本文へジャンプ

ビジネス・サービスによる複雑なプロセス管理の実現(前編)

IBM/SAPハイブリッドSOAソリューションのご紹介【第4回】

ビジネス・プロセス・マネージメント(BPM)は企業の変革を推進します

ビジネス・プロセス・マネージメントの説明図
グローバル化、規制緩和などによって、企業は、厳しい競争にさらされています。企業は、顧客ニーズの多様化に対応しつつ、他社との差別化も実現しなければなりません。しかも、ビジネス環境は日々変化するため、企業が効率を追求するには、業務のやり方を常に改善していく必要があります。ビジネス・プロセス・マネージメント(BPM)は、このような状況に対処するための方法です。BPMでは、企業戦略にそって、全社横断的に最適な業務の流れを設計します。設計にもとづいて実装された業務プロセスの実行、運用をモニタリングし、企業戦略の達成度合いを評価し、更なる改善につなげていくための継続的な活動です。BPMにおいて、ITシステムが効果的に連動すると、業務プロセスの自動化やスピードアップ、複数システムの連携によるプロセス改善など、更なるイノベーションを推進することが可能になります。

BPMはSOA活用のための重要な要素です。BPMとSOAが企業の変革を加速させます

業務改善、すなわちビジネス要件の変化に伴って、ITシステムを柔軟に対応させる方法としてService Oriented Architecture(SOA)によるシステム構築が期待されるようになってきました。SOAの考え方では、ある程度業務処理として意味のあるまとまりの処理を、サービスとして定義します。これらサービスを業務実行順に呼び出すことで、業務アプリケーションを形成します。サービスの呼び出し順を、ビジネス・プロセスとして、サービスと独立に定義し、ビジネス・プロセス中の各タスクから、サービスを実行します。サービスが適正に構築されていれば、業務に変更がある場合、ビジネス・プロセスのタスクの並べ替えや組み換え、追加等で対応することも可能になります。つまり、業務サービス内部のロジックは変更せずに、ビジネス・プロセスの変更だけで、業務アプリケーションを変更することも可能になります。

業務サービスとビジネス・プロセスが独立していることで、例えば、異なる製品の販売アプリケーションのように、ビジネス・プロセスは異なっていても、そこから、既存の受注業務サービスを再利用するといったこともできるようになってきます。ビジネス・プロセスに対して業務サービスを、言わば部品のように、付加したり除去したりして、柔軟に変更・拡張できるアプリケーションを実現できるようにしようとするのがSOAの考え方です。SOAにおいては、システムの柔軟性を確保するために、実際のシステムとは切り離してビジネス・プロセス・マネージメントを考えることが重要になってきます。

SOAの独立したビジネス・プロセス・マネージメントの説明図

SAPの標準Webサービス SAP Enterprise Service

SOAでは、標準化されたインターフェイスを持つWebサービスなどにより、異なるシステム間の連携が容易です。最新のSAP ERPではSAP Enterprise Service(ES)(IBM外のWebサイトへ)と呼ばれる業務機能をもつサービスを提供し、従来のSAP ERPよりも、非SAPシステムとの連携性が高まりました。新しいSAP ERPでは、多くの企業で長年の利用実績がある標準的な機能は、パッケージのサービスを利用し、パッケージでは実現が難しい各企業特有の業務機能をカスタム開発のサービスと連携させることで、企業のニーズにあわせてより最適なビジネス・プロセスを実現していく事が可能になってきています。

標準化されたインターフェイスを持つWebサービスの説明図

Human Taskとビジネス・プロセスの統合

BPMの標準規格では、既に日本固有の承認処理をHuman Taskで扱うことが可能となっています。BPM製品をシステム間連携だけに利用するのではなく、Human Taskを含めて一連のビジネス・プロセスとして実装することで、ビジネス・プロセスの開発・維持コストの低減をはかることができます。IBMのBPM製品であるWebSphere® Process ServerはこのようなHuman Task機能をサポートしていると共に、稟議、差し戻し・引き戻し・承認者の動的追加等も実装することが、可能となっています。

