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環境配慮製品(プロダクト・スチュワードシップ)
IBMは環境に配慮した製品設計をいち早く取り組んできました。1991年には「環境配慮製品プログラム(プロダクト・スチュワードシップ・プログラム)」を設け、現在では次の6つの目標を掲げています。
- 製品寿命を延ばすためにアップグレードが可能な製品の開発
- 使用済みの際に再使用やリサイクルが可能な製品の開発
- 安全に廃棄処分ができる製品の開発
- リサイクル材料を経済的・技術的に可能な限り使用した製品の開発・製造
- エネルギー効率を改善し、消費電力を低減する製品の開発
- 環境面に配慮した材料や表面仕上げの使用により、資源使用と環境影響を最小化する製品の開発
IBMは上記の設計要求事項を自社の環境マネジメント・システムに取り入れています。また、IPD(Integrated Product Development)という製品開発システムの一環として、企業として製品開発や製造工程で環境配慮を徹底させる体制を敷いています。
環境に配慮した製品設計
IBMは環境に配慮した製品設計に向けて厳格な基準を設け、アスベスト、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)、オゾン層破壊物質などの有害物質の使用を禁止しています。これらの基準は、こうした物質が一般社会で規制され始める何年も前から適用しています。このほかIBMの基準は、プラスチック・ケース、塗料、パッケージングなどの用途に対しても、鉛、六価クロム、水銀など有害性のある金属の使用を制限しています。また、製品のケースや機械部品、製品保護パッケージなどの材料にはポリ塩化ビニル(PVC)を使用しないようにしています。
IBMは「IBMロゴ・ハードウェア製品の材料、部品、および製品に関する基本環境要求事項(Baseline Environmental Requirements for Materials, Parts, and Products for IBM Logo Hardware Products)」と題した環境技術仕様書を公表しています。最新の環境技術仕様書は、About IBM's Product Stewardship Program に掲載されています。
有害物質に関するEU規制(RoHS指令)
2003年2月、欧州連合(EU)は「電気・電子機器の特定有害物質使用規則」(2002/95/EC、通称RoHS指令)を制定し、これにより2006年7月1日からEU加盟国で発売される電気・電子機器について、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDEの使用が禁止されます。IBMではEU規制が制定されるかなり以前から、製品でこうした物質を使用することを制限してきました。特にPBBとPBDE難燃剤の使用については、1990年代初頭から禁止しているほか、鉛、カドミウム、水銀、六価クロムについても、これが不可欠なプロセス以外には使用しないよう1990年代の半ばより規制しています。こうしてIBMは新しいEU規制を先取りしてきました。
RoHS指令への適合に向けてIBMが最も力を入れているのは、技術的課題が残る鉛と鉛はんだについてです。鉛の使用の低減ならびに排除を目標に掲げ、1999年から包括的な取り組みを開始しました。社内の研究開発チームと社外のサプライチェーンに協力を求め、広範なテクノロジー製品とハードウェアについて系統的に鉛の使用を見直しています。また、各種の技術コンソーシアムへの積極的な参加と支援、大学や国立研究所との協業などを通じ、低鉛または鉛フリー技術の導入に関する製造・技術上の問題解決を進めています。
RoHS準拠製品の製造スケジュールは製品ラインによって異なり、同じ製品ラインの中でも使用する基礎技術、コンポーネント変更の程度や条件、製造に伴うサプライ・チェーン調整の必要性などに応じてスケジュールは変わってきます。IBM製品の多くはすでにRoHSに準拠していますが、残る製品の準拠スケジュールは、RoHS準拠部品の入手時期および信頼性要件を満たす時期により決まります。
