日本IBM科学賞第11回(1997年)受賞者
受賞者紹介
橋本 和仁(はしもと・かずひと)
昭和30年6月23日生まれ
東京大学先端科学技術研究センター 教授
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昭和 53年
東京大学理学部化学科卒業
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昭和 55年
東京大学大学院理学系研究科
化学専攻修士課程修了 -
昭和 55年
分子科学研究所・技官
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昭和 59年
分子科学研究所・助手
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平成 元年
東京大学工学部・講師
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平成 3年
東京大学工学部・助教授
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平成 5年
神奈川科学技術アカデミー
プロジェクトリーダー
(兼任:平成11年まで(予定)) -
平成 9年
東京大学大学院工学系研究科・教授
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平成 9年
東京大学先端科学技術研究センター
教授 -
専門:
材料科学、光化学、光電気化学
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著書:
『光クリーン革命』
(共著、シーエムシー、1997年)
贈賞の理由
光電気化学を基礎とした機能材料の創製
光化学は理論と実験の両面で活発な研究が行われている分野であり、電気化学は電池に代表される実用面をもち、古くから現在に至るまで重要な研究分野となっている。橋本教授は一貫して光化学と電気化学の境界領域で研究を行ってきており、電気化学反応を基盤とする光機能材料の創製において先導的役割を果たしてきた。同教授の研究の特徴は、前記の境界領域における基礎的な課題から出発し、応用展開に向けた指針を提示している点にある。研究成果は、光触媒反応の基礎過程の解明と微弱光下での反応系の開発、磁性の電気化学的及び光化学的制御の二つに大別される。
分子間での電子移動過程は、物理化学のなかで最も盛んに研究が行われている対象の一つである。橋本教授は、固体(半導体)とその表面に吸着した分子との間の電子移動過程は分子と分子との間のそれとは異なる機構によるという予想に基づき、ルテニウム錯体やキサンテン系の色素を酸化チタン等のn型酸化物半導体上に吸着させ、吸着分子の光励起状態から半導体の伝導帯への電子移動速度のエネルギーギャップ依存性、温度依存性を実験的に検討した。この結果をもとに、固体の電子状態密度関数を直接取り込んだ電子移動速度式の定式化を行うとともに、これらの研究の応用として光触媒薄膜コーティング材料等を提案し、その実用化に指針を与えた。
磁性材料については長い研究の歴史があり、分子性磁性材料も近年注目を集めている。このような状況下に、橋本教授は光反応や電気化学反応で制御可能な新しいタイプの磁性材料の開発に着手し、有力な手がかりを得ている。取り上げた材料は、2種類の金属イオンがシアノ基でつながれた三次元構造をもつプルシャンブルー類似金属シアノ錯体である。クロムシアノ錯体について、電気化学反応によりフェリ磁性状態と常磁性状態との間に可逆的相転移を起すことができることを見出し、コバルト−鉄シアノ錯体では光による磁気特性の可逆的制御が可能であることを示した。
上記の研究成果は、それら自体が高い評価を得ているだけでなく、関係する研究分野の活性化に大きく貢献しているので、本賞を贈るにふさわしいものと認められる。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
