タブの始まり
森林保全体験プログラム with IBM環境シンポジウム
「IBM環境シンポジウム2006」の開催に先がけ、10月16日に熊本県水俣市で「森林保全体験プログラム」を実施しました。このプログラムは、熊本県内で行われた「第5回地球環境貢献特別プログラム」のショートコース(プログラムの詳細はこちら)参加者とともに、一般の方々からも参加者を募り実施したものです。
森林は水源涵養という貴重な役割を担っているほか、保水機能や土壌維持機能などにより、地域を水害や崖崩れなどの自然災害からも守っています。地球温暖化の原因といわれる大気中の二酸化炭素を吸収してくれるのも森林です。また森林生態系には野生生物が生息し、さまざまな林産物や美しい景観を社会に提供しています。このように多くの働きをする森林を守ることは、地域の環境保全はもちろん、地球環境保全の観点からもきわめて大切なことです。
秋晴れの空の下、なごやかな雰囲気のなかで力を合わせて行った活動の模様をご紹介します。
日本の森林には手入れが必要
今回の体験プログラムは、水俣市久木野の村おこし施設「愛林館」のご協力をいただき、日本IBM・黒田電気の共催で行われ、31名が参加しました。 愛林館
活動現場となったのは熊本県水俣市久木野。ここは97%が山林で、その谷あいに棚田が連なる典型的な山村です。一見、緑豊かで美しい眺めですが、実は森林も棚田も荒廃が進んでいるといいます。
「日本の森林は半分近くが人工林。人工林は間引きしながら育てていく必要があるのに、輸入材の影響で木材の価格が低下したことや後継者問題などで林業がすたれ、その結果、手入れが行き届かない状況になっている。森林がもたらす公益的機能への理解者を増やし、放置される土地を少しでも減らしていきたい」、と愛林館館長の沢畑氏は森林の維持管理の重要性を説きます。
日本の森林に今求められているのは、植林よりも、間伐であるということから、今年は間伐作業を実施することになりました。
山林と棚田が織りなす美しい久木野地区の眺めと作業の意義や注意
事項を説明する愛林館館長の沢畑亨氏。
20~30年生の杉の間伐を体験
間伐とは、成長過程で密生した木を間引くことです。間伐せずに放っておくと、一本一本が十分に育たず、風雪の害も受けやすくなり、山地災害の要因ともなります。間伐をすることで、林内に日光が差し込み、低木や下草が豊かに育って地表が守られるとともに、土壌の保水力や生物の多様性も確保されます。こうした間伐のほか、下刈り(苗木のまわりの雑草木を取り除く作業)や枝打ち(下枝を切り落とす作業)などによって、森林は維持管理されています。
左は健康な森。明るく、高い木の下には低木、地面には
下草がしっかりと育っている。右は不健康な森。幹は細く、
日光は地面まで届かず、下草は育っていない。
(注)
右の森は、実際はもう少し明るかったが、光量不足
のためストロボ撮影となってしまった。
今回割り当てられた作業場は、林齢およそ20~30年の杉林。参加者はヘルメットと軍手を着用し、事前に伐採すべきものとして選ばれた木(密生している中で栄養不良の木)を目指して急斜面を登ります。
地元で長年山林を守ってこられた吉井さんと中村さんから指導をいただきながら、3人一組となっていよいよ作業の開始です。
間伐の手順は、まず周囲の状況を見て、他の木に当たらないよう倒す方向を決めます。次に、倒す側の根本近くに、ナタでくさび状の切り込み(受け口)を入れます。深さは木の直径の3分の1程度。次に、今度は受け口の反対側からノコギリで切っていきます(追い口)。その間、他の人はノコギリが木の重みではさまれないよう、倒す方向に木を押します。受け口と追い口の間に一筋分(ツル)を残し、あとは幹を押して倒します。

ナタで切り込みを入れ、ノコギリで切り進めて、最後は皆で力を合わせて、せーの!
協働作業で20数本を伐採
参加者は、間伐は今回が初めてという人がほとんどで、不慣れな作業に最初は恐る恐るといった様子でした。ノコギリがなかなか入っていかない、切り終えても他の木に引っかかってうまく倒れないなど、悪戦苦闘。思わず力が入ってしまい、「もっと力を抜いて!」と指導を受ける場面も見られました。
しかし、ミシミシと音を立て大きな杉が倒れていくさまは迫力があり、真剣な表情から一転して笑顔がこぼれます。汗だくになり作業の大変さを実感しつつも、伐採前後で周囲の環境が変わることがわかると、達成感が湧いてきます。しだいに弾みがついてきて、何本も切り進むチームもあったほど。
切り株からは清涼な香りがたちこめ、やわらかな日差しと澄んだ空気に包まれた参加者の笑顔には充実感がみなぎっていました。
作業をすることおよそ2時間、二十数本を切り終え、森林保全体験プログラムは活況のなかで閉会となりました。このプログラムは今後もひき続き実施される予定です。
音を立て倒れていく様はなんとも爽快。林は作業前よりも光が差し込むようになった。
作業を終え、充実感がみなぎる。年輪を数えてみると・・・、この木は26歳!
愛林館前で記念撮影。皆さん、おつかれさまでした。
* なお、愛林館館長の沢畑氏の「環境シンポジウム」での講演内容は講演抄録としてまとめ、後日Webに掲載する予定です。
