日本IBM科学賞第3回(1989年)受賞者
受賞者紹介
今井 浩(いまい・ひろし)
昭和33年11月21日生まれ
九州大学工学部情報工学科 助教授

昭和 56年
東京大学工学部計数工学科卒業
昭和 58年
東京大学大学院修士課程修了
昭和 61年
東京大学大学院博士課程修了
昭和 61年
九州大学工学部情報工学科・助教授
昭和 62年
マッギル大学客員助教授
専門:
計算幾何学
著書:
『計算とアルゴリズム』
(オーム社、共著)
贈賞の理由
図形処理等における幾何的近似アルゴリズムの開発
コンピューターが発達するにつれ、処理速度の高速化が求められ始めました。これを実現するため、今井助教授は、アルゴリズムの改良により、幾何的な構造をもつ問題の高速処理を実現しました。
コンピューターに問題が与えられると、その答えが計算されるまでにかかる時間は、問題とデータの複雑さによって決まります。それは、与えられた問題を「0と1の問題」と扱い、膨大な計算をしていたからです。そこで今井助教授は、与えられた離散的な「0と1の問題」を連続な問題で“近似”し、データ数を圧縮して処理した上で、再び「0と1の問題」に戻して解答を得る方法を確立しました。データ数がかなり大きい問題であっても、短時間で計算結果を得られるようになったわけです。
この研究の他にも、今井助教授は「計算幾何学」と呼ばれる分野で数多くの優れた論文を発表し、世界的に知られています。たとえば、地図の尺度を変える際に“近似”を応用、細かな凹凸で現されていた部分を瞬時に直線で置き換え、画面上に描き出せるようにもなりました。また100万点のセールスマン巡回問題の場合も、ある程度いい解が得られています。
ハードウエアの改良には限界があります。これに対し、アルゴリズムの改良は、まだ多くの可能性を秘めているとされています。そのうえ、
この分野は“理論とソフトに弱い”とされる日本が、米国と互角に渡り合える数少ない領域(計算幾何学)でもあるのです。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
