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日本IBM科学賞第4回(1990年)受賞者

受賞者紹介


岩澤  康裕(いわさわ・やすひろ)
昭和21年 3月13日生まれ
東京大学理学部   教授


岩澤康裕氏の顔写真

  1. 昭和 43年

    東京大学理学部化学科卒業

  2. 昭和 45年

    東京大学大学院修士課程修了

  3. 昭和 47年

    横浜国立大学工学部応用化学科・助手

  4. 昭和 52年

    横浜国立大学工学部応用化学科・講師

  5. 昭和 56年

    横浜国立大学工学部応用化学科
    助教授

  6. 昭和 59年

    東京大学理学部化学科・助教授

  7. 昭和 61年

    東京大学理学部化学科・教授

  8. 専門:

    化学反応学、表面化学

  9. 著書:

    『Tailored Metal Catalysts』
    (Reidel, The Netherlands)

贈賞の理由


活性表面の分子設計と触媒反応機構の解明に関する研究

触媒反応はブラックボックスといわれ、そのメカニズムは推定の域を出ませんでした。そこで岩澤教授は、従来の研究法とは全く異なった手法で触媒反応を原子レベルで観察し、それをもとに世界で初めて触媒反応のメカニズムを明らかにしました。

岩澤教授はまず「有機金属化合物を用いて、基板物質の表面に、精密に設計した活性構造を固定化する」という方法により、活性の高い均一な触媒を作りました。その代表がモリブデン原子2個で構成されるモリブデンダイマー触媒で、世界で初めて開発に成功したものです。そして同じような手法により約50種の異なる構造を設計し、新しいタイプの触媒を開発しました。

均一で高い活性をもつ触媒が得られたので、岩澤教授は触媒反応の機構の解明に取り組みました。エタノール酸化反応中にモリブデンタイマー触媒がダイナミックに変化していく様子を、表面科学で用いる広域X線吸収微細構造解析法(EXAFS)を使って世界に先駆けてとらえました。そして、反応中に、モリブデンの2個の原子間の距離が約0.4 A、担体のシリカとの距離が約0.1A変化し、この変化の1周期ごとに1分子のエタノールがアセトアルデヒドに転換されることを確認したのです。

また、工業的に重要なエチレンのヒドロホルミル化反応において、高い活性を示すロジウムダイマー触媒を開発しました。この触媒では、2個のロジウム原子の結合が切断されたりつながったりする間に、COがエチル基に挿入することを観察し、金属−金属の結合が触媒反応で果たす一般的な役割を明らかにして、「金属アシスト型反応機構」という反応型を提唱しました。

さらに、これまでに使用されたことのないニオブで脱水素活性をもつ触媒を開発、その反応過程を分子レベルで追跡し、「自己アシスト型反応機構」と呼ぶ触媒概念も発見しています。 

このように岩澤教授は化学に表面科学の手法を取り入れた独自の方法で、独創的な研究を行い新しい研究領域を開きました。

※所属名および役職は、受賞時のものです。