先進的環境活動訪問ツアー
毎年、シンポジウム開催の地で先進的環境活動を学ぶこのツアー。今年は11月2日、PCB廃棄物処理事業を行うJESCO(日本環境安全事業株式会社)大阪事業所、最新の廃棄物処理とリサイクル事業に取り組む大阪府エコタウン内企業や、ともに学び合う環境教育の里山『紀泉わいわい村』を2コースに分かれて訪問しました。産業廃棄物処理やリサイクル、環境教育は、企業の方にとってはもちろん、一般の方にとっても関心の高いテーマです。ここ大阪ではどのような活動が行われているのでしょうか。それぞれの見学内容をご報告します。
コース1:
JESCO大阪事業所~大阪府エコタウン(堺第7-3区)
コース2:
大阪府エコタウン(堺第7-3区)~紀泉わいわい村
大量かつ処理困難なPCB廃棄物を安全確実に処理
JESCO大阪事業所 大阪PCB廃棄物処理施設
環境に残留しやすく毒性をもつ有機汚染物質として、国内では2016年までに処理することが義務づけられているPCB(Polychlorinated Biphenyls:ポリ塩化ビフェニル)。熱で分解しにくい、電気絶縁性が高いなど化学的に安定した性質から、かつては電気機器の絶縁油をはじめ、さまざまな用途に使用されました。現在、その多くは各事業者により保管されている状況で、紛失や漏洩による環境汚染が懸念されています。
JESCOは国の監督のもとでPCB廃棄物の処理を行う機関です。全国5ヵ所でPCBを含有するトランス・コンデンサ等の電気機器の廃棄物を化学的に処理しています。
ここ大阪の処理施設は2棟から成り、廃棄物容器の解体・分別・洗浄・分離処理と、PCBが含まれた液の分解処理を行っています。処理困難なPCBですが、容器に浸み込んだものは、「真空加熱分離法」(400℃以上で約1日加熱し、PCBを蒸発させオイルシャワーで捕集する)や「溶剤洗浄法」で何度も洗浄されて取り除かれます。一方、PCB油等の液体はパラジウム/カーボンを触媒としてPCBの塩素を水素等に置き換える「触媒水素化脱塩素化分解法」を用いて分解処理を行い、無害化。処理済物は確実にPCBが取り除かれていることを検査した上で、素材別に分別・リサイクルされます[図]。
[図] PCB含有のトランス・コンデンサ等の電気機器の廃棄物の処理工程
(出典:「JESCO大阪PCB廃棄物処理施設」案内より)
左は真空加熱分離処理装置。PCB含有の部材を入れ、炉内
を減圧加熱しPCBを蒸発させ、オイルシャワーで捕集する。右
は処理前後のコンデンサ。コンデンサごと処理できるのはここ
だけの特徴だという。

左はPCB分解反応器。安全対策のため、床は厚く不
浸透性の樹脂で覆われているほか、漏洩検知器、
液面計、オイルパンなどが設置されている。右は分
解後の処理物(一部)。

施設はすべてコンピューターによって24時間集中管理・制御さ
れている。また、情報公開および環境学習のための設備も備
わり、リアルタイムで処理・運転状況が公開されている。
参加者からは、処理技術や進捗状況に関する質問がなされたほか、「多数の工程を経てようやく無害化されることを知り、大変さを実感した」、「このような施設を見学する機会はなかなかないので、とても勉強になった」、という声が聞かれました。
大阪の施設が対象とする地域は滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の2府4県。最初の操業2年は大阪市内の廃棄物から処理が進められています。処理能力は、PCB分解量にして1日約2トン。操業後1年でトランスは230台、コンデンサは4,400台が処理されたと言います。今後も安定稼働を続け、安全確実に処理が進んでいくことが期待されます。
