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第3回中国フォーラムの焦点はアクセシビリティ標準

中華人民共和国(以下「中国」)では、全人口の5パーセント以上に当たる6000万人以上の人々が何らかの障害を抱えています。実際この国では、40秒に一人の割合で重い障害を持った子供が生まれている計算になります。結果として中国では、障害者に対する配慮の考え方を確立するための課題が山積みになり、アクセシビリティがとても重要な問題となってきました。包括的な社会作りに向けての中国の発展を支え、環境整備を支援するために、IBMは、11月2〜3日の2日間、北京にて第3回中国情報アクセシビリティ・フォーラム(Third Annual China Information Accessibility Forum)を共同で開催しました。

2002年にびわこミレニアム・フレームワーク草案(Draft Biwako Millennium Framework)が国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP-Economic and Social Commission for Asia Pacific)を通過したのを受けて発起した中国情報アクセシビリティ・フォーラムは、中国政府や企業や権利擁護団体が、中国が障害を持つ方々にとって「包括的でバリアフリーで、かつ権利に基づく社会」へと向かうにあたっての課題や戦略を見極める機会を提供しています。

障害を持つ方々の人口が多いだけではなく、加齢に伴う障害を持つ可能性がある熟年人口が多い中国にとって、これは非常に重要な目標だとIBMは考えています。実際、専門家の試算では、西暦2012年までには中国の人口の約29%が50歳以上になると出ています。これらの人口統計上の傾向に付随する潜在的な課題を受けて、IBMは中国のアクセシビリティに対する積極的な取り組みを継続的に支援しています。

中国は、「中華人民共和国障害者保護法(Chinese Law on the Protection of Disabled People)」に情報技術(IT)のアクセシビリティを追加しており、既に基盤を築き始めています。また一方、IBMは主要機関と協力し、中国政府が正式な標準を制定できるよう支援しています。

「アクセシビリティの進展には、国内外を問わず協力することが必要不可欠です。」とIBMアクセシビリティ・センター長、フランシス・ウェストは述べ、「政府、企業、教育機関、人権擁護団体および非政府組織が協力してアクセシビリティに取り組むことで、中国は最も早く、また最も効果的な進歩を遂げることができるでしょう。」と付け加えました。

IBMアクセシビリティ・センターのアクセシビリティ標準グループのリーダーであるアンディ・スノーウィーバーもこのフォーラムに出席しており、「世界におけるITのアクセシビリティの状況は、世界各国が同じ期待と目標を抱くことができるよう、各々の標準を調和させることによってのみ、改善するでしょう。IBMはそれを念頭に置き、World Wide Web Consortium(W3C)のWeb Content Accessibility Guidelines 2.0(WCAG2.0)を採択するか、WCAG2.0のサブセットとなるように自身の標準を調整するよう、中国政府に強く働きかけています。」と述べました。

このような協調と協力関係を支援するため、IBMは最近WCAG2.0を中国語に翻訳しました。また、現在、専門委員会や国際標準化機構に参画し、ITのアクセシビリティ標準を後押ししています。加えて、IBMは、中国のパブリックセクター−およびプライベートセクター−がアクセシビリティのビジネス価値を実現するための支援を積極的に進めています。これを実現すると、生産性の向上、市場規模の拡大、利益の増加につながり、またアクセシビリティ関連の訴訟を回避することさえできるのです。IBMが主導したいくつかの施策は、中国のアクセシビリティに長期にわたって重大な影響を与えています。:

  • 中国障害者連合会(CDPF-China Disabled Persons’ Federation)、中国障害者福祉基金会(CFPD-China Foundation for Disabled Persons)、および中国点字新聞(China Braille Press)と協賛し、何千もの全盲の方々がコンピューターを使用できるように訓練するイベントを開催した。
  • 北京連合大学特殊教育学部(SECBUU-Special Education College of Beijing Union University)およびLiberated Learning Consortiumと共同で、ViaScribe−ろう者や難聴の学生のために講義の内容を自動的に字幕をつける音声テキスト変換技術−を教育環境や学習環境で適用するプロジェクトを立ち上げました。

