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日本IBM科学賞第9回(1995年)受賞者

受賞者紹介


栖原 敏明(すはら・としあき)
昭和25年11月13日生まれ
大阪大学工学部電子工学科 助教授


栖原敏明氏の顔写真

  1. 昭和 48年

    大阪大学工学部電子工学科卒業

  2. 昭和 53年

    大阪大学大学院工学研究科
    電子工学専攻博士課程修了(工学博士)

  3. 昭和 53年

    大阪大学工学部電子工学科・助手

  4. 昭和 55年

    フィンランド国立技術研究所・客員研究員

  5. 昭和 61年
    ~62年

    英国グラスゴー大学電子電気工学科
    客員研究員

  6. 平成 2年

    大阪大学工学部電子工学科・専任講師

  7. 平成 3年

    大阪大学工学部電子工学科・助教授

  8. 専門:

    光波電子工学

  9. 著書:

    『光集積回路』
    (共著:オーム社)
    『Optical Integrated Circuits』
    (共著:McGraw-Hill)
    『光集積回路(改訂増補版)』
    (共著:オーム社)
    『量子電子工学』
    (オーム社)

贈賞の理由


周期構造を用いた光集積回路の研究

光通信や光記録など光エレクトロニクスの分野では、「光集積技術」が広く研究されてきています。その目的は、光デバイスをLSlのように小型安定で量産に適した集積デバイスとして実現することです。

その一方法として、レーザ光を薄膜状領域やチャンネル状領域に閉じ込めて伝搬させる光導波路を用いて集積する光集積回路があり、栖原助教授は1972年ころからこの分野の研究を行ってきたエキスパートです。研究の特徴は、導波路内に光波長程度の周期の微細な周期構造を構成し、その波長分散・波面変換・位相整合などの作用を利用することにあります。

周期構造は集積化に適した平面的構造で、同一構造でもパターン周期などを変えることで多様な機能を実現できます。また、ホログラフィの原理を適用すると、波面変換で複合機能が得られるなどの利点があります。これらの特徴を活用して光集積回路を実現する研究を理論と実験の両面から行ってきました。

これまでの研究で考案・実現したデバイスは、集積化ホログラムメモリ、光通信用波長分波器、高周波信号処理用光集積デバイス、光集積ディスクピックアップ、光集積微小変位センサ、導波型非線形光学波長変換デバイスなど、多くの種類にわたっています。

光集積回路は光通信への応用を主眼として研究されてきていますが、栖原助教授の発案による導波路ホログラムや光集積ディスクピックアップは、光記録やセンサーなどの新分野への応用を開いた独創性の高い先駆的研究として注目されてきました。特に光集積ディスクピックアップは、各種の光集積センサを派生させ、国内外での多くの類似研究を先導し、実用化されているホログラフィックヘッドの構成にもヒントを与え、関連して光ディスク読み取りの超分解能技術の研究を活発化させるなどの波及効果を与えました。他にも新しい材料を導入したデバイス、独自に実験で見出した材料特性を新デバイス実現に応用したものなど、多くの独創的な研究がなされています。

栖原助教授の研究は、新デバイスの提案から理論解析、設計法・製作技術の確立、製作装置の工夫、実現可能性実証を系統的に網羅しており、集積光エレクトロニクスに新たな研究の指針を示しています。いくつかのデバイスでトップデータを達成するとともに、ガラス、強誘電体、非晶質半導体から有機非線形光学結晶や化合物半導体など、広範な材科を利用し、先端的な量子井戸構造までを取り入れるなど、この分野での先端的リーダーシップを常に発揮しています。

以上のように栖原助教授は、周期構造を巧みに応用した各種の光集積回路を提案・解析・設計・製 作・実証する研究で顕著な業績をあげており、先端的光エレクトロニクス分野に大きな貢献をなしたもので、本賞受賞に真にふさわしいものであります。

※所属名および役職は、受賞時のものです。