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第21回日本IBM科学賞 物理部門

受賞者紹介

廣瀬 敬 (ひろせ けい)

昭和43年2月9日生まれ
東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻 教授
廣瀬 敬氏
平成 2年 東京大学理学部地学科卒業
平成 6年 東京大学大学院理学系研究科
地質学専攻博士課程修了
博士(理学)
平成 6年 東京工業大学理学部地球惑星科学科
助手
平成 8年 米国カーネギー地球物理学研究所
客員研究員(東京工業大学助手在任中)
平成 11年 東京工業大学大学院理工学研究科
地球惑星科学専攻
助教授
平成 18年 東京工業大学大学院理工学研究科
地球惑星科学専攻
教授
専門: 高圧地球科学

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贈賞の理由

ポストペロフスカイト相の発見と地球コア・マントル境界域の研究

地球の内部が超高圧・超高温状態にあることは広く知られているが、人類がその状態を実 験室で作り出すことは、瞬間的な衝撃圧縮を除くと未だに実現できていない。そのため、 地球深部がどのような物質からなり、どのような性質をもっているのか、ほとんど未解明 の状態にある。廣瀬氏は、世界の先頭に立って、超高圧・超高温技術の開発を行い、この 謎に迫る研究を展開してきた。その結果、地球コア・マントル境界域に相当する極限状況 を実現することに成功し、また、この領域で地球内部の鉱物が従来全く知られていなかっ た結晶構造に変化することを発見した。これらの研究は、固体地球科学の分野に革命的な 進展をもたらした。

廣瀬氏の手法は、レーザー過熱式ダイヤモンドアンビルセルを用いた極限環境の実現と、 放射光によるX線構造解析の組み合わせからなる。この手法を駆使することにより、同氏 はコア・マントル境界域に相当する超高圧・高温発生に成功するとともに、地球内部にも っとも多量に存在する鉱物MgSiO3ペロフスカイト相が、この高圧高温領域で新しい構造で あるポストペロフスカイト相に相転移することを発見した。

コア・マントル境界部には、大きな地震学的異常が観測されることが50年以上も前から 知られていたが、これらはMgSiO3ペロフスカイト相だけでは説明のできない現象であった。 廣瀬氏は、第1原理電子状態計算によってポストペロフスカイト相の地震波伝播特性を求 め、数々の地震波異常が、ポストペロフスカイト相によって説明可能であることを示した。 この発見は、地球コア・マントル境界域研究にブレークスルーをもたらし、以後、地球活 動における同境界領域の重要性が大きくクローズアップされるに到った。

また、廣瀬氏は、より高圧の極限条件の発生技術の開発を続け、さらに高圧高温の世界レ コードを次々と更新しつつある。そのなかで、さらに高圧である270万気圧・1800Kという条件下で、太陽系の主要酸化物である水晶が新しい高圧相(パイライト型構造相) をとる事を発見した。ここで実現された極端条件は、太陽系では地球よりサイズの大きい 天王星や海王星の深部に相当することから、本成果によって地球外惑星の深部に初めて研 究のメスが入れられた。

このように、廣瀬氏の業績は、固体地球物理学分野において傑出した成果であるだけでな く、鉱物物理、地震学、地球化学分野など広い分野に波及効果を及ぼしており、日本IBM科学賞に相応しいと認められる。


※所属先・役職・年齢は2007年8月15日現在
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