本文へジャンプ

日本IBM科学賞 > 科学者が語る科学の楽しみ > 

科学者が語る科学の楽しみ

小宮山 真氏



プロフィール   若者へのメッセージ
科学のおもしろさについて   研究テーマ



プロフィール

小宮山真氏の顔写真 小宮山 真
日本IBM科学賞 第4回(1990年)化学分野受賞者
東京大学大学院工学系研究科化学生命工学 教授

第4回日本IBM科学賞受賞の詳細はこちら

若者へのメッセージ

私が子供の頃は、「科学こそが人類の未来の繁栄を築く」ということが無条件に信じられていました。実際、「現在の私たちの豊かな生活が科学の進歩のおかげである」ことを否定する人はいないでしょう。しかし、昨今、科学を取りまく環境が変化し、善の側面と悪の側面の両方があるということが強調されています。場合によっては、「科学が進んでも人類は幸福にはなれない」いう意見もあるほどです。確かに一面では正論です。でも、考えてみて下さい。科学なしで人類が生きられるでしょうか? 高度消費文明にとっぷりと浸った私たちが、まきでご飯を炊き、ランプで明かりをとる生活に戻れるでしょうか? とても無理な相談です。つまり、科学は絶対に必要なのです。ただ、科学の悪の側面を抑え、善の側面のみを生かすような工夫が必要なだけです。今こそ、皆さんのような若い人の出番です。これまでの固定概念にとらわれない斬新な発想で、ぜひ新しい未来を切り開いて下さい。


上に戻る

科学のおもしろさについて

基本的には、科学のおもしろさは、「自然が与えてくれた謎」をいかにして解いていくかということだと思います。しかも、これを解くことが、人類の繁栄へとつながるという賞品付きです。さらに、それに加えて、「これまで誰もできなかったことを自分が初めてやるんだ」という、わくわくするようなおまけがついています。これだけ条件がそろっていて、チャレンジしてみようと言う気にならない人はいないでしょう。科学がつまらないという人は、本当のチャレンジを今までに一度もしたことがないのだと思います。ぜひ、一度やってみて下さい。病みつきになること請け合いです。


上に戻る

研究テーマ

  1. 核酸は遺伝情報のメモリーであり、これを意のままに操作できれば、生命活動そのものを制御できるはずです。現在の遺伝子工学や分子生物学では、DNAを選択的に切断するのに天然の制限酵素を使用しています。しかし、天然の制限酵素の特異性はそれほど高くなく、高等生物の巨大なDNAを好きなように切断することができません。そこで、どうしても、天然酵素よりもはるかに特異性の高い人工制限酵素が必要なのです。本研究では、DNAやRNAを目的の位置で正確に切断する人工制限酵素を開発しました。
  2. 本研究で開発した人工制限酵素を用いると、天然酵素と同じ切断様式で、核酸を任意の位置で選択的に切断することができます。しかも塩基配列特異性はいくらでも高めることが可能で、基本的には、人のDNAでも自由に切断することが出来ます。したがって、高等生物を対象とするバイオテクノロジーやガン・エイズ治療をはじめとする様々な分野で広範に利用されるものと期待されています。
  3. この人工酵素を使うと、これまで不可能であった「高等生物の遺伝子操作」が可能になると期待されます。例えば、高等植物の品種改良などが、突然変異という偶然の所産に頼ることなく、明確な原理に基づいて実現できるようになるはずです。夢は広がります。
  4. 関連の研究をしている大学: 昨今は世界中の大学で同様の試みを行おうとする研究グループが急増しています。我々も、うかうかできません。

関連学会:日本化学会、高分子学会、日本生化学会など
キーワード:核酸(DNA、RNA)、人工酵素、遺伝子工学、人工制限酵素


人工制限酵素の概念図


上に戻る

一覧に戻る

お問い合わせはこちら
IBM科学賞に関するご意見・ご質問はこちら
e-メール メールを送る

日本IBM科学賞事務局
03-5563-4835