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第20回日本IBM科学賞(2006)

化学部門受賞者

受賞者紹介

鈴木 俊法 (すずき としのり)
昭和36年8月15日生まれ
独立行政法人理化学研究所 主任研究員


鈴木 俊法氏の顔写真

  1. 昭和 59年

    東北大学理学部化学科卒

  2. 昭和 63年

    東北大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士

  3. 昭和 63年

    岡崎国立共同研究機構
    分子科学研究所技官

  4. 昭和 64年

    岡崎国立共同研究機構
    分子科学研究所助手

  5. 平成 2年

    JSPS海外特別研究員、米国コーネル大学博士研究員

  6. 平成 3年

    JSPS海外特別研究員、米国カリフォルニア大学バークレー校博士研究員

  7. 平成 4年

    岡崎国立共同研究機構分子科学研究所助教授、総合研究大学院大学助教授(併任)

  8. 平成 11年

    科学技術振興機構さきがけ研究21研究員(兼任)

  9. 平成 14年

    理化学研究所主任研究員

  10. 専門:

    物理化学、化学反応動力学

贈賞の理由

超高速光電子分光法の開発と化学反応ダイナミックスの研究

化学反応過程において、時々刻々変化する量子状態を追跡することは化学反応の本質を把握する上で極めて重要である。鈴木俊法氏はレーザー分光技術と分子線技術を組み合わせることによって、化学反応が如何に進行するかという基本的な問いに答えることに成功した。

鈴木氏は、多光子レーザーイオン化法と2次元画像観測法を分子線散乱実験に導入し、反応生成物の量子状態を選択し、その微分散乱断面積を求めることを可能にした。OCSなどの基本的化合物の光解離反応において、解離生成する原子の電子状態、電子軌道配向、散乱速度角度分布を完全に決定し、その解析から、反応に関与する複数の電子状態の存在や非断熱遷移を伴う反応経路を検出した他、反応経路を決定づける電子状態のポテンシャルの形状を実験的に解明した。そして、この手法を交差分子線実験に適用し、分子や原子が衝突することによって起こる化学反応過程に関する研究を進め、複数の電子状態のポテンシャルを経て反応が進行する場合に生じる量子干渉過程を見出すことによって、分子間相互作用ポテンシャル面の形状を求めることに成功した。さらに、それを高精度の量子化学計算や量子散乱計算と比較することによって検証した。

鈴木氏はまた、化学反応途上の量子状態の変化をより直接的に追跡する新手法として、超高速光電子画像分光法を世界に先駆けて開発し完成させた。この手法によって、反応しつつある分子から放出される光電子の速度・角度分布を、フェムト秒の時間分解能で実時間追跡することが初めて可能となった。
そしてその結果、光化学反応過程とともに起こる分子の電子軌道の形状の高速変化や振動回転波束運動が明らかとなった。鈴木氏の実験手法は、気相光化学反応において、反応する分子の電子・振動・回転運動そして、それらに起源を持つ量子干渉を、高い感度で検出する有力な実験手法として知られている。

以上のように、鈴木氏は独創的な研究展開によって化学反応の基本的な理解に大きく貢献した。よって鈴木俊法氏の業績は日本IBM科学賞に値するものと認められた。

※所属先・役職・年齢は2006年8月15日現在

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