日本IBM科学賞第7回(1993年)受賞者
受賞者紹介
江刺 正喜(えさし・まさよし)
昭和24年1月30日生まれ
東北大学工学部機械電子工学科 教授

昭和 46年
東北大学工学部電子工学科卒業
昭和 51年
東北大学大学院博士課程修了
(工学博士)昭和 51年
東北大学工学部・助手
昭和 56年
東北大学工学部・助教授
平成 2年
東北大学工学部機械電子工学科・教授
専門:
半導体センサ
マイクロマシニングによる集積化システム著書:
『半導体集積回路設計の基礎』
『電子情報回路I、II』
(共著)
『マイクロマシーニングとマイクロメ力トロニクス』
(共著)
贈賞の理由
マイクロマシニングによる半導体センサの研究
計測工学の分野に、20年ぐらい前から新しいデバイス製造技術を応用したざまざまの新機能センサが登場してきました。その重要な分野が半導体センサですが、これを実現する鍵はマイクロマシニングと呼ばれる微細加工技術です。
江刺教授は、独自の半導体デバイス製造装置、マイクロマシニング装置を開発し、この分野の初期から一貫して先導的な研究を行い、医療用のマイクロセンサやセンサ・回路・アクチュエータの集積化システムなど、新しい分野を開拓してきました。
1970年代中頃の大学院生時代に開発された半導体イオンセンサlSFETは、血管内などにおいてリアルタイムに血液の水素イオン濃度や溶存炭酸ガス分圧を測定できるセンサであり、この研究はわが国のマイクロマシニング研究の先駆となりました。この装置は現在では市版されており、医療の現場でも大いに貢献しています。
イオンセンサや圧力センサなど医療用マイクロセンサの研究では、小型化によって生体への侵襲を最小限にとどめ、同時に高い信頼牲を確保するためセンサの実装(パッケージング)に半導体微細加工技術を適用することが必要になります。江刺教授はこの研究の重要性を早くから提唱し、みずからもシリコンチップ自体をセンサ容器に使うパッケージング技術を開発しました。
この技術は、集積回路を内蔵した新しい集積化センサを可能にするもので、しかもセンサの小型化と低コスト化をもたらしました。微小な静電容量を検出する回路の集積化によって、圧力や加速度などの高性能容量型センサを実現し、このうち圧力センサは、広く実用化されるに至っています。
さらに、シリコン基板上に微小なバルプやポンプおよぴ各種センサなどを集積化した微量流体制御システム、触覚イメージャのような多数のセンサを配列させた分布型センサ、針先にセンサを形成した局所計測用のマイクロプローブセンサなど、センサに関連した多くの新しい概念を提案し、実証してきました。
また、体内テレメータ用CMOS LSIや、センサに関連した通信用各種集積回路などのシステム技術から、さらには新しい微細加工技術や接合技術のような材料・プロセス技術まで、幅広く関連技術の研究を行って顕著な成果を挙げています。
このように江刺教授は、センサデバイスの試作研究の過程でセンサ自体の問題点を明らかにし、それに基礎から
系統だてて取り組むという独自の研究姿勢により、その分野で先駆的な業績を挙げ、指導的研究者の地位を確立しました。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
