日本IBM科学賞第7回(1993年)受賞者
受賞者紹介
上田 和紀(うえだ・かずのり)
昭和31年1月21日生まれ
早稲田大学理工学部情報学科 助教授

昭和 53年
東京大学工学部計数工学科卒業
昭和 53年
日本電気(株)入社
昭和 60年
~平成 4年(財)新世代コンピュータ技術開発機構へ
出向昭和 61年
東京大学大学院情報工学博士課程修了
(工学博士)平成 5年
早稲田大学理工学部情報学科・助教授
専門:
プログラミング言語の設計と実装
並行・並列処理、論理プログラミング著書:
『並列論理型言語GHCとその応用』
(共著:共立出版)
『楽しいプログラミング:記号の世界』
(共著:岩波書店)
贈賞の理由
並行論理プログラミング言語の研究
コンピュータを構成する素子の高速化は、これまでコンピュータの高速化に多大な役割を果たしてきました。しかし、素子の高速化の物理的限界が見えはじめてきています。最近、コンピュータ価格の低下は著しく、それに伴い、多数のコンピュータを並列に接続し同時に動作させる、並列コンピュータが現実のものになりつつあります。並列(並行)計算による計算の高速化がはかれるわけですが、そこでは、並行プログラミングの研究が重要になります。上田助教授は、この分野で極めて重要な貢献をしてきました。
複数の計算が並列に動作する場合、それぞれの計算が協調しあうために待ち合わせを行わねばならないことがあります。ところが、協調して並列に動作するプログラムの記述は必ずしも容易ではありませんから、並列動作が簡潔に記述できるプログラミング言語の設計と開発が重要な研究課題になります。
上田助教授は、これまでに研究されてきた、述語論理をべ一スにした並行論理型プログラミング言語のざまざまな概念を整理し、簡潔な並列計算原理をもつ並行論理型プログラミング言語の決定版、GHCを設計し実装を行いました。
上田助教授の開発したGHCによりますと、複数計算間の待ち合わせを直接意識することなく並行プログラムの記述が可能になるだけでなく、記述したものから大量の並列性を引き出すことが可能になります。GHCは、わが国が推進した第五世代コンピュータ計画における並列化技術の中核に位置し、同計画最大の研究成果として位置づけることができるとともに、わが国における数少ない国際的な知名度をもつプログラム言語であります。
第五世代コンピュータ計画ではGHCをべ一スに、さまざまな知識情報処理システムを実際に記述し
、記述の容易性とともに大量の並列性が抽出可能なことを実証しています。このように、上田助教授は、
並列計算に関するコンピュータサイエンスの基礎から応用分野に至る顕著な研究成果をあげ、その発展に大きく貢献しました。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
