日本IBM科学賞第1回(1987年)受賞者
受賞者紹介
大島 忠平(おおしま・ちゅうへい)
昭和22年12月8日生まれ
科学技術庁無機材質研究所 主任研究官
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昭和 45年
東北大学工学部電子工学科卒業
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昭和 47年
東北大学工学研究科修士謀程修了
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昭和 47年
無機材質研究所入所
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昭和 54年
工学博士号(東北大学)
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昭和 55年
主任研究官
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昭和 60年
科学技術庁長官賞受賞
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昭和 62年
真空技術賞
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専門:
表面物理
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著書:
『表面物性工学ハンドブック』
(丸善、1987年、共著)
『トンネル現象の物理と応用』
(培風館、1987年、共著)
贈賞の理由
低速電子エネルギー損失分光法による表面フォノンの研究
固体表面の原子は、真空側には原子が存在しないため、内部とは異なる性質をもっています。たとえば表面の原子の振動の復元力は、固体内部に比較して弱くなります。
この理由により、表面の最外層の原子だけに限られて存在する『光学表面フォノン』つまり、隣同士の原子が逆位相に振動するモードがあることが、1948年に理論的に予測されました。
そして、1968年には、岩塩のような二つの原子からできた結晶で、表面と平行に振動するルカ・モードと、垂直に振動するウォリス・モードが存在することが、理論的に予測されました。
しかし、このような原子の振動を実際に測定することは、実験技術の点で大変むずかしいため、いままでできませんでした。
大島主任研究官は、ホウ化ランタンを使った高輝度低速電子線源と、高性能電子エネルギー分析器を開発して、世界最高のエネルギー分解能
2.9ミリ電子ボルトを実現しました。さらに、雑音のレベルを極限まで下げ、高感度の信号検出を可能にしました。
その結果、この装置を使って、1984年にウォリス・モードを、また、1985年にはルカ・モードを初めて実験的に検出したのです。
さらに、チタン・カーバイド、ニオブ・カーバイドといった遷移金属炭化物の表面では、これまで予測されていなかった新しい表面フォノンが存在することを、実験的にも理論的にも明らかにしました。それは、表面からちょうど2番目の原子の層だけに現れる、高い振動数をもった固有振動です。
この新しい分光法は、中性子回析法より高い精度で、バルクや表面のフォノンのエネルギー分散関係を明らかにすることもできます。現在話題になっている高温超伝導を含めた、表面科学という重要な分野で、必ず大きな力となるでしょう。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
