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日本IBM科学賞第11回(1997年)受賞者

受賞者紹介


川又 政征(かわまた・まさゆき)
昭和29年9月15日生まれ
東北大学大学院工学研究科電子工学専攻 教授


川又政征氏の顔写真

  1. 昭和 52年

    東北大学工学部電子工学科卒業

  2. 昭和 54年

    東北大学大学院工学研究科
    電子工学専攻修士課程修了

  3. 昭和 57年

    東北大学大学院工学研究科
    電子工学専攻博士課程修了(工学博士)

  4. 昭和 57年

    東北大学工学部電子工学科・助手

  5. 昭和 63年

    東北大学工学部情報工学科・助教授

  6. 平成 2年

    東北大学工学部電子工学科・助教授

  7. 平成 5年

    東北大学大学院情報科学研究科
    システム情報科学専攻・助教授

  8. 平成 7年

    東北大学工学部通信工学科・教授

  9. 平成 9年

    東北大学大学院工学研究科
    電子工学専攻・教授

  10. 専門:

    ディジタル信号処理

  11. 著書:

    『多次元ディジタル信号処理』
    (共著、朝倉書店、1995年)

贈賞の理由


多次元ディジタルフィルタの基礎理論とその最適設計法の確立

ディジタル信号処理は、信号、波形、データなどをディジタル信号の状態でコンピュータによって変換・分析・合成する技術である。これまでのディジタル信号処理は、主に1次元信号、すなわち音声などを対象にしてきた。しかし、マルチメディア通信やコンピュータネットワークの急展開に伴って、2次元信号である画像や3次元信号である映像などの多次元信号の処理・符号化・伝送が重要となり、高精度の多次元ディジタルフィルタリングはその基盤技術として必要不可欠になっている。また、その応用範囲は計測・制御、経済学、統計学、地質探索、医療などにも広がりうる。

川又政征教授は、従来の1次元ディジタルフィルタで多用されてきた伝達関数を用いて多次元ディジタルフィルタの特性を表現すると、構成論を個別に展開しても有限語長に起因する誤差の統一的知見が得られないので、量子化誤差が最小のフィルタを設計し難いことを明らかにした。この難点を救うために、状態方程式表現を多次元ディジタルフィルタに適用することを提唱した。これによれば、多次元信号においても全てのフィルタ構造を表現でき、また逆に、状態変数の線形変換によって無数の等価なフィルタ構造を表現できる。

この状態方程式表現を用いて、係数感度と丸め誤差の評価式を閉じた形で初めて導出し、その評価式を最小にするための状態変換行列の導出法をも示して、係数感度および丸め誤差を最小にする多次元ディジタルフィルタ設計法を確立した。さらに、この研究の過程において、ディジタルフィルタ理論とシステム制御理論、回路網理論が密接な関係にあることも明らかにした。なお、このように設計されたフィルタは、オーバーフロー発振やリミットサイクル発振を容易に抑圧できる利点も兼ね備えている。

以上のように、川又教授は、多次元ディジタルフィルタに状態方程式表現を適用して、これに基づいてその最適設計法を確立する成果を上げた。これら成果はディジタル信号処理分野に留まらず、システム制御分野などにも波及している。

※所属名および役職は、受賞時のものです。