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科学者が語る科学の楽しみ

西森 秀稔氏



プロフィール   若者へのメッセージ
科学のおもしろさについて   研究テーマ



プロフィール

西森秀稔氏の顔写真 西森 秀稔
日本IBM科学賞 第4回(1990年)物理分野受賞者
東京工業大学理学部物理学科 教授

第4回日本IBM科学賞受賞の詳細はこちら

若者へのメッセージ

自分が本当に面白いと思ってのめり込めることを見つけて下さい。人の目にどう映るかはどうしても気になるものですが、それを忘れて自分の力を何かひとつのことに集中的にそそぎ込めるのは、体力的にも精神的にも若い人だけに許された特権です。


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科学のおもしろさについて

論理だけを武器に考えを一歩一歩手探りで詰めていっているとき、突然新しい見通しがぱっと開けてくることがあります。「やった!」と感じる瞬間です。しかし「面白いからやる」だけでいいのかという疑問はいつも持っています。


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研究テーマ

スピングラス説明図 私が現在取り組んでいる研究テーマはいくつかありますが、そのうちで特にスピングラスについて説明しましょう。
スピングラスというのは磁石(磁性体)の一種ですが、普通の磁石(強磁性体)と違ってものにくっつくという性質はありません。普通の磁石でなぜ私たちの手でも直接確かめられるような力が発生するのかというと、原子一個一個の持っている小さな磁石(スピン)が磁石の内部全体にわたって同じような揃い方をしているためなのです(Fig. 1)。これに比べてスピングラスでは、原子のスケールでの小さな磁石がそれぞればらばらな方向に向いたまま止まっています(Fig. 2)。そのためにものをくっつけるような強い力は発生しないのです。このときのスピンの並び方はガラスの中の原子の並び方と良く似ています。
結晶は固体の一番きれいな状態です。というのは、結晶では原子が規則的にきちんとした順番で並んでいるからです。ところがガラスの中では原子が不規則な勝手な位置にあり、ほとんど動きません。結晶を強磁性体に、スピングラスをガラスに対応させてみると、スピングラス(スピンのガラス)という名前が理解できると思います。
スピングラスは強磁性体のようにすぐに実用的な応用の道が開けているわけではありません。しかし、「ランダムに凍結する」という現象を系統的に研究する理論の枠組みがスピングラスの研究の中から初めて生まれてきたので、学問上非常に重要な役割を果たしています。


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