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日本IBM科学賞第1回(1987年)受賞者

受賞者紹介


相原 惇一(あいはら・じゅんいち)
昭和16年7月2日生まれ
静岡大学理学部 助教授


相原惇一氏の顔写真

  1. 昭和 40年

    東京大学理学部化学科卒業

  2. 昭和 45年

    東京大学大学院理学系研究科 博士課程修了

  3. 昭和 45年

    日本学術振興会奨励研究員

  4. 昭和 45年

    北海道大学理学部化学第二学科 助手

  5. 昭和 56年

    静岡県大学理学部化学科助教授

  6. 専門:

    理論化学、物性化学

  7. 著書:

    『電子の分光』
    (共立出版、1978年、共著)
    『実験化学ガイドブック』
    (日本化学会編、丸善、1984年
    共著・編集委員)

贈賞の理由


芳香族性の起源と本質の理論的解明
化学式の代名詞ともいえる亀の甲形。このベンゼンは、1825年、ファラデーによって発見され、その40年後、ケクレが有名な亀の甲形の構造を提案しました。現在、六角形のベンゼン以外にも、いろいろな形の環をもつ化合物が知られています。
しかし、環状化合物には、長い間、どうしてもわからない謎がありました。環の形や組み合わせを変えると、非常に安定な分子になったり、極端に不安定な分子になったりするのです。
ケクレ以来、多くの化学者がこの謎に取り組んできましたが、つい最近まで、納得のいく説明はなされていませんでした。この問題に1つの答えを出したのが、相原助教授が1976年に発表した「芳香族性理論」です。

相原助教授は、環状分子が安定になったり不安定になったりするのは、分子内のパイ電子と呼ばれる電子が環をめぐることによる「安定化効果の大小」にあることを突き止めました。この理論は、分子の形とエネルギーの関係を明らかにすることに成功しました。
これによって、たとえば、何か新しい環状化合物を合成しようとするとき、それが安定なのか不安定なのかを、前もって計算できるようになりました。
この成果は、当然のことながら、世界中から高い評価を受けています。相原博士が解明した、パイ電子による分子の安定化の度合いは、いまや「トポロジー的共鳴エネルギー」の名前で呼ばれています。最近では、この共鳴エネルギーが正の分子を、芳香族分子と呼ぶことが一般化しています。

さらに、相原博士は、芳香族分子の磁性と分子構造との関係も明らかにしました。芳香族化合物の磁性も、安定性と同様に、分子の環状構造と密接な関係があるからです。

相原博士の業績は、量子論的な手法を用いて、分子のエネルギーが、分子の形と関係づけて理解できることを示したことにあります。1つの新しい方法論の発見といえるでしょう。

※所属名および役職は、受賞時のものです。