IBMでは更に複雑な承認処理に対応するために、FormWave for WebSphereという製品を用意し、BPM製品と組み合わせて利用することも可能となっています。複雑な承認処理の例としては、既存申請データのコピー機能等が考えられます。

Human Taskとビジネス・プロセスのサービス 説明図

New York州 Tax Agency様では、システム間の自動連系処理、人間系ワークフロー処理、その両方の処理において、Business Process Execution Language(BPEL)を使用して、リアルタイムに連携しています。それにより、人間系ワークフローを含めた、全体のビジネス・プロセスをBPELで実装することで、Learning Costを含めた開発・維持コストの低減を達成いたしました。この事例のとおり、BPELを人間系ワークフロー処理にも適用することができるようになってきています。

プロセスモデリングのステージ

ビジネス・プロセスのモデリング手順は下図のようになります。業務設計担当者によってモデリングツールで設計された業務プロセスモデルを、モデリングツールの機能を使って、BPELに変換します。IT設計担当者は、ITプロセス設計ツールを使って、モデリングから変換されたBPELモデルに対して、サービスとの関連付け等を付加し、システムに実装できる形式にします。そして、BPEL実行エンジンでビジネス・プロセスを実際に稼働させることになります

ビジネス・プロセスの設計手順 説明図

業務視点のプロセスモデリングとビジネス・プロセス・マネージメント(BPM)

ビジネス・プロセス・マネージメント(BPM)は、まず業務プロセスのモデリングを行って、ビジネス・プロセスを可視化することから始めます。モデリングにより複数システムに分散したビジネス機能全体を網羅的に理解することが容易となり、既存のビジネス・プロセスを企業戦略や経営目標を達成するためのあるべきビジネス・プロセスに変革させていくための検討が行いやすくなります。また、ビジネスの変化に対して、ビジネス・プロセス変化点の発見、影響範囲の特定を、迅速に進めることができ、変化対応力を高めることが可能になります。最近のBPM用のモデリングツールは、グラフィカルに一覧性のあるビジネス・プロセスを定義できます。ツールを使って、統一された表記法でビジネス・プロセスを記述することにより、業務設計担当者間の共通認識に役立つばかりでなく、モデルの整合性がチェックされ、ビジネス・プロセスのあいまいさを排除することができます。

以下の画面例は、IBM WebSphere Business Modeler(WB Modeler)を使ったモデリングの例です。

IBM WebSphere Business Modelerによるビジネス・プロセスモデリングの図

[ 1 ]受注受付
[ 2 ]与信確認
[ 3 ]在庫引当

[ 4 ]納期回答
[ 5 ]出荷計画
[ 6 ]出荷実施

IT視点のプロセスモデリングとビジネス・プロセス実装

ビジネス・プロセスをシステムとして実装するには、業務設計担当者によって設計されたビジネス・プロセスモデルをITレベルに詳細化します。この詳細化されたITプロセスモデルを、実際のシステムで実行するにはBPELに変換する必要があります。IBMのWebSphere製品群は、ビジネス・プロセスモデル、ITプロセスモデル、BPELデザイン、BPEL実行エンジンを全て、網羅しておりシームレスに連携ができるようになっています。

以下の画面例は、上記のIBM WB Modelerで作成したビジネス・プロセスモデルをBPELに変換し、IT実装の開発ツールであるIBM WebSphere Integration Developer(WID)に読み込んだ例です。IT設計担当者は、このBPELベースのITプロセスモデルに対して、サービスとの関連付け等を付加したりして、物理設計を進めていくことになります。

モデリングツールから自動変換されたBPELの図

[ 1 ]受注受付
[ 2 ]与信確認
[ 3 ]在庫引当

[ 4 ]納期回答
[ 5 ]出荷計画
[ 6 ]出荷実施

BPMが進むにつれ潜在的な課題が表面化してきます

ビジネス・プロセス設計を進めていくとBPMの課題が浮かび上がります。多様化する顧客のニーズに対応するために、基本的な業務プロセスだけの表現では対応できないような機能を実現しなければならないことがあります。このような場合、ビジネス・プロセスに、多くの判断や分岐が必要になり、ビジネス・プロセス自体が非常に複雑になる傾向にあります。特にビジネス・プロセスを複雑にするものは、「与信確認」あるいは「在庫引当」などの基本プロセスの数ではなく、基本プロセスのバリエーションです。

