日本IBMでは、低炭素社会に向けて、積極的に環境ビジネスを推進。2008年6月に、「価値あるイノベーション」「社会との協働」「環境へのリーダーシップ」という3つの"環境宣言"を掲げました。
「社会との協働」では、社員個人とその家族の地域での環境活動も重要と考え、行政やNPOと連携して社員の社会貢献活動を支援。環境活動を通して、個々人の環境への意識を高めています。
なぜ森林環境をよくするために間伐が必要?
2008年11月9日(日曜日)、東京都奥多摩町・鳩の巣フィールドにおいて、森林環境に貢献したいという社員とその家族50名強が集まり、NPO法人 樹恩ネットワーク(以下、JUON)の協力のもと、フィールド内の間伐と山を登るための道づくりの森林ボランティア活動を行いました。
9時35分、鳩の巣駅前に集合。この日は曇天で、11月上旬にしては冷え込みが厳しく感じられました。参加者がそろったところで、フィールド近くの駐車場へと移動。グループに分かれると、各自にヘルメットとのこぎりが支給されました。のこぎりは専用ベルトで腰にしっかりと装着。各班には、さらに木槌と鍬が配られました。準備が整ったところで、開会式。JUON代表者から、間伐の目的について話を聞きます。
「なぜ、皆さんに間伐をしてもらうかというと、それが日本の森林に必要なことで、CO2削減にもつながる大切なことだからです」
「安価だからという理由で、外材が多く使われるようになったことで、日本の林業は衰退。あちこちで森林が手入れもされていない状況です。こうして放置された森林では、木が多すぎて、1本1本に栄養分が行きわたらず、良質な木が育ちません。木の質が悪いと、住宅用の材木として有効活用もできません。私たちは国産材を使ってもらう活動もしていますが、木を切ることで森林は健康になり、より多くのCO2を吸収するようになります。外材を使うことは、その輸送に多くの燃料が使われるため、CO2を排出する遠因にもなるんですよ」
なるほど。間伐を行うのは、こういう理由からだったのですね。
険しい山道に、道づくりの必要性を実感

先人の作った道に感謝しながら、みんなで山の中へ
さて、JUONのメンバーが各班のリーダーとなり、出発です。向かう山は、約8haの民有林で、杉とヒノキが材木用として植林されていますが、長い間、人の手が入らず、整備を始めてから今年で6年です。標高差はおよそ150~200m。その7合目付近まで歩いていきます。
山を登り始めると、リーダーが「初めは道も無かったんですよ」と教えてくれます。「だから、歩きやすいように切った木をレールのように敷いて、道を作りながら、上へ進んでいくんです」
見上げれば、うねうねと蛇行しながら続く道には、所々丸太が敷かれています。山の傾斜はきつく、谷側へ足が滑ることもあり、丸太での道づくりは必要だと実感します。
またしばらく歩いていくと、「このあたりの地面には、植物が生えていますよね?」とリーダー。
「これは、間伐をしたことで、地面にまで光が届くようになった証拠なんですよ。木々にも光がたくさん届けば、光合成も盛んになり、森林全体でのCO2吸収量も上がります。皆さんも頑張って作業してください」
鉈で杭を作るのも、汗をかきながら

斜面に丸太を置いて杭を打ち、道を作る作業中
リーダーのレクチャーを聞きながら、山道を登ること、約20~30分。各班ごとに、間伐と道づくりのポイントに到着して、それぞれ作業開始です。
「まず、ここに道を作りましょう」
指示した場所は、山の"斜面"。ここを登りやすいように丸太を敷いていくのです。全長10mほどの道を目標にします。リーダーが、道づくりに適した丸太を探し、ボランティアには、丸太を留める杭(くい。以下、杭)を作る係、土を鍬でならし固める係・・・と役割を分担します。
杭は、太めの枝を選び、周囲の小枝をのこぎりで切り落とし、それから、地面に埋めるほうを四角錐に鉈で削って作ります。しかし、鉈を使うなど初めての人も多く、鉈の使い方から教わることに。慣れるまでに時間がかかりましたが、いびつながら先が四角錐の杭が何とか出来上がりました。これを5~6本作るので、2~3人で交代しながら進めます。
けっこうな力仕事で、これだけで額にはうっすらと汗が。夢中で作業をしていると、寒さをまったく感じません。道を作る個所の地面を鍬でならし、まずは道の下半分にあたる個所に、2本の丸太を置いてみます。なかなかいい感じです。
あっという間に12時になり、午前中の作業は、ここで終了。
間伐した木を使って、道を整備

