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日本IBM科学賞第15回(2001年)受賞者

受賞者紹介


五神 真(ごのかみ・まこと)
昭和32年7月26日生まれ
東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 教授


五神真氏の顔写真

  1. 昭和 55年

    東京大学理学部物理学科卒業

  2. 昭和 57年

    東京大学大学院理学系研究科
    修士課程修了

  3. 昭和 58年

    東京大学大学院理学系研究科
    博士課程中退

  4. 昭和 58年

    東京大学理学部物理学教室・助手

  5. 昭和 60年

    理学博士(東京大学)

  6. 昭和 63年

    東京大学工学部物理工学科・講師

  7. 平成 2年

    東京大学工学部物理工学科・助教授

  8. 平成 7年

    東京大学大学院工学系研究科
    物理工学専攻・助教授 (改組により)

  9. 平成 9年

    アリゾナ大学光科学センター
    Adjunct Professor

  10. 平成 9年

    科学技術振興事業団創造科学推進事業「五神協同励起プロジェクト」総括責任者

  11. 平成 10年

    東京大学大学院工学系研究科
    物理工学専攻・教授

  12. 平成 11年

    学術情報センター(現国立情報学研究所)
    客員教授(併任)

  13. 平成 13年

    東京大学大学院工学系研究科附属
    量子相エレクトロニクス研究センター
    センター長 (併任)

  14. 専門:

    量子エレクトロニクス
    光物性

贈賞の理由


非線形レーザー分光を用いた励起子の量子統計性の研究

物質中の電子と光とは強く結合する。したがって、強い光(つまりレーザー)を固体に照射すると、電子系は強く励起される。特に、半導体に強い光を当てると、電子が詰まったバンドから空いたバンドにたたき上げられ、これは電子と電子の抜け穴(正孔と呼ばれる)の対(励起子と呼ばれる)が多数励起される。偶数個のフェルミオンは複合体としてはボソンなので、励起子というボソンの集合体とも見なせる。しかし、励起子はそもそも負電荷をもつ電子と正電荷をもつ正孔の束縛状態なので、励起子と励起子の間には強い相互作用が働く。このような系の量子状態や物性がどうなっているかは、固体物理学の基本的問題の一つである。

五神教授の業績は、このような、半導体やCuClにおける高密度励起子の性質を、光物性の観点から実験的に調べ、強い励起子・励起子相互作用の効果を明らかにしたことである。具体的には、励起子間相互作用に起因する非線形光学の性質を、非線形レーザー分光という手法を用いて調べ、その結果が相互作用するボソン系という簡単な模型で解釈できることを示した。励起子の集合は一種のボース気体であり、ボース凝縮などが起き得る舞台となるが、励起子系は、励起子の密度を光で制御できるユニークさだけでなく、励起子・励起子相互作用が強いために電子正孔液滴と呼ばれる状態への相転移なども示唆されていた。光物性の測定から、この液滴状態も観測され、また電子系が光の場と強く結合してポラリトンと呼ばれる状態になっていることも、偏光を用いた実験で明らかにされた。将来性としても、励起子レーザーなどの舞台となる。

物性物理学においては最近、相互作用が強い系の物理に興味がもたれているが、殆どの興味が電子物性に集中している中で、「多体効果が強い系における光物性」を、世界的にも有数の拠点として確立した業績は大きく、本賞を贈るにふさわしい。

※所属名および役職は、受賞時のものです。