ビジネス・プロセスの説明図

バリエーションの例

[ 1 ] 「与信確認」条件に応じた3rdパーティ・サービスの使用や適格審査の省略

[ 2 ] 「在庫引当」商品の種類に依存した在庫引き当ての違い

[ 3 ] 「納期回答」通知の仕方による違い

[ 4 ] 「出荷計画・実施」様々な条件に応じた様々な3rdパーティの活用

これらのバリエーションをビジネス・プロセス設計にそのまま反映させると、ビジネス・プロセス定義は、非常に複雑で、読みにくいものになります。また、似たようなビジネス・プロセスが複数存在する場合、複数のビジネス・プロセスを作成、変更管理しなければならないという点も、大きな問題となっています。

ビジネス・プロセスのフロー 説明図

[ 1 ]条件に応じた3rdパーティ・サービスの使用や適格審査の省略

[ 2 ]
商品の種類に依存した在庫引き当ての違い

顧客に応じた対応の違い

[ 3 ]様々な通知の仕方

[ 4 ]様々な条件に応じた様々な3rdパーティの活用

複雑になればなるほどビジネス・プロセスを変更する事は難しくなります。すなわち変更の影響範囲を特定することが困難になり、変更作業にも大きなワークロードがかかります。また、BPM本来の目的である企業の業務改善や効率化を行うための問題点や、ボトルネックの発見を困難にします。企業の業務の多様化や差別化の為にプロセスのバリエーションは、増える傾向にあり、今までのBPMではこのバリエーションの追加・変更に、迅速に対応することができませんでした。

ビジネス・サービスの概念が複雑なビジネス・プロセス・マネージメントを可能にします

次世代アプリケーション基盤技術では、従来のWebサービスベースのサービスの上位概念としてビジネス・サービスと呼ばれる新たなサービスを導入します。ビジネス・サービスは、ポリシー定義やエンドポイント定義と関連付けられています。

ビジネス・サービスを活用することにより、ビジネス・プロセスを、詳細なバリエーションの階層と、その上位にあたる、より大きな流れを記述するビジネス・プロセス階層とに分けて定義することが可能になります。これにより、大筋のビジネス・プロセスをシンプルにし、バリエーションを局所化し、ビジネス・プロセスを管理しやすくすることができます。ビジネス・サービスは一言でいうと"サービスの仮想化"であり、プロセスのバリエーションをビジネス・プロセスから分離して定義することで、複雑なビジネス・プロセスをシンプルに見せることが可能になります。ビジネス・サービスを活用することにより、ビジネス・プロセスを変更する場合にも、大筋のビジネス・プロセスがインデックスとなり、変更個所の特定が容易になります。バリエーションの追加の場合には、ビジネス・サービス内部に変更個所が集約されます。

プロセス定義とビジネス・サービスの関係 説明図

ビジネス・サービスを活用することで、業務要件は、上位の大きな流れのビジネス・プロセスで定義し、実際のITシステムの呼び出しは、ビジネス・サービス内部にカプセル化することができます。業務設計担当者は、ITシステムを意識せずに、ビジネス要件であるべきビジネス・プロセス設計が可能になります。ITシステムに変更があると、ビジネス・サービスのエンドポイントサービスの設定変更で対応でき、ビジネス・プロセスは、変更する必要がありません。更に、ビジネス・サービスを使って、実行時にビジネス・サービスから呼び出すエンドポイントをダイナミックに追加・変更することもできます。つまり、ビジネスの変化に対応し、迅速にITシステムを変更することが可能になります。また、似たようなビジネス・プロセスが増大していくことを防ぐことができ、ビジネス・プロセスの管理工数の削減につながります。

IBM, IBMロゴ, WebSphereは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
Adobe, Adobeロゴは、Adobe Systems Incorporatedの米国およびその他の国における登録商標または商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。

アンケート

ご意見、ご感想をお寄せください。