受賞者紹介
野崎 京子 (のざき きょうこ)
昭和39年2月9日生まれ
東京大学 大学院工学系研究科 化学生命工学専攻 教授
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昭和 61年
京都大学工学部工業化学科卒業
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昭和 63年
米国カリフォルニア大学バークレー校交換留学生(京都大学博士課程在学中)
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平成 3年
京都大学大学院工学研究科
工業化学専攻博士課程修了 工学博士 -
平成 3年
京都大学工学部工業化学科・助手
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平成 8年
京都大学大学院工学研究科材料化学専攻・助手
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平成11年
京都大学大学院工学研究科材料化学専攻・助教授
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平成 12年
科学技術振興事業団さきがけ21研究員(兼任)
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平成 14年
東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻 助教授
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平成 15年
東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻 教授
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専門:
有機金属化学、高分子化学、
均一系触媒化学
贈賞の理由
光学活性高分子の触媒的不斉合成
重合触媒にキラリティーをもたせることにより、アキラルなモノマーから、原理的には絶対立体配置の制御された光学活性高分子を不斉合成できる。しかし、一般的なビニルモノマーを不斉重合させても、高分子鎖が長くなるとそれぞれの不斉炭素に結合した両端の差異が無視できるためポリマーに疑似対称面が存在してしまい、光学活性は認められない。このような「疑不斉」と呼ばれる現象のため、高分子の不斉重合は数十年にわたり実現不可能と思われていた。
野崎京子氏は、ビニルモノマーの単独重合ではなく、ビニルモノマーと一酸化炭素の完全交互共重合であれば、真の不斉中心を主鎖中に構築しながら重合が進むことに着目し、極めて高い立体制御を伴う光学活性高分子の触媒的不斉合成に初めて成功し、不斉高分子化学の端緒を開いた。
野崎氏は独自に開発したキラルホスフィンホスファイト配位子とパラジウムから調整した触媒をプロピレンと一酸化炭素の共重合反応に適用し、完全交互共重合体の不斉合成に成功した。そして、このようにしてオレフィンと一酸化炭素の不斉交互共重合によって得られた光学活性ポリケトンが、カルボニル基の還元やケタール化、さらにはエステルへの酸化により、広範な光学活性高分子へと変換できることを示した。
さらに野崎氏は、構造の明確なキラル亜鉛複核錯体を触媒に用いてシクロへキセンオキシドと二酸化炭素の不斉交互共重合に初めて成功した。また、光学純度の低い触媒を用いても、触媒反応によって生成物の光学純度が向上する不斉合成と呼ばれる現象が起こることを、高分子合成において初めて観測した。
光学活性高分子には、ステレオコンプレックス形成、圧電性・高い旋光性など、キラリティーに由来する種々の特性の発現が知られている。
また、生体では光学活性高分子の各々の鏡像体が互いに異なるものと認識されるため、医療材料への応用を考える場合、光学活性高分子の不斉合成技術は不可欠になると考えられる。したがって、野崎氏によって確立された光学活性高分子合成法は、有機化学、材料化学等、広範な物質科学分野において極めて重要な役割を果たすものと期待される。よって野崎京子氏の業績は日本IBM科学賞に値するものと認められた。
※所属先・役職・年齢は2006年8月15日現在