RoHS指令で対象となっている物質のあらゆる用途について、現在これを代替する手段の見極めを進めていますが、一部の用途ではRoHS対象物質が不可欠で、今後も使用を継続せざるを得ないと考えられます。例としては、一部のサーバーやストレージ製品での鉛はんだの使用、モニター装置に使うエネルギー効率の高いランプでの水銀の使用などが挙げられます。こうした用途については、RoHS対象物質を使用しない限り製品自体やその信頼性を維持することが難しいため、代替手段に関する問題点が十分に緩和されるまでは使用を継続せざるを得ません。EUもこうした事情に配慮し、代替手段が確立されるまではこれらの用途を規制対象外としています。
製品含有化学物質に関する情報管理
IBMは新たに設計する製品の部品に関し、JGPSSI(グリーン調達調査共通化協議会)、EIA(米国電子工業会)、およびEICTA(欧州情報通信技術産業協会)の3極で協議の上、世界標準のガイドライン「ジョイント・インダストリー・ガイドラインまたはJIG(Joint Industry Guide for Materials Composition Declaration of Electronic Products)」に記載されている物質の含有量を開示するよう、お取引先にお願いしています。IBMのサーバー製品を例にとると、平均7,000点の部品についてそれぞれ複数の環境データの開示が必要となります。
こうした大量のデータを集計・分析して製品中の材料含有量を評価するため、お取引先の環境データと部品番号情報をデータベースに自動収集・登録し、製品に関する問い合わせや監査への対応を可能にする新しいソフトウェアを開発しました。その結果、世界市場における主な製品に関する環境要求事項を満たしていることを示す製品含有化学物質管理の効果的なプロセスが確立されました。このプロセスは、お取引先からの材料データが最終確定した時点で始動されるもので、規制準拠に関する宣言を標準化しようとする規制当局と業界の動きに応えるものです。
サプライチェーンにRoHS対応を指導
IBMのハードウェア事業部門と購買担当者は、サプライチェーンの主要参加企業に対して材料申告フォームの記入方法を指導し、RoHS準拠製品の製造における重要性を説明しています。IBMのRetail Store Solutions(RSS)ブランドチームが2003年にお取引先の指導を開始した時点では、指令が施行間近となったにも関わらず認知度はわずか10%に過ぎませんでした。そこでRSSチームは契約先の各メーカーと協力し、カード・アセンブリー装置の刷新と、各種電子カード製品のプロファイル作成を行い、最後にサブコンポーネント(プレーナー、電源、キーボードなど)を鉛フリーで組み立てる新しいプロセスの評価を実施しました。さらにRSSチームは四半期ごとに契約メーカーとミーティングを開いて実績を検討し、電子コンポーネントの各部品から最終製品に至るまで細かくRoHS準拠状況をチェックしています。
その他の製品設計に関する目標達成状況
IBMは製品に対する上述のエネルギー効率目標のほか、粉体塗装と再生プラスチックの使用率についても目標を掲げています。
粉体塗装
2004年には金属塗装のうち97.8%を粉体塗装とし、粉体塗装率90%以上の維持という目標を大きく上回りました。液体塗料に換えて環境に配慮した粉体塗装で仕上げることにより、IBMのお取引先では395トンを超える揮発性有機化合物の排出を回避したことになります。
リサイクル・プラスチック
2004年にIBMが購入したプラスチックのうち3.8%がリサイクル・プラスチックで、社内目標の5%には達しませんでした。主要因として、予定していた再生材料の商品化が大幅に遅れたことが挙げられます。IBMは引き続きお取引先と協力しながら再生材料の入手を進め、目標の達成に向けて努力していきます。
包装材
製品保護用の包装材が廃棄物化することを最小限に抑えるため、IBMは1990年に「環境配慮包装ガイドライン」(Packaging Guidelines)を定め、定期的に改訂しています。このガイドラインでは、オゾン層破壊物質、重金属、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ビフェニルオキサイド(PBBO)の使用を禁止し、包装材に有害物質が含まれないよう図るとともに、包装材そのものを減らす方法やプロセス、設計方針を見極め、再利用やリサイクルに適した材料や、再生物を多く含んだ材料を使用するための指針も示しています。
