流通業におけるマスター・データの統合とその経営的効果
日本アイ・ビー・エム株式会社
GBS事業 流通サービス事業部
アプリケーション・イノベーション・サービス
アソシエイト・パートナー
市原 格
グローバル標準への対応をはじめ、M&Aや他社との協業強化に見られるような経営環境の変化、食の安全に関する規制など。流通業界にはさまざまな経営課題が突きつけられている。このような課題を解決するためのソリューションとして注目されているのが「マスター・データの統合」だ。この講演では、消費財メーカーの事例を中心に、流通業におけるマスター・データ統合の必要性と方向性、そして経営的効果について紹介された。
マスター・データ統合が流通業の経営課題を解決するための糸口となる
消費者の要望は多様化し、ダイナミックに変化している。そのため、流通とCPG(消費財)メーカーには、克服しなければならない経営課題が山積みとなっている。
「ITの活用なしには、これらの経営課題を解決することは難しい。しかし、商品マスターや取引先マスターが一元化されていなければ、ITを活用すること自体が困難となってしまいます」と、長年、流通業のコンサルティングに携わってきた市原は断言。さらに、「商品・取引先マスターの一元化は、経営課題解決のための重要な手段となります」とマスター・データ統合の必要性を強調した。
アーキテクチャー・レベルでの取り組みが求められる取引先マスターの統合
では、マスター・データをどう統合していけばいいのか。市原は、取引先マスターと商品マスターのそれぞれについて、課題とそれを解決するための実践例を紹介した。
まず取引先マスターに関して、経営サイドでは取引先マスターの違いや冗長性を吸収したいと考えており、さらにマネージメント・サイドでは、チャネル・業態別、法人・チェーン別、店別など、さまざまな切り口で売り上げや経費の実績を把握できる仕組みが求められている。しかし、「取引先マスター・データが統合されていなくても、営業部門などは通常の業務をオペレーションできるため現場の問題意識は低い」というのが現状だという。
そこで、このような立場によるニーズや手法の違いを吸収するためには、取引先マスターの内容・役割を分散するのが有効だと説明した。
具体的には、グループ統一の取引コードの発番システムのみを統合し、個別の取引先マスター管理業務と分け、「取り引き」で使うコードと「分析・マネージメント」で使うコードを分離する仕組みだ。
「マスターの統合に関して、将来のビジネスおよびシステム環境の変化の可能性を考慮し、データベースの体系を定義することがポイントです。機能ではなくアーキテクチャー・レベルでの取り組みが必要です」。
情報開示への対応が求められる商品マスターの統合
一方、商品マスター・データに関しては、「品質系情報はデータベース化されていないケースが多く、情報の正確性を維持する上でリスクとなる可能性があります。また、品質系情報の開示など、取引先との商談において情報を提供する業務は極めて負荷が高く、『品質系情報』についても社内とお客様の間で認識ギャップが存在します。さらに、商品情報管理業務における属人性が将来へのリスクを内在していることや、グループ全体として外部へのデータ公開基準が十分に整理されていないということも問題です。しかも、商品情報を外部へ公開する前提で業務プロセス・ルールが作られていない企業が大半です」と、課題を挙げる。
その解決事例として、マスター登録と社内共有・外部公開を機能的に分解することで、商品マスターを統合。シングルソース・マルチユースを実現した事例を紹介し、「商品情報管理(Product Information Management:PIM)ソリューションのためのコア・ソフトウェア『WebSphere® Product Center』なら、商品マスター管理業務を大きく変更することなく、データベースの正確性を維持しつつ、外部への公開を実現することを目的に統合を推進できます」と語った。

WebSphere Product Centerを使って商品マスターを統合した場合のイメージ
「これらのマスター・データ管理の精度を向上させるためには、システムのみならず、マスターの登録・更新に関わる業務プロセス、組織・人材、規制や業界標準も考慮に入れるべきです」と語る。「正しいデータを適切なタイミングで必要なユーザーのみが利用できることを目的とした『Information On Demand』という情報統合環境は、効果的アプローチとなるはずです」と述べ講演を終えた。
資料ダウンロード・アンケート
アンケートにご回答いただくと、本イベントで使用いたしました公開可能な資料が、ダウンロードいただけます。
このコンテンツは、日経BP社より、ITProの記事を参照し抜粋および編集して掲載する許諾を受けています。
IBM, IBMロゴ, WebSphereは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。
