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第21回日本IBM科学賞
コンピューター・サイエンス部門

受賞者紹介

定兼 邦彦 (さだかね くにひこ)

昭和46年5月25日生まれ
九州大学大学院システム情報科学研究院情報工学部門 准教授
定兼 邦彦氏
平成 7年 東京大学理学部情報科学科卒業
平成 9年 東京大学大学院理学系研究科
情報科学専攻
修士課程修了
平成 11年 日本学術振興会特別研究員
平成 12年 東京大学大学院理学系研究科
情報科学専攻
博士課程修了(博士(理学))
平成 12年 東北大学大学院情報科学研究科
助手
平成 15年 九州大学大学院システム情報科学研究院
助教授 (平成19年より准教授に名 称変更)
専門: データ圧縮、データ構造とアルゴリズム、情報検索

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贈賞の理由

超簡潔データ構造の開発

定兼氏は、データ圧縮とデータ構造化の両立を実現する「超簡潔データ構造」の基礎とな る技術を世界に先駆けて開拓した。

データ圧縮はシャノンによる情報理論の萌芽以来の根幹理論であると共に、インターネ ット時代の必須技術である。従来、データ圧縮機能は通信やデータ格納時に利用され、デ ータ使用時には復元(解凍)することを前提にした研究開発が行われてきた。ところが、主記憶サイズを超え る巨大データの高速処理が要請される現代では、ディスクなどの二次記憶装置に置かれた データへのアクセス速度の遅さが情報システム設計の大きなネックとなっている。そこで、 データを主記憶サイズに圧縮したまま、解凍せずに高速処理きるよう構造化する技術が要 望されていた。それが超簡潔データ構造である。しかしながら、これはフリーズドライ食 品をそのまま賞味するようなものであり、その実現は困難であると考えられていた。定兼 氏は、一連の研究で、この問題を解決する基礎理論・基盤技術を作り上げたのである。

2000年に、定兼氏は世界に先駆けて、対数時間で文字列検索を可能にし、しかも元デー タを圧縮するデータ構造を発見した。これは、元データより真に小さいサイズに圧縮した まま構造化することが可能であることを示したはじめての成果である。この成果により、 たとえば、従来の検索構造では40ギガバイトの記憶容量を必要としていたヒトのDNA情報を、 高速検索ができ、しかも4ギガバイト程度に圧縮することが可能となった。つまり、通常の パソコン程度でも、データを主記憶へ格納した状態で利用できるようになり、大規模デー タの高速検索が可能となったのである。

さらに、2006年には、もっとも基本的データ構造である配列を、その機能を保ったまま、 エントロピー限界の近くまで圧縮する技法「透過的データ構造」を発見した。これは これまでの常識を超えた成果であり、世界中の研究者に衝撃を与えた。それと同時に、今後広く発展する研究 分野の基盤を開拓したといえる。

定兼氏のこれらの業績は、情報圧縮と情報検索の融合分野を切り開く新たなデータ技術 の基盤となる重要な研究であり、日本IBM科学賞にふさわしいものである。


※所属先・役職・年齢は2007年8月15日現在
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