****************************************************************** テクノロジー&ソリューション 次世代バリアフリーシステム研究開発プロジェクト (研究・開発期間:平成10年度から平成13年度) ※ 本プロジェクトは、通信・放送機構から委託を受けて行われました。 ****************************************************************** −インデックス− 1.次世代バリアフリーシステムプロジェクトとは 2.現状の課題・問題 3.年度別の活動報告 4.次世代バリアフリーシステムの紹介 5.実証実験報告 1.次世代バリアフリーシステムプロジェクトとは どなたでも利用しやすいパソコンへの入出力環境をいつでも簡単に設定できるようにするバリアフリー・システムの研究開発プロジェクトです。対話型障害レベル自動判定システム(以下簡易判定システムと称する)と障害支援アプリケーション配信・適合システム(以下適合システムと称する)の2つのシステムから構成されています。 2.現状の課題・問題 現状の問題点にはつぎのような項目があります。 1)ひとつのパソコンで設定ができても別の場所にあるパソコンを利用する場合は、はじめから設定しなくてはならない。 2)パソコンのどの入出力設定をどのように変えたらよいか、どんなアシスティブ・テクノロジーが必要なのか簡単にはわからない。 3)自分に必要なパソコン設定項目がわかっていても自分では変更できないかまたは適合に時間がかかる。 3.年度別の活動内容 次世代バリアフリーシステム研究開発プロジェクトは、4年間にかけて行いました。 ・平成10年度 1年目の研究開発プロジェクトは調査を行いました。その結果、現場のスタッフも利用者自身も判定に困っていたことが判明しました。 ・平成11年度 判定コースのアプローチについての研究課題 身体障害者のパソコン利用にあたって、本人はもとより、学校の先生、福祉施設の職員、用具相談センターのスタッフ、リハビリテーションセンターのエンジニア、OT やPT の専門家の現状のアプローチと希望等を調査し、下記3つのアプローチを考案しました。 1)直接入力方式 操作方法 具体的な障害の種類や等級を入力したり、リスト選択することで判定・適合する方式利点本人の障害情報を元に一元的に判定・結合する点で簡単なアプローチであり、システムのメインテナンスもリストをアップデートするだけの容易な方式です。 欠点 障害情報の正確性としては医師やリハビリの専門家の判断が事前に必要となる場合があります。また、医学的な情報と情報機器端末へのアクセスのインターフェースの判定・適合はリンクづけがされていないのが現状です。さらに障害は個別的で、体系づけでの判断は当てはまらない場合があります。また、このような個人情報の扱いには考慮しなくてはなりません。 2)ショートカット方式 操作方法直接使うアプリケーションや適合ソリューションを選択したり、指定することで適合する方式 利点 事例にもどづいた情報から適合するパランメーターやアプリケーションを指定することで 簡単に適合することができます。 欠点 どのAT やソリューションが良いのかを選択することができない人にとっては利用しにくい方式です。障害状況やAT やパソコンに知識のある人の介在が必用です。 また、選ばれたAT やソリューションの再調整などきめ細かさに欠く問題があります。 ウィザード方式 方式 利用者がシステムと適合するための判定に必要な情報を対話と簡易な操作テストで入手する方式。入手した情報をIC カードに記録し、IC カードにより、別の情報機器を利用する場合に適合システムに読み込ませて適合する方式。 利点 簡易判定システムが利用者の簡単な操作テストや対話によって必要な情報を入手できます。 ヒューリステックなアプローチがとれることと利用者の意思が尊重されることにメリットがあります。 欠点 判定し終わるまで説明時間も含め時間がかかるという問題があります。この欠点を補うために判定コースを3つ(標準コース、クイックコース、カストマイズコース)を作りました。 基本設計図 ウィザート方式、ヒューリステックアプローチを前提に判定から適合にいたるまでのシステム基本設計を図のように書き上げました。 ・平成12年度 実証用システムの詳細設計と試作を行いました。 ・平成13年度 実証実験を学校、職場、福祉センターなどで行いました。 合計57 名の被験者の参加が得られて評価実験を行いました。 