日本IBM科学賞第3回(1989年)受賞者
受賞者紹介
萩谷 昌己(はぎや・まさみ)
昭和32年 9月14日生まれ
京都大学数理解析研究所 助教授

昭和 55年
東京大学理学部情報科学科卒業
昭和 57年
東京大学大学院理学系研究科
修士課程修了昭和 57年
京都大学数理解析研究所・助手
昭和 63年
理学博士(京都大学)
昭和 63年
京都大学数理解析研究所・助教授
専門:
情報科学
特にプログラム合成、型理論、ユーザーインターフェース著書:
『ソフトウェア考現学』
(CQ出版)
『Common Lisp 入門』
(岩波書店、共著)
贈賞の理由
プログラムの一般化に関する研究
情報社会の進展とともにソフトウェアの需要は加速度的に増えており、ソフトウェアの生産性を高めることは時代の要請と言えます。そのための方策として、プログラム作成の自動化という研究がいろいろと行なわれています。その1つとして、部品となるモジュールをたくさん用意しておき、作りたい目的のプログラムに応じて、それらを検索し、組み合わせようという方法があります。
このようなアプローチに関連して、当然のことながら、既存のプログラムをいかに部品化するか、つまり「どのようにして一般化されたモジュールを作るか」という問題があります。もしこれに成功すれば、プログラムの再利用が促進され、ソフトウェアの生産性は飛躍的に向上するわけです。
プログラムの一般化の研究は、これまで個々の具体的なプログラムに対して議論されてきました。しかし萩谷助教授は、より一般性をもった「数学的な定式化」に挑戦し、成功を収めたのです。具体的には、マルチン・レフの高階型論理によってプログラムを表現し、プログラムと仕様(プログラムの目的の記述)を同時に一般化することを試みました。
実用化という点では、まだ解決しなければならない課題が多く残されていますが、この成果は、プログラムの一般化へ向けて大きな一歩と言えます。プロ
グラムというきわめて現実的でドロくさいものを、論理というきわめて抽象的なものに明確に関連づけたわけで、その試みは高く評価されています。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