間伐する木にのこぎりを入れたら、ロープで引いて倒します
昼食を挟んで、午後の作業がスタート。道の上半分に使う木を切り倒すことになりました。
ここで選ばれたのは、ひょろっとした直径20cmほどの細い木。ちょうど道をつくりたいポイントに倒すことができそうな場所に生えています。まず、切った時に木があらぬ方向へ倒れていかないよう、ロープを巻いて、その両端を2本の木に巻き付けて固定します。
この木を切ることになった社員は「のこぎりで木を切るなんて初めて」と言いますが、力強くのこぎりをひいていきます。そして、あと少しで切れるというところでストップ。ロープの一方を木から外し、リーダーがもう一方のロープをゆっくりと引いて、木を倒していきます。ボランティアのメンバーは、少し離れて、見守ります。
アメリカでの暮らしが長かったという植西高照さん(IBCS)は、「アメリカのようにチェーンソーで木を切るイメージで来ましたが、のこぎりを使うなんて、エコですよね(笑)」
めきめきっと音をたてて、木が倒れます。まだつながっている部分をのこぎりで切り落とし、道づくり用の丸太ができました。

間伐した木を道作りのポイントまで引き上げる
力仕事です
午前中に置いた丸太と、切ったばかりの丸太をつないでみます。長さもぴったりで、予定通り10m?ほどの道ができそうです。そこに今度は、丸太を留めるため、杭を打っていきます。
かなりの重さのある木槌は、杭の中心へ振り下ろすのも大変な作業ですが、今村隆弘さん(GBS)と参加した妻・睦さんは、女性ながら、杭打ちがうまく、ご自身でも「転職しようかしら」と笑います。
それから、道の長さに合わせて丸太をのこぎりで切ったり、丸太と丸太の継ぎ目がうまくかむように一端を切ったりして、微調整。地面が凸凹して丸太が浮いてしまう部分には、小枝などを詰めて固定し、やっと道が完成しました。
ほっとひと息ついたところで、時計は午後3時。「途中でもいいから、すべての作業を終わりにしてください」とリーダーから声がかかります。これで、1日の作業がすべて終了しました。
道づくりでは、IBMらしいチームワークを発揮!?
「これまでもEweekに参加したりしてきましたが、体を使う活動もいいですね。いい汗をかきました」と言うのは松房一郎さん(GBS)。
「手足がもうガクガクです」と言いながらも、「自然の中で体を使うのは、楽しかったです」と話してくれたのは今村睦さん。その隣で、今村隆弘さんは、「間伐をしないと、環境が壊れていくと知って、勉強になりました。機会があれば、またやってみたいです」
植西高照さんは、大学時代に環境情報工学を学んでいたことから、日本の森林環境にも興味があり、環境に貢献する活動をしたいと参加しました。活動を終えて、「とても充実感がありました。道づくりでは、チームワークを発揮できたと思います。うまく連携しながらやっていく点が、プロジェクトにも通じていて、IBMらしいなと思いましたね(笑)」
また、3歳のお子さんを連れて参加した社員からは、「家族と楽しみながら、環境に貢献したいと思ってきましたが、けっこうな力仕事でしたね。娘には、ちょっと大変なところだったかな(笑)。でも、妻も娘もいい体験ができたと思います」
奥様も「どんどん道が出来上がっていくのを見て、作業をしながらもうれしくなりました」と感想を聞かせてくれました。

山を下りると、みんな満ち足りた表情で、充実したボランティア活動だったことをうかがわせます
班ごとに振り返りのミーティングの後、閉会式。社会貢献主催の環境クイズを楽しんでから、解散となりました。心地よい疲れとともに、不思議と高揚感にも包まれ、それぞれ家路につきました。
同じ森林ボランティア活動は、別の20名程の社員とその家族とで11月22日(土曜日)にも行われました。
私たちの活動が、少しでも森林環境を良くすることに貢献できたのなら、こんなにうれしいことはありません。これからも一人一人できることから地球環境に貢献する、そんなIBM、IBMerであり続けたいですね。
