インターネットは、今や、私たちの日常生活や企業活動そして教育環境等において、なくてはならない社会基盤です。今から10年前位までは、ウェブサイトで提供される情報(コンテンツ)の多くは、文字と画像情報で提供されていました。1999年に国内初の商用ADSLインターネット接続サービスが開始されるなど、その後の急速なインターネット技術の進展に伴い、ニュース、映画、e-Learning等、多岐わたる数多くの動画コンテンツが配信されるようになってきました。文字と画像だけの情報に比べて、映像や音声を伴うコンテンツの情報量は、飛躍的に増加し、コンテンツ提供者の「伝えたいこと」が、より豊かに表現できる環境が整ってきました。
一方、障害者や高齢者を含む誰もがインターネットによる恩恵を得られるようにするWebアクセシビリティの世界的な取り組みが始まってから10年が経過しました。この間、支援技術の開発やWebアクセシビリティのガイドラインや法律の制定により、Webアクセシビリティの理念は着実に社会に広まり、障害者や高齢者の情報環境は着実に改善されてきました。
しかし、動画コンテンツなど、マルチメディア・コンテンツの普及により、新たな課題に直面しています。豊かな表現力を持つことのできるマルチメディアは、受け取る側の捉え方や感じ方にも様々な効果を与えます。表現力が豊かになっても、それを多様な利用者に応じて伝える技術やルールをうまく作らないと、そういったリッチなコンテンツの中に含まれる制作者の「伝えたいこと」が多くの利用者に伝わらないと考えられます。この課題解決には、ITの急速な進歩による数多くの技術の限りない可能性に大いに期待を抱くことができるとともに、アクセシビリティが今後正に力を発揮すべきことと考えます。
本フォーラムでは、幾つかの先進的な事例などからマルチメディア・コンテンツのアクセシビリティを中心に、Webアクセシビリティの「次の10年」に向け必要とされる取り組みや情報技術を多角的な視点から、参加者の皆様と一緒に考えてまいりたいと思います。
