造業界、資源開発など様々な領域でHPCを必要とされるお客様のご要望に応え、IBMがお客様のパートナーとして信頼して頂けるように技術面で貢献する役割を担っています。Blue Geneに限らず、p5やxSeriesのクラスターも含めて、High Performance Computingに関してお客様にご要望や問題があれば、是非相談の機会を頂きたく思います。技術で解決できる事柄であれば、必ずお力になれると考えています。そして、いままで手がつけられなかった計算の領域に、一歩踏み込むすばらしい機会を増やしていきたいと思います。
(2006年3月)
