日本IBM科学賞 第17回(2003年)受賞者
受賞者紹介
船津 高志(ふなつ たかし)
昭和33年8月30日生まれ
早稲田大学理工学部物理学科 教授
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昭和57年
早稲田大学理工学部物理学科卒業
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昭和59年
早稲田大学大学院理学研究科
物理学及応用物理学専攻博士前期課程
修了 -
昭和61年
早稲田大学理工学部物理学科・助手
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昭和62年
早稲田大学大学院理工学研究科
物理学及応用物理学専攻博士後期課程 単位取得退学 -
昭和63年
理学博士(早稲田大学)取得
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平成元年
日本学術振興会・特別研究員
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平成3年
科学技術庁・科学技術特別研究員
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平成4年
新技術事業団柳田生体運動子 プロジェクト・グループリーダー
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平成9年
早稲田大学理工学部物理学科・助教授
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平成11年
科学技術振興事業団 さきがけ研究21研究員(兼任)
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平成14年
早稲田大学理工学部物理学科・教授
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【専門】
生物物理学
贈賞の理由
1分子蛍光イメージング法の開発と生物物理学への展開
21世紀は生命科学の時代といわれている。20世紀は古典物理学の様々な矛盾を解決しようという根元的な問から量子力学が生まれ、「原子とは何か、物質とは何か」を理解しようとして物理学と化学が融合し、様々な分野で物理学は大きく発展している。さらに、21世紀では、生物を物理学で理解することにより“生命とは何か?”という問いに答えることも期待されている。生物を理解するためには、いろいろな階層で研究する必要があり、最もミクロな階層は蛋白質やDNAといった生体分子が働いている階層である。それらが集まって、生体超分子、細胞、器官などが作られ、さらには個体、社会、生態系が構成されている。船津高志氏は、最小機能単位である「生体分子」の階層と生命としての機能が初めて発現する「細胞」の階層に焦点をあて、「蛋白質機能の1分子蛍光顕微イメージング」に世界で初めて成功し、“1分子生理学(ナノバイオ)”という全く新しい研究分野を世界に先駆けて開拓した。
船津高志氏の業績は、水溶液中の1分子蛍光を捕らえる(可視化)する技術を発明し、1分子生物物理学という新分野の開拓に多大の貢献をなし、わが国で開発された生命科学研究の実験手法を世界に向けて発信したことにある。生体分子が機能しているときに、そのままの状態で蛍光画像と電子顕微鏡画像を示すことによって、1分子が光学顕微鏡下で画像として観察できる方法を世界に先駆けて開発した。さらに、その方法を利用して、多数分子の平均挙動を見ていては決して分からないような、生体分子の動作原理の理解に迫る数々の発見をした。たとえば、1分子の酵素がATPを加水分解している様子をイメージングすることに初めて成功したこと、キネシンという細胞内輸送を担っている蛋白質が1分子で微小管を移動できることを示したこと、シャペロニンと呼ばれる蛋白質の折りたたみを介助する蛋白質を使って、蛋白質間相互作用(結合と解離)を1分子蛍光イメージングできることを初めて示したことなどが顕著な業績として挙げられる。さらには、生細胞中の分子の動きを1分子イメージングできることを示し、開発された新技術が生命現象の解明に強力な手段となることを実証した。また生命科学研究に有効な実験技術を提供しただけではなく、多分子計測の前提となる「全ての分子は同様に振舞う」という仮定が必ずしも成立しないことを「1分子計測」によって初めて明らかにし、1分子の物理を考えることの重要性を示唆したことは、物理や化学の研究者へも大きなインパクトを与えた。
以上のように、これまで培われた物理学的研究手法を生物科学へ応用し、生物物理学に生体分子の1分子機能解析法という独創的な実験技術を導入し、ナノバイオ研究の新しい研究分野の開拓に貢献するとともに、さらにその技術を発展させて生命科学の本質的諸問題に応用している船津高志氏の業績は極めて大きく、本賞を贈るにふさわしいものである。
※所属名および役職は、受賞時のものです。
