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先進的環境活動視察ツアー
初夏のさわやかな陽光に包まれた富山市。シンポジウム翌日の6月10日には、地域の優れた環境先端事例を視察するツアーが行われました。今回は富山市の中心部と富山湾の港町を結ぶ新交通システム「富山ライトレール」に乗車し、「富山市エコタウン」を訪問するプログラムです。環境、市民、資源への配慮を通じて新しいまちづくりにチャレンジしている富山市の取り組みをご紹介します。
新公共交通システムとゼロエミッションで地域活性化
全国初の本格的LRT
「富山ライトレール」
ライトレールとは、「軽量軌道交通」(Light Rail Transit : LRT)のこと。新型の路面電車として世界各地で親しまれている新しい公共交通システムです。自家用車使用から公共交通への移行などによりCO2排出量が大幅に削減されるなど、環境保全面の効果が期待されているほか、低床式車両によるバリアフリーを実現したことで、高齢者や障害者にやさしい乗り物としても注目されています。
富山駅近くの公共交通まちづくりインフォメーションセンターに集合した視察ツアー参加者は、まず富山ライトレールについてのビデオを視聴したあと、富山ライトレール(株)の根塚俊彦社長による事業説明を聞きました。
富山駅と岩瀬駅(旧名)を結んでいた旧・JR富山港線をLRT化し、富山ライトレールが開通したのは2006年4月。本格的なLRTの導入は、全国で富山市が初めてでした。すべての車両を低床車両とし、一部の区間を路面電車化した富山ライトレールは、富山駅北と岩瀬浜のあいだを25分弱で走行します。朝の通勤・通学時には10分おきに、それ以外の時間帯は15~30分おきに発車するスケジュールで運行しています。
富山市は近い将来の構想として、富山駅の南部を走る路面電車と北部を走る富山ライトレールを相互乗り入れしようと計画しています。これによってJR北陸本線、地方鉄道本線、高山線、富山ライトレール、環状の路面電車などの公共交通を充実させ、マイカー依存度が低い環境先進都市を目指しているのです。
ツアー参加者から根塚社長への質問は、この相互乗り入れの具体的な予定や、市民のライトレールへの満足度、均一料金(全区間200円)のメリットとデメリットなどに及びました。
説明後、一行は実際に富山ライトレールに乗車し岩瀬浜まで移動しました。

富山ライトレールの車両の別名「ポートラム」は、公募によってつけられた。
特長は低騒音、低排気、低床車両、そして市民満足度は「高」。

富山ライトレールは、公共が施設整備を負担
し、第3セクターの富山ライトレール(株)が運営
する「公設民営」。乗車のまえに同社社長の
根塚俊彦社長が、3年目を迎えたライトレール
の事業概要を説明。

集合場所となった公共交通まちづくりイ
ンフォメーションセンターのある富山駅
近くの「アーバンプレイス」。

ライトレール関連グッズのネクタイ。デザ
インはポートラムの車両と同じく7種類(7
色)あり、裏にマスコットキャラクターの
「とれねこ」が隠れている。
資源循環型のまちづくり「富山市エコタウン」
岩瀬浜で一行はエコバスに乗り換え、海岸沿いのエコ産業団地「富山市エコタウン」へと移動しました。このエコバスは廃食油(使用済の天ぷら油)から再生したオイルを燃料にしています。これもエコタウンで生まれる貴重なリサイクル資源のひとつ。
エコタウンでは、まずエコタウン交流推進センターで説明を受け、ビデオ視聴や情報資料室を見学。一行はその後ふたたびエコバスに乗り、エコタウンを構成するリサイクル施設のうち、日本オートリサイクル株式会社と、株式会社エコ・マインドへ向かいました。

富山市エコタウン交流推進セン
ターからエコバスに乗り、日本
オートリサイクルへ。

富山市エコタウンにあるリサイクル施設の
ひとつ、アイオーティカーボン(株)で木質系
廃棄物から製造されている炭(富山市エコ
タウン交流推進センター情報資料室で)

富山市エコタウンにあるリサイクル
施設のひとつ、(株)プリテックで容
器包装材から再生されたフレークと
ペレット(富山市エコタウン交流推
進センター情報資料室で)
日本オートリサイクルには、自動車を解体処理する工場があります。搬入されてきた廃車は、まず部品利用のできる車と、解体処理する車に分別されます。部品利用のできる車は、手作業によって部品をはずし、再利用へ。解体処理用の車は、前作業としてタイヤやバッテリーがはずされたあと、重機で解体されます。工場には電気式による3台の重機があり、車1台を5~10分で解体していきます。解体された鉄やアルミなどは再利用可能な形に処理されて、製鋼会社などに出荷されます。一日に解体処理される車の台数は平均80台。1台1台の車が重機で解体されていくダイナミックな工程は、多くの参加者たちの目を惹きました。
続いて見学した施設はエコ・マインド。ここは従来埋め立てや焼却によって処理されてきた廃棄物を燃料としてリサイクルする施設です。
ハサミの原理を応用したという一次破砕機と二次破砕機の工程では、堅いものも伸縮性のあるものも一様に破砕し、3~4センチの大きさまで細かくしていきます。乾式洗浄機は、石膏ボードや剥離紙などを乾かし、埃や汚れなどの付着物をはたいて取り除きます。これは水や洗浄液を使わずに洗浄するため、環境負荷の少ない技術です。一方、固形燃料化しにくいもの(塩化ビニル系、アルミ缶など)を選別・除去しているのが光学式選別機。こうした前処理工程のあと、燃料化の工程を経て、ボイラー燃料、製鉄原材料、石炭焼成用燃料、溶鉱用鎮静剤といった固形燃料が生まれます。参加者はひとつひとつの工程やリサイクル資源を丹念に見学して回りました。

日本オートリサイクルに搬入されてくる廃
車

エコ・マインドで再資源化される廃棄
物
富山県の産業廃棄物は、10トントラックで毎日1,300台分にのぼるそうです。富山市エコタウンでは、産業廃棄物のリサイクル技術によって、あらゆる廃棄物をゼロにするゼロエミッション化に取り組み、資源循環型社会への移行を積極的に推進しています。
視察を終えた一行は岩瀬浜で解散。回船問屋が栄えたという歴史のなごりをとどめる海岸沿いの町並みが、北陸の青空のもとに広がっていました。
