日本IBM科学賞 第16回(2002年)受賞者
受賞者紹介
相澤 清晴(あいざわ きよはる)
昭和34年9月20日生まれ
東京大学大学院新領域創成科学研究科基盤情報学専攻 教授

昭和58年
東京大学工学部電子工学科卒業
昭和60年
東京大学大学院工学系研究科
電気工学専攻修士課程修了昭和63年
東京大学大学院工学系研究科
電気工学専攻博士課程修了(工学博士)昭和63年
東京大学工学部電子工学科・助手
平成元年
東京大学工学部電気工学科・専任講師
平成2年~
平成4年米国イリノイ大学客員・助教授
(日本学術振興会海外特別研究員)平成5年
東京大学工学部電子情報工学科 助教授
平成7年
東京大学大学院工学系研究科
電子情報工学専攻・助教授(改組により)平成11年
東京大学大学院新領域創成科学研究科
基盤情報学専攻・助教授平成13年
東京大学大学院新領域創成科学研究科基盤情報学専攻・教授
【専門】
画像情報処理、マルチメディア
贈賞の理由
モデルベースの映像符号化と映像センサの高機能化の研究
今日の携帯電話への超小型カメラ搭載に見られるように、高度情報化社会では映像情報メディアがますます重要になってくる。このような映像情報メディアがさらに発展し、新しい応用分野を開くには、画像の取得から符号化・情報圧縮、処理、出力、伝送という情報処理の一連の流れを、超小型・超高速・超高精度・超低消費電力で実行できる新しい仕組みや手法を創出する必要がある。特に、画像情報圧縮技術と映像センサの知能化・高機能化がそのための鍵となる。相澤教授は、これらの研究分野において先駆的に研究に取り組み、傑出した研究業績をあげた。
相澤教授は、映像情報圧縮に関しては、テレビ電話・会議で必要となる話者の写実的な人物像を、1kbpsという超低ビットレートで送信可能とする全く新しい「モデルベース符号化」の手法を開発した。この技術では、送り側の符号器、受け側の復号器とも共通な人物顔の3次元モデルを用い、符号化する際には頭部の動き、表情の変化を分析し、そのパラメータを伝送する。また、復号器では受け取ったパラメータをもとに、対象人物の「3次元モデル」を用いたグラフィックス合成により画像を再生する。この独創的な研究成果は、国内外の研究グループに大きな影響を与え、最も新しい画像符号化の標準方式であるMPEG4にもその思想が取り入れられた。
また相澤教授は、ハードウエアと処理方式の境界領域の問題である画像センシング技術に着目して、CMOSイメージセンサ上にアナログ処理回路を集積した高機能イメージセンサを作製し、センサから読み出すべきデータを大幅に圧縮する「圧縮イメージセンサ」の有効性を実証した。さらに、その特徴を巧みに利用して、光量と動きに適応して蓄積時間を画素ごとに変化させ、広いダイナミックレンジを目指す「適応イメージセンサ」を提案・実証した。また、高機能画像センシング中の焦点画像処理の研究では、同一のシーンに対して、焦点合わせを変えた複数の画像の線形処理によって、対象物体の任意の焦点画像の生成を可能とする技術を開発した。
このように、相澤教授の研究業績は独創的で映像情報メディアの今後の大きな発展に貢献することが期待されているものであり、本賞を贈るにふさわしいものである。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
