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科学者が語る科学の楽しみ

川口 正美氏



プロフィール   若者へのメッセージ
科学のおもしろさについて   研究テーマ



プロフィール

川口正美氏の顔写真 川口 正美
日本IBM科学賞 第1回(1987年)化学分野受賞者
三重大学工学部分子素材工学科 助教授

第1回日本IBM科学賞受賞の詳細はこちら

若者へのメッセージ

21世紀を目前にして、科学技術の発展に伴い我々の生活は物質的に豊かになった。その半面、地球温暖化、酸性雨、オゾン層破壊、砂漠化などに代表される地球的規模での環境破壊が進んでいる。エイズやガンに代表される難病の特効薬は未だ見つかっていない。また、正確な地震予知や天気予報を行うことの困難さなどの難問が山積みされている。これらを解決するには、科学を目指す若い人の英知にかかっている。一方では、最近の若い人の理科離れが深刻な問題として取り沙汰されており、これは科学の面白さを伝えるべきの我々の責任でもある。そのために、学会や大学ぐるみの検討がなされ、中高生のための公開講座の開催や大学教官の高等学校への出前授業などが行われているので、機会が有ったなら是非とも参加して欲しい。
また、日常生活において、受け身にならず、物事を批判的に見る癖を付けておいて欲しい。科学は決して画一的なもではなく、異なる学問分野と相互に深い関係にあるので、 分野に捕らわれずに興味を持って欲しい(最近、特に気になることは研究室の学部や修士の学生が余りにも専門分野に偏ったことにしか興味を持たなくなったことである)。


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科学のおもしろさについて

仮説通りの結果が得られることよりも、それと異なった場合のほうがに研究の醍醐味を感じる。 また、それを通して自分の未熟さを痛感することが科学の面白さである。我々の研究結果を異なる分野の研究者に興味を持って頂いた場合も、科学をやっていて幸せだと思う。 月並みかと思うが、世界で初めての発見をし、世の中のためにいい意味での役に立てばと思い研究をしている。研究を通して、若い人達の科学に対する見方や考え方が変化し、成長していく様子が見られることが研究者になって、一番良かったことである。


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研究テーマ

分散質が分散媒の中に分散したコロイド(分散系)の基礎的研究を行っている。分散媒に高分子溶液を分散質に固体粒子や油滴を用いている。多くの高分子は細長く、変形しやすいので、(うどんやそばなどを連想してください)、その形を自由自在に変えて他の物質の表面や界面などに吸着する。 このように、吸着した高分子の形が多様なために、固体粒子や液滴などは分散媒中に安定に分散したり、不安定になって会合(凝集)する。また、分散系は変形や流動に伴い複雑な 挙動(非線形挙動)を示す。こうした現象を分子論的に明らかにするために、粒子に吸着した高分子の形態や分散質の会合構造を解明することやレオロジー(三次元における流動と変形) やヴィスコスフィンガリング(二次元における形や構造の形成)について研究を行っている。
これら研究は、工業製品の成形加工技術の向上、新物質の開発、材料の非線形応答の解釈、あるいは非平衡開放系に見られる散逸構造(パターン)形成、地震の液状化現象、潰瘍、 海岸の侵食などの基礎的理解に役立つ。
特に、高分子を含む非平衡開放系での研究(ビスコスフィンガリング)は、低分子系の場合に比べ、その理解はほとんどなされていない。 どんな新しい発見があるのか分からないために、実験的にも理論的にも大変興味深い学問領域である。
高分子を含む分散系のレオロジーの研究を行っている研究機関は、 国内では千葉大学、京都大学など、海外では米国のプリンストン大学、スタンフォード大学、イギリスのブリストル大学、フランスのパリ大学などである。また、ビスコスフィンガリングの研究に関連のある研究機関は、国内ではほとんど無く、海外では、米国のピッツバーグ大学、シカゴ大学、ボストン大学、 フランスのCNRS-オルリ-ンズ大学などである。関連ある学会は物理学会、化学会、高分子学会、レオロジー学会、応用数理学会などである。また、関連あるキーワードは、高分子吸着、分散系、レオロジー、非平衡開放系、ヴィスコスフィンガリング、パターン形成である。

放射状Hele-Shawセルにおけるヴィスコスフィンガリング イメージ


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