中国情報産業部(MII-Ministry of Information Industry)PRC、中国障害者連合会(CDPF-China Disabled Persons’Federation)、中国インターネット協会(Internet Society of China)および中国障害者福祉基金会(CWFH-China Welfare Fund for the Handicapped)の後援の下に、2006年の同フォーラムには、初めての海外からの講演者の出席が実現しました。米国障害者協会(American Association of People with Disabilities)CEOのアンドリュー・インパラト(Andrew Imparato)氏、支援技術産業協会(Assistive Technology Industry Association)マネージング・ディレクターのデイビッド・ディクター(David Dikter)氏、およびLiberated Learning Consortium(セント・メリー大学、カナダ)のインターナショナル・マネージャーのキース・ベーン(Keith Bain)氏、IBMのフランシス・ウエスト(Frances West)などが講演しました。

アンドリュー・インパラト氏は、「中国とインドの人口を併せると、世界の人口の20%にも匹敵します。障害を持つ方々の人口もかなりの数に達すると見られ、中国は、アクセシビリティの重要な進行成長市場です。IBMおよびAAPDは、中国がアクセシビリティを社会構造に組み込み、アクセシブルで使いやすい情報技術を促進するために最適な計画を立てることができるよう、我々の専門知識と米国で培った教訓を提供する用意があります。」と述べました。

今年のフォーラムのテーマ「技術革新応力の向上とアクセシブルな情報環境の確立」は、情報産業部のXi Guohua副大臣や、CDPFおよびCWFHの議長であるDeng Pufang氏等の講演のテーマともなりました。Deng Pufang氏は、前中国共産党の指導者であるDeng Xiaping氏の息子であり、文化大革命の際に毛沢東の紅軍に追い詰められて4階建のビルの窓から飛び降り、下半身不随となりました。

フォーラムでその他の議題には、中国における情報アクセシビリティの歴史の概要および今後の展望、標準および規定の制定状況、アクセシビリティのイノベーションの市場動向の分析、そして、アクセシビリティ実現に向けた業界共通のインタラクティブな基盤の構築に関するブレーンストーミング・セッションなどがありました。また、このフォーラムは展示エリアも併設し、出席された方々が業界でもっとも革新的な技術のいくつかを直接見学いただけるようにしました。IBMおよびATIAの共に、HumanWareおよびGW Microによるビジネス・ソリューション、IBM Easy Web Browsing、IBM CaptionMeNow、IBM ViaScribe、Assistive Mouse Adapterなど、様々な支援技術を展示しました。

デイビッド・ディクター氏は、「中国は、アクセシブルな社会の推進に積極的に取り組んでいます。今年のフォーラムの展示では、中国政府関係者の方々が支援技術として既に利用できるものは何かを把握し、また将来なし得ることについて新しいアイデアを得るすばらしい機会をご提供できたと思います。ATIAとIBMは、障害を持つ方々のための革新的な新技術が進歩し続けるために、中国の開発者のかたがたと連携したいと考えています。」と述べました。

しかし、IBMアクセシビリティ・センター長のフランシス・ウエストが述べたように、「展示とパネル・ディスカッションだけが今年のフォーラムではありません。中国情報アクセシビリティ・フォーラムでは、業界にとって数多くの重要なトピックを取り上げており、IBMは新興のアクセシビリティ市場としての中国の支援において、引き続き重要な役割を果たしたいと考えています。このフォーラムは、最終的には、政府機関、企業、権利擁護団体という多様な組織が互いに強調し、障害の有無や年齢に関わらず、すべての人々が仕事においても人生においても自身の最高の潜在能力に到達できるよう支援するという共通の目的を実現できるようにすることを目標としています。」と締めくくりました。