4.次世代バリアフリーシステムの紹介 簡易判定システム 利用者本人のパソコンに対しての操作属性、パラメーターを判定し、その結果を非接触型IC カードに保存するシステム 特徴 □利用者自身のパソコン操作を通して、利用者の操作性を分析、測定を行う方式を導入。 (この方式をヒューリステックアプローチと呼んでいる。) □現場でサポートしているスタックや判定を受ける利用者の負担を軽減するために3コース判定プロセス、進捗状況表示、中断機能などの諸機能を実装。 ヒューリステックアプローチを採用したテスターの例(全体) ヒューリステックアプローチを採用したテスターの例(キーボード編) キーボードテストでは指定されたキーを押すというテストでバウンス制御やリピート制御のパラメータをはかり、また順次入力機能の必要の有無などをはかります。結果によってはWindows のユーザー補助機能の利用かオンスクリーンキーボードの利用を勧めます。オンスクリーン・キーボードではClick 方式、Dwell 方式、Scan 方式での操作テスト等が用意されています。 ヒューリステックアプローチを採用したテスターの例(マウス編) マウスの基本的な操作であるマウスカーサーを移動させる「マウステスト」と、ソフトウエアの操作に必要な「クリックテスト」を行います。 マウスの操作特性を詳細に研究する際はマウスカーサーの移動方向とターゲット間の距離の組み合わせの実験計画を立てデータを取得する必要がありますが、本マウステストは、マウスを操作する際の利用者の特性から「ユーザー補助」のパラメータを適正に設定することを目的としています。従って利用者の特性をあまりに微細に測定しようとすると、利用者から見て同じ事の繰り返しとなるような多くのテストを行う条件下ではテスト時間が長くなります。本テストでは、利用者の負担を出来るだけ軽くしながら利用者の操作の特性を調べる目的でテスト条件は意図して少数にしています。 3つの判定コース 判定システムのコース選択画面 標準コース一通りの入出力方法を確認していきます。 クイックコース身体状況に合わせて必要な項目を確認していきます。肢体不自由、視覚障害、聴覚障害別から入ることができます。 また、クイックコースで視覚の不自由な方を選択された場合、簡易判定システム画面ではコントラストをつけ大文字での表示で対話していくことができます。 カスタマイズコーステスト項目を選択して確認していきます。 適合システム 判定した結果をIC カードに保存し、別のパソコンを利用するときでも常に同じシステム環境設定で利用できるように適合するシステムです。 特徴 □簡易判定システムで得られたユーザープロファイルをIC カードに保存する他に、FDによる保存機能もサポートいたしました。 5.実証実験報告 キーボード操作 グラフの説明: キー押下時間を50mSec 幅で区切り、その時間で押されたキー押下回数をプロットしたもの1人につき6回の操作、計30 回で、総数計180 回の操作データーから分析したもの。 マウス操作 マウステストの判定は時間値とカーサーの移動距離の二つの条件で決定します。デフォルトの速度を50%として、操作の特徴をテスト結果から得てマウスの速度を加減しました。 画面出力パラメーター設定 画面出力編:判定項目はATアプリケーションの選択およびWindows のユーザー補助や画面設定の中の一般的に調整されている項目(フォントサイズとコントラストの調整およびマウスの軌跡)を反映しました。また実証実験の被験者の要望によりスクリーン・セーバーを無効にする項目、サウンドプロパティ(ウィンドウが開くときの音声出力)項目を追加しました。実験データや被験者のコメントから画面出力項目においてはそれほど多くの項目が調整必要ではないことが判明しました。ただしパラメーター間の連携や同じパラメーター項目の奥深さ(フォントサイズ、種類とコントラスト)について改善の声が聞かれました。画面出力においても必用なパラメーターの取得と適合が簡単にできることに評価されました。 実証実験の評価結果 次世代バリアフリーシステムプロジェクト終了のまとめ 1.ヒューリスティックなテスト手法は有効であった。 2.判定に必要なテスト項目を明らかにすることができた。 3.実用に耐えるシステム設計ができた。 4.簡易判定・適合システムのニーズに応えることができた。 5.これまでコンピュータによる自動判定は困難であるとされていたが、本システムで初めて障害の状態に合わせるたコンピュータのパーソナライズを可能にした。 以上