IBMは10年以上前から、製品の包装材へのポリ塩化ビニル(PVC)や粒状の発泡クッション材の使用を禁止しています。また、異種材料が恒久的に混在するもの(道具を使わなければ材料を分離できないもの)についても使用を禁止しています。ただし、こうした異種材料を組み合わせたものが包装に再利用できるようデザインされている場合や、帯電防止袋のように製品の技術特性を保つ上で不可欠な場合は例外としています。
IBM包装ガイドラインの主な内容は、さまざまな技術仕様や購買文書に盛り込まれ、IBMだけでなくサプライチェーンや他のビジネス・パートナーにも拡大適用されています。また、IBMは米国環境保護庁(EPA)が電子製品環境アセスメントツール(Electronic Products Environmental Assessment Tool: EPEAT)の包装材セクションを策定するにあたって、同庁と緊密に協力しています。EPEATは、電子機器がそのライフサイクルを通して環境に与える影響を評価するためのツールです。
また、社内外での包装基準遵守と監査への適合を図るため、製品包装に関する情報収集用のオンラインツールを新たに社内で開発しています。さらに、同業他社やカリフォルニア大学サンタバーバラ校のブレン・スクール(環境科学・管理分野の大学院)と協力して、電子産業向けの共通包装ガイドライン(Environmentally Responsible Packaging: A Guideline and Certification Program for the Electronics Industry)を定めています。このガイドラインには、包装材の選択と利用の仕様策定に向けた共通教材と認定プログラムも含まれています。同業他社と共通ガイドラインの策定に協力することで、IBMは全世界のメーカーや部品メーカーが無駄や不合理を回避できるよう図っています。
使用済み製品管理
IBMはコンピューターのリサイクルでも長年世界をリードしてきました。社内で使用済みとなったIT製品や全世界からのリース回収品を、「使用済み製品管理(PELM: Product End-of-Life Management)プログラム」を通じて管理しています。さらにその一環として、1989年からはヨーロッパで同プログラムを開始し、その後対象地域を全世界に拡げて規模と内容を充実させています。
IBMは世界各地で買い取り・リサイクルサービス(アセット・リカバリー・ソリューション)をお客様企業に提供していますが、今後さらにこれを拡大する予定です。これにはデータ・セキュリティー管理とディスクの上書きサービス、世界規模の中古製品再販売ネットワーク、IT機器の再製品化とリサイクルに関する最新技術などが含まれます。さらに、多くの国で一般消費者を対象とした使用済みコンピューター管理ソリューションも提供しています。これにはIBM独自の回収プログラムを実施する場合と、各国の回収プログラムにIBMが参加する場合があります。EU諸国ではWEEE指令(使用済み電気・電子機器に関する指令)に適合するよう、家庭用・事業用の両製品に関してIBMの回収プログラムに修正を加えています。
製品埋め立て量の目標と実績
IBMは、2004年に使用済み製品管理を通じて全世界で5万8,440トンの製品や製品廃棄物を処理しましたが、埋め立てに回ったのはわずか1.7%でした。この結果は、埋め立て率を3%未満にするという社内のPELM目標を十分に満たしています。
2004年の使用済み製品の処理内訳

製品の回収と再利用の分析
IBMは1995年から、使用済み製品と製品廃棄物の回収量と処理量(再販売、再製品化、リサイクル)を年次環境プログレス・レポートに記載しています。1995年から2004年末にかけて、IBMは全世界で54.4万トン以上を回収しました。
2004年には、全世界で使用済みのデスクトップPC 56.1万台以上、モニター 42.8万台以上、ノートPC 58万台以上がIBMのPELMネットワークを通じて回収しました。この数には、国ごとの回収プログラム(オランダのICT、スイスのSWICOなど)を通じてIBMが回収した製品の台数は含まれていません。
2004年にIBMが全世界で再販売、再利用、またはリサイクルを行ったデスクトップPC、モニター、ノートPCの総数を同種の製品の2004年新規販売台数と比較すると、新規販売台数100台に対して再販、再利用、リサイクル製品の台数はデスクトップPCが11台、モニターが13台、ノートPCが13台となっています。国別にみて最も成績がよかったのは米国で、新規販売台数100台に対して再販、再利用、リサイクル製品の台数はデスクトップPCが26台、モニターが28台、ノートPCが29